暗黒時代|エーゲ文明から古代ギリシアまでの400年,世界史

暗黒時代

暗黒時代エーゲ文明の滅亡から古代ギリシアにかけた約400年の歴史である。ほとんど史料が残っていないため、暗黒時代とよばれている。以前は古代ギリシアが生まれるまで、エーゲ海周辺は人類に未開の地として人々は思っていたが、エーゲ文明の発見からエーゲ海周辺にも文明が栄えていたことが知られていた。しかし、そのミケーネ文明が滅亡して以降、古代ギリシアが台頭するまで400年間はよくわかっていない。

エーゲ文明

エーゲ文明

前12世紀

前12世紀ごろドーリア人はギリシアの多くの部分を征服し、そこの先住民を支配するが、先住民の一部分は海を越えて、対岸の小アジアの沿岸や付近の島々へ移住した。また、ドーリア人の一部分もそれに続いて、ペロポネソス半島からクレタ島へ渡り、さらに小アジア沿岸の南部へも移住した。その結果、小アジアの沿岸にはアイオリス人、中部にイオニア人、南部にドーリア人が定着した。なお、ペロポネソス半島の一部には北西方言群の人々がとどまった。

暗黒時代

ミケーネ文明の崩壊後数十年間は、このようにギリシア全体が混乱に陥った。文字の知識は失われ、前8世紀ごろまでは文字による史料が完全に欠如し、ほとんどわかっていない。陶器などの考古学研究からはしだいに安定した社会が生まれることがわかる。

貴族政へ移行

暗黒時代は各地で強力な王国が存在せず、比較的小さな都市が生まれ、王政はしだいに衰退し、貴族政へ移行したと考えられている。例外としてはスパルタがあげられる。

アテネの伝説

アテネの王コドロスが自国へのドーリア人の侵入を撃退して戦死したのは前11世紀ごろだとされており、それ以後は王を立てず貴族政になったという。

鉄器

ギリシア・エーゲ世界には古く青銅器が使われていたが、暗黒時代に鉄器が普及した。

ギリシア語アルファベット

フェニキア文字を手本にギリシア語アルファベットを発明した。

ホメロスの叙事詩

前800年ころ成立したホメロスの叙事詩は、トロヤ戦争の結末とそのあとのギリシア人たちの帰還の運命をうたっているが、そこに描かれた社会や生活はミケーネ時代のものではなく、暗黒時代からホメロスの時代までの社会を繁栄していることを示唆している。

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