画像検査装置|AIで全数検査と欠陥判定を実現

画像検査装置

画像検査装置は、カメラやレンズ、照明と画像処理アルゴリズムを組み合わせ、製造ラインで外観・寸法・位置・印字などを自動判定するマシンビジョンシステムである。人手検査に比べ、ばらつきが小さく、高速・高再現性で不良を検出し、トレーサビリティを強化する。対象は電子部品、樹脂・金属成形品、包装、医薬・食品ラベル、実装基板など広範で、2Dに加え3Dの形状計測や微細欠陥の検出にも用いられる。

構成要素

画像検査装置の基本構成は、①安定化電源と制御器、②産業用カメラ(エリア/ラインスキャン)、③レンズ(焦点距離・被写界深度・低歪)、④照明(リング、バックライト、ドーム、同軸落射)、⑤トリガ・エンコーダ、⑥ワーク搬送・位置決め治具、⑦画像処理ソフトである。各要素の整合を取ることが性能の鍵となる。

検査方式(2D/3D/ラインスキャン)

2D方式は外観や印字検査に適し、解像度と照明設計で微小欠陥に対応する。3D方式はパターン投影、ステレオ、レーザ三角測量、位相シフトなどで高さ情報を取得し、反り・段差・体積を評価する。ラインスキャンは長尺・連続体(フィルム、鋼板、織物など)の全幅検査に有効である。

光学設計の勘所

  • レンズ:MTF、歪曲、周辺減光、最短撮影距離、WD(ワーキングディスタンス)
  • センサ:画素サイズ、SNR、グローバル/ローリングシャッタ、フレームレート
  • 照明:反射除去の偏光、拡散での面内均一、斜光でエッジ強調、同軸で鏡面面の傷抽出

画像処理とAI

従来手法は前処理(平滑化・ノイズ除去・照度補正)→特徴抽出(エッジ、テンプレート、コーナ)→判定(しきい値、幾何、マッチング)で組む。近年はAI/深層学習により外観ばらつきの大きい欠陥も学習で捉える。教師あり分類・セグメンテーション、不良希少時は教師なし異常検知を用いる。学習データの代表性とアノテーション品質が性能を支配する。

主な検査対象

  • 外観:傷、打痕、汚れ、気泡、異物、コーティングムラ
  • 寸法:穴径、ピッチ、長さ、幅、平面度、面取り量
  • 印字:OCR/バーコード/2Dコード読取、欠け・かすれ、位置ズレ
  • 実装・組立:部品有無、極性、位置決め、浮き、はんだ濡れ

キャリブレーションとトレーサビリティ

画像検査装置の寸法換算はピクセル当たりの実寸を校正チャートで求め、温度・焦点ズレに対する再現性を確保する。幾何歪の補正、色再現の標準白板、3Dなら高さ基準ブロックで校正する。結果はロット・時刻・装置ID・レシピ版と紐づけて保存し、追跡可能性を担保する。

タクトとスループット設計

必要タクトから露光時間、画像転送帯域、処理時間(CPU/GPU)、搬送・停止時間を逆算する。ボトルネックは①露光(明るい照明で短縮)、②データI/O、③推論時間である。並列化やROI処理、ラインスキャンの多カメラ分散で処理を平準化する。

評価指標

  • 欠陥検出率/再現率(TPR)、誤検率(FPR)、適合率(Precision)
  • 寸法GR&R(Gauge R&R)、工程能力(Cpk)、合否整合率
  • 可用性・性能・品質を統合したOEE、スループット、MTBF/MTTR

環境と安定稼働

振動・温度・粉塵・外乱光は画質を劣化させる。筐体遮光、ファンレス化、温湿度管理、レンズ保護ガラスとエアパージ、照明の経時劣化点検、定期再校正が有効である。レシピやAIモデルは変更履歴を管理し、リリース前に回帰試験を必ず実施する。

導入手順と検証

  1. 要件定義:検査項目、合否基準、タクト、設置制約、I/O仕様を確定
  2. PoC:サンプル母集団を整え、良品・不良品の代表性を担保
  3. 治具設計:位置決めの再現性確保、反り・傾きの拘束、表裏誤投入防止
  4. 本設計:光学・電気・機構・制御・UI・データ連携を一体最適化
  5. 量産検証:GR&Rと合否一致率、ライン停止時の復帰手順まで確認

よくある失敗と対策

環境光の混入は照明ケーブリングや遮光で排除する。鏡面の白飛びには偏光・同軸・斜光を切替える。ばらつきが大きい外観はAIの訓練データを増やし、疑似不良を含むデータ拡張で頑健化する。搬送の姿勢ズレは治具の受けと押さえ、または3D位置補正で吸収する。

システム連携と運用

画像検査装置はPLCや産業ネットワークと連携し、NG排出、マーカー印字、上位MES/QAシステムへ結果を送る。統計ダッシュボードでロット別不良傾向を可視化し、しきい値やAIモデルは運用データで継続改善する。レンズ清掃、照明出力監視、バックアップと予備品確保を保全計画に含める。

選定ポイント

  • 対象欠陥の最小サイズに対する必要解像度と被写界深度
  • 生産タクトに対する露光・処理余裕度、拡張余地
  • サンプル確保の容易さ、AI学習と再学習の運用性
  • トレーサビリティ、セキュリティ、データ保全
  • TCOとROI(歩留・省人・停止低減の効果)

安全・法規と人間工学

高輝度照明は目の安全に配慮し遮光・インタロックを設ける。レーザ照明は規格に準拠したクラス管理と教育を行う。UIは誰でも使える単純明快な構成とし、合否・原因・対処が直観的に把握できる画面遷移とする。保守空間や交換性も初期設計段階で確保する。

まとめに代えて:実装の勘所

画像検査装置を成功させる要諦は、①対象に合う光学と照明、②再現性のある治具、③代表性あるデータと厳密な検証、④ライン統合と保全性、⑤運用で学習し続ける仕組みである。現物・現場・現実の3現主義でサンプルを集め、仕様と現場制約をすり合わせることで、過検出や見逃しを抑え、生産性と品質の同時達成が可能となる。