融雪剤散布車|センサー制御で融雪剤を効率散布

融雪剤散布車

融雪剤散布車は、路面の凍結抑制や解氷を目的として塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの融雪剤を定量・均一に散布する専用作業車である。降雪前の予防散布(アンチアイシング)、降雪時の除雪と同時散布、圧雪・凍結後の事後散布(ディアイシング)に用いられ、道路の安全性と交通流の維持に不可欠である。対象は高速道路、国道、地方道、橋梁部や日陰部、急勾配・急カーブなど滑りやすい区間が中心であり、作業効率と環境負荷低減の両立が求められる。

構造と主要コンポーネント

融雪剤散布車の基本構成は、キャリア車両、ホッパまたはタンク、搬送機構(コンベヤやオーガ)、散布機構(スピナーやスプレーバー)、計量・制御装置、路面温度・湿度センサ、GPS連動の走行・作業管理装置からなる。固体剤はホッパ底部のオーガで定量搬送されスピナーで扇状に拡散する。液体剤はタンクからポンプで送液し、ノズルバーから散布幅を制御して噴霧する。キャブ内コントローラで散布量、散布幅、作業モードを操作する。

散布媒体と散布方式

媒体は固体(岩塩、粒状塩化Ca)と液体(塩化Naブライン、塩化Caブライン)が主要である。方式は以下が代表的である。

  • スピナー式(固体):幅6–12 m程度を扇状に散布。車速連動でg/m²を一定化。
  • ドロップ式(固体):狭幅員や歩道で落下散布し飛散を抑制。
  • スプレー式(液体):ノズルバーで3–8 m程度に均一噴霧。前処理に有効。
  • 固液同時:固体に前湿潤(プリウェット)して付着性を高め、飛散損失を低減。

制御・計測と車速連動

近年は車速連動制御で散布密度(例:5–30 g/m²固体、10–40 mL/m²液体)を一定に保つ。路面温度(路温)と露点、路面状態センサの情報を用いてモード自動切替を行い、過剰散布を抑制する。GPSで散布軌跡を記録し、橋梁部や寒冷点への優先配分、出来高管理、トレーサビリティに活用される。散布幅は電動アクチュエータで可変とし、交差点・合流部では局所拡幅に対応する。

運用:予防・同時・事後の使い分け

予防散布は降雪・凍結予報に基づき液体を薄く均一に散布して氷結核生成を抑える。同時散布はプラウ・ブレード除雪と並行し、残膜・圧雪に固体または固液同時で即効性を確保。事後散布はブラックアイスや橋梁低温部へ重点的に行う。走行速度は一般に20–40 km/hで、交通状況と視程、勾配を踏まえて調整する。

性能指標と規模感

ホッパ容量は小型で1–3 m³、大型で5–8 m³、液体タンクは1,000–6,000 Lが一般的である。1時間当たりの処理延長は道路環境により変動するが、都市部で10–20 km、郊外で20–40 kmが目安となる。散布むら(CV)や飛散率、付着率、路温回復時間、資材原単位(kg/km)などが評価指標である。

メンテナンスと安全

塩類は腐食性が高いため、散布後はスピナー、オーガ、ノズル、配管、ポンプ、コンベヤの洗浄と防錆が不可欠である。ノズルは目詰まりを防ぐためストレーナの点検と口径管理を行う。回転体の養生、PTOや油圧系統の漏れ点検、ワイヤハーネスの防水処理、夜間作業に備えた作業灯・ビーコン・後方監視カメラの機能点検も安全確保に資する。

環境配慮と防食対策

過剰散布は植生・水域・車体・構造物の腐食を招くため、前湿潤や液体化による付着性向上、低温域での塩化Ca併用などで使用量を最適化する。橋梁・鋼構造物付近では散布密度を抑え、排水計画と併せて腐食リスクを低減する。車両はステンレスホッパ、樹脂配管、亜鉛めっき部材、防食塗装の採用が効果的である。

オペレーション管理とデータ活用

気象APIや路面観測と連携し、区域ごとの優先度マップを作成する。出動判断は気温・露点差、路温予測、放射冷却、降雪強度を加味し、資材・人員・車両のローテーションを計画する。作業後は散布ログ(時刻、位置、密度、幅、速度)を解析してPDCAを回し、資材単価と稼働コストの可視化で費用対効果を高める。

車体選定と装着形態

脱着式ユニットは夏季に取り外し可能で汎用性が高い。専用架装は重心配置と視認性が最適化され、長距離・大量散布に向く。4WDやデフロック、スタッドレスタイヤの装着は登坂・低摩擦路での走破性を高め、前方にプラウを装着した複合車は除雪と散布を1台で担える。

関連機械との連携

融雪剤散布車は、ロータリ除雪車やプラウ装着車、ロードスイーパと組み合わせて冬期道路維持を体系化する。降雪強度や路線特性に応じて車列運用を行い、先行除雪→残雪処理→散布→仕上げ清掃の順で路面を早期に安定化させる。作業計画は交通規制、信号協調、休憩・補給ポイント、資材ストックヤードの位置を含めて設計すると効率が高い。