水位センサ|工場の液面監視と自動制御を最適化

水位センサ

水位センサは、河川・ダム・下水道・貯水槽・ボイラドラム・薬液タンクなどにおける液面高さを連続または離散的に検出する計測機器である。代表的な方式には静圧式、フロート式、超音波式、レーダ式、容量式、導電式、光学式があり、対象流体の性状(濁り・泡・蒸気・粘度・誘電率・導電率)や設置条件(屋外/屋内、防爆、配管有無、攪拌の有無)に応じて最適な方式を選定する。制御ではポンプの自動起動停止、越水警報、防止弁の開閉、入出庫(入出水)量の演算、SCADA/PLC/RTUへのトレンド送信などに用いる。測定レンジ、精度(%FS)、分解能、温度ドリフト、耐圧・耐食性、保護等級、信号インターフェース(4-20mA、HART、0-10V、MODBUS、IO-Link)などが主要仕様である。静圧式は圧力 P=ρgh を利用し、比重変動の影響を受ける一方、レーダ式は誘電率差と電磁波の遅延時間を用い蒸気・温度の影響に強い。超音波式は取付容易で低コストだが泡や風の影響を受けやすい。導電式は上限/下限のレベルスイッチ用途でシンプルかつ堅牢である。

計測原理と主要方式

方式ごとの物理原理と特性を要点で整理する。設置・保守の容易さ、流体物性の影響、測定レンジ、死角(ブラインドゾーン)、応答速度、コストのトレードオフを理解することが重要である。

  • 静圧式:水頭圧を検出。ゲージ圧トランスデューサを底部または沈水設置。比重変動や通気(ベント)管理が鍵。
  • フロート式:浮子とレバー/リードスイッチでON/OFFまたは連続角度検出。機械的だが信頼性が高い。
  • 超音波式:空中音波の往復時間測定。非接触で腐食に強いが泡・蒸気・風・温度に注意。
  • レーダ式(FMCW/パルス):電磁波で距離測定。蒸気・温度影響が小さく粉体にも応用可。導波管で攪拌タンクにも対応。
  • 容量式:電極と液面の静電容量変化。誘電率依存で薬液タンクや狭小空間に有利。
  • 導電式:電極間導通で液面接触を検出。レベルスイッチ用途に適し、スカム付着に注意。
  • 光学式:プリズム先端の全反射変化でON/OFF。小型・低コストで補助検出に適する。

選定パラメータと設計指針

レンジ(最大水深)と必要精度を起点に、温度範囲、化学耐性、圧力、耐振動、IP/IK等級、耐UV、ケーブル材質、取付構造を決める。制御要件(アラーム閾値、ヒステリシス、遅延、フィルタ時間)、安全要求(フェールセーフ、自己診断、SIL)、通信(アナログ/デジタル、遠隔監視)も同時に検討する。屋外は落雷・サージ対策、Ex領域はEx ia/Ex d/IECEx/ATEX/TIISを満たす機種を選ぶ。超音波・レーダはブラインドゾーンと死角、静圧式はベントの乾燥・防露、容量式は誘電率のばらつき評価を行う。

誤差要因と対策

静圧式は密度ρの温度・組成依存でオフセットが生じるため、ρの季節補正や液温同時測定が有効である。超音波は泡・蒸気・風・傾斜面でエコーが乱れるため、スチルウェルやエコーマスク、温度補償を併用する。レーダは攪拌や内部構造物で多重反射が起きるため、導波管/アンテナ選定とノイズゲート設定が有効である。付着・スケールは感度低下やゼロ点ずれを招くため、撥水/防汚コーティング、洗浄口、定期清掃を設ける。信号処理では移動平均、外れ値除去、ラチェット(上昇/下降別フィルタ)を設定し、アラームは遅延を持たせ誤報を防ぐ。

設置と機械設計

タンク上部からの非接触設置では、中心軸上で直下に障害物がない位置を選ぶ。波立ちが激しい場合は静水筒(スチルウェル)や導波管を用いる。沈水型静圧センサは底部の堆積・渦・吸込みから離し、ケーブルはドリップループで防水し、ベントチューブ先端に乾燥剤を装着する。フランジ・ねじ込みはガスケット材とトルク管理で密封する。屋外は遮光・防雨カバー、結露対策として温調やブリーザを検討する。

信号・インターフェースとフェールセーフ

プロセス制御では4-20mAが主流で、断線検知に有利である。NAMUR NE43準拠のフェールアウト(3.6mA/21mAなど)設定で異常時の安全側動作を実現する。デジタルはHARTで遠隔レンジ設定・診断、MODBUSで多点収集、IO-Linkでパラメータ一括管理が行える。レベルスイッチ用途はリレー/オープンコレクタ/PNP/NPNを使い分け、SIL要求がある場合は二重化・多様化(異方式冗長)を設計に織り込む。

校正・トレーサビリティ

静圧式は水柱基準またはデッドウェイトでゼロ/スパン校正を行い、現場では空タンク基準のゼロ点合わせと既知水位でのスパン再調整を行う。超音波・レーダはゼロ距離・タンク高さ・ブラインドゾーンの設定が重要で、エコーマップを保存すると再現性が向上する。校正周期はドリフト・使用環境に依存するが、屋外・腐食性環境では短めに設定する。

典型アプリケーション

下水ポンプ場では導電式/フロート式でON/OFF制御しつつ、静圧式またはレーダで連続監視を行い、越水警報とポンプ交互運転を実装する。薬液タンクでは容量式やレーダを選び、耐薬品フランジとライニング材を合わせる。ダム・河川ではレーダと帯域狭い通信を組み合わせ、太陽光電源・バッテリーで無人観測を行う。ボイラドラムは差圧式トランスミッタで水位を推定し、蒸気密度変化を補償する。

信頼性と保全計画

冗長構成(異方式2oo3投票)、自己診断の常時監視、ドリフト監視(トレンドからの残差評価)、定期点検(清掃・ベント乾燥剤交換・締結再トルク)、ファーム更新とパラメータバックアップを計画に組み込む。保護では避雷器・サージアレスタ、シールド/接地、ケーブル金属管保護、コネクタ防水キャップを徹底する。ライフサイクルでは部品製番の記録、履歴管理、交換容易な取付治具を標準化してダウンタイムを最小化する。

用語補足

ゲージ圧は大気圧基準、絶対圧は真空基準である。ブラインドゾーンはセンサ近傍で測定不可の領域で、取り付け高さと最小水位の関係で必ず確認する。スロッシングは液面の揺動で、時間平均やメカ的ダンピングで抑制する。これらの理解が水位センサの選定・設計・運用の確度を高める。