相対圧力|基準圧力との差分で測定する圧力

相対圧力

相対圧力とは、ある基準となる圧力との比較によって測定・表現される圧力のことである。一般的には大気圧を基準にして、その上回り分や下回り分を読み取ることが多いため、「ゲージ圧」と呼ばれる場合も多い。たとえば圧力計で0MPaと表示されていても、実際には大気圧(約0.1013MPa)を踏まえた上での数値であり、計器の示す値と絶対的な圧力値には差がある。工業プロセスや配管系統などを扱う際、内部圧力が外部大気圧よりも高いか低いかを把握したい場合に相対圧力が使われる。一方、真空度を議論するときは大気圧を超えない負圧領域が焦点になるため、相対表示が適切か絶対表示が適切かを選ぶ必要がある。

概念の背景

物理学や工学で圧力を表す方法には、大別して相対圧力(ゲージ圧)と絶対圧力の2種類が存在する。絶対圧力は理想的な真空状態を0とみなし、その上積みとして圧力を定義する。これに対して相対圧力は大気圧を基準とした相差を示し、例えば大気圧を0とするスケールで+0.2MPaを記せば、それは実際には大気圧+0.2MPaに相当する。現場で使われる圧力計の大半は相対表示を行うため、計器を読み取る段階で大気圧を含むかどうかを区別できるように理解しておくことが必要である。

絶対圧力との違い

相対圧力はゲージ圧とも呼ばれ、「大気圧を0と考えたときの差分」を表す。これに対し絶対圧力は、完璧に気体のない理想的真空状態を0として算出される。理論的には絶対圧力が圧力の根本的な指標となるが、多くの工業用途では装置や配管内の圧力が外部大気圧よりもどれだけ高いか(あるいは低いか)を把握することが作業の目的となるため、相対表示のほうが直接的に利用しやすい。例えばボイラーやタンク内の圧力が大気圧よりも高いほど、多量の流体を外部に押し出す力がある、という判断を簡単に下せるからである。

測定原理と計器

相対圧力を計測する計器として、バーボン管式圧力計やベローズ式圧力計、ピストンゲージなどが広く使われている。これらは大気圧を基準として内部の変形量やストローク量を読み取り、相対的な圧力上昇分や下降分を示す仕組みになっている。また、差圧計と呼ばれる計器を用いれば、対象とする配管やタンクの圧力と参照圧力(多くは大気圧)を直接比較して、その差分を得ることができる。電子式センサでも同様で、大気圧を参照ポートに接続することで相対圧力を算出する方法が採られる場合が多い。

使用上の注意点

  • 大気圧の変化:標高や気象条件により大気圧は一定ではないため、精密な相対圧力管理には大気圧補正を考慮すべきである
  • 逆圧への対応:装置や配管が想定を超えた負圧(真空状態)を生じた場合、計器が破損する可能性がある
  • 校正とメンテナンス:センサや計器は経年変化によりずれを生じやすいので、定期的な校正が欠かせない
  • 絶対圧力との混同防止:計算や仕様書で「絶対圧」と「相対圧」が明記されていない場合、誤った数値を用いる恐れがある

こうした点に気を配りながら計器を取り扱うことで、より正確かつ安全な圧力管理ができる。

具体的な応用例

相対圧力計を活用する場面としては、ボイラーや圧縮機、配管網の監視などが挙げられる。これらの装置では、燃料や冷媒を外部に噴出させる力の大きさが大気圧との比較で把握できれば十分なため、圧力ゲージを設置して日常的に点検することが一般的である。さらに工業分野以外でも、自動車のタイヤ空気圧は大気圧に対する相対値として扱われており、タイヤショップやセルフスタンドで見かけるエアゲージもまた相対圧力を表示している代表例となる。こうした用途を通じて日常生活の至る所で相対表示が役立てられている。

産業界での位置づけ

  1. 高圧ガスや蒸気の取扱い:大気圧との相差を管理することで安全弁の動作点を設定し、爆発や破損を防ぐ
  2. 化学プラント:リアクター内部の圧力上昇が大気圧比で危険水域に入る前に警報を出す
  3. 食品・医薬品分野:容器内を大気圧よりも高めに保つことで、外部からの微生物侵入リスクを低減
  4. 搬送・輸送システム:空気圧シリンダの押力や真空吸着パッドの保持力を相対圧力で簡便に管理

このように、相対値を基準にすることで動力や安全管理が行いやすく、工場や物流施設をはじめあらゆる産業で重宝されている。