旋回テーブル
旋回テーブルは、テーブル面を高精度に回転・割出しするための装置であり、工作物や治具を載せて所定角度へ定位させる機構である。工作機械の第4軸・第5軸として用いられるほか、検査・溶接・組立などの生産設備でも活用される。構造は回転テーブル、支持用の高剛性軸受、減速・駆動部、位置検出系、制動装置、ベースから成り、要求に応じて貫通孔やT溝、真空吸着などの付加機能を備える。高い位置決め精度・繰返し精度、許容モーメント、面振れの小ささが性能評価の要点である。
構造と基本部品
旋回テーブルの核心は、回転面を支える転がり要素と駆動・検出系にある。支持にはクロスローラやアンギュラ玉などのベアリングが用いられ、剛性と面振れ低減を両立する。駆動はウォームギヤ、ハーモニックドライブ、ダイレクトドライブ(DD)などが選択され、エンコーダで角度を高分解能に検出する。停止時は電磁ブレーキやセルフロック機構で保持する。テーブル上にはT溝や位置決めピン孔を設け、心出し用の基準面を組み込む。
- 回転テーブル:ワーク搭載面。面精度と剛性が重要
- 支持軸受:クロスローラ等で傾き剛性を確保
- 減速・駆動:ウォーム、ハーモニック、DDのいずれか
- モータ:サーボモータやステッピング
- 検出:アブソリュート/インクリメンタルエンコーダ
- 制動:電磁ブレーキ、機械ロック
駆動方式(手動・NC・ダイレクトドライブ)
手動式は割出しプレートとクランプで簡便に角度固定する。NC式はCNCと連動し、Gコードで角度指令や同時5軸制御に対応する。DD式はモータを直接結合し、バックラッシュが極小で応答性に優れるが、制御系と熱対策の設計が要点となる。ウォームやハーモニックは高減速比で保持力に優れ、微小送りに強い。用途とコスト、必要精度・速度・保持力のバランスで選定する。
性能指標と選定の要点
旋回テーブルでは、位置決め精度(絶対精度)と繰返し精度、バックラッシュ、面振れ、同芯度、許容モーメント(傾きMa・半径Mr・回転Mc)、最大回転速度、割出し時間、許容慣性、許容荷重が主要指標である。見落とされやすいのがケーブルの可動曲げ耐久や発熱・温度上昇であり、長時間運転時の熱安定も考慮する。搭載ジグの重心位置、ワーク慣性、加減速プロファイル(T=J·α+損失トルク)を見積もり、余裕を持つモータ容量と減速比を選ぶ。
- 精度:位置決め±、繰返し±、累積誤差、角度分割誤差
- 剛性:支持剛性、クランプ剛性、静/動剛性
- 許容値:モーメントMa/Mr/Mc、荷重、慣性
- 動特性:最大速度、割出し時間、応答性
- 環境:防塵・防滴(IP)、潤滑方式、温度範囲
据付と調整
旋回テーブルは、ベース基準面の清掃・バリ取り後に接触面を軽く擦り合わせ、ダイヤルゲージで振れを監視しつつ仮締め・本締めを行う。水平出しと芯出しを終えたら、T溝・ピンで再現性の高い段取りを作る。締結は適正トルクでボルトを締め、座面の沈み込みや座金の選択にも注意する。NC式では原点復帰、バックラッシュ補正、エンコーダ初期化、非常停止確認、ケーブルベアの干渉確認を行う。
代表的用途
旋回テーブルは、マシニングセンタでの円周割出し、複数面の連続加工、螺旋溝や歯形の加工補助に使われる。旋盤や治具研削では角度基準の確立、検査では角度校正・三次元測定の姿勢替え、溶接・ロボット組立では姿勢制御による溶け込み・アクセス改善に寄与する。レーザや水ジェット切断設備(レーザー加工機、ウォータージェット切断機)では、曲線切断や同時多面加工の位置決めに効果的である。
- 4軸/5軸加工のC軸としての連続割出し・同時制御
- 多面一括加工による段取り削減とタクト短縮
- 検査・測定治具の姿勢替え、角度基準の再現
- 溶接・はんだ付けの姿勢最適化、熱影響の分散
トラブル事例と対策
バックラッシュ増大はウォームの摩耗や予圧低下が原因で、プリロード調整や部品交換が必要である。振動・ビビりは共振や剛性不足によるため、クランプ強化、治具軽量化、加減速変更で抑制する。熱膨張は長時間運転で精度を崩すため、予熱運転と温度補正を併用する。面傷や打痕は段取り時の異物混入が原因で、清掃と保護板運用が有効である。エンコーダアラームは配線・シールド・アースを再点検し、フェーズ調整・原点再設定を行う。
- 潤滑不良:適正グリース・油膜の維持、給脂周期の遵守
- ケーブル断線:曲げ半径遵守、ケーブルベアの見直し
- ブレーキ摩耗:保持力低下は安全停止距離に直結、早期交換
- 面振れ増大:ベース面の歪み、締結順序の見直し
関連用語と類似機器
割出台(indexer)は所定角度に機械的に割出す機構を指し、NC割出台はCNCで任意角へ指令できる。ラウンドテーブル、ロータリーテーブル、回転テーブルはいずれも旋回テーブルの同義であるが、DDテーブルは特に直接駆動型を指すことが多い。工作機械分野ではA/B/C軸の一部として記載され、C軸がテーブル回転に割り当てられることが多い。用途・精度・速度の要件に応じ、手動、NC、DDの各方式から最適解を選定する。
安全と保全の留意点
段取り時は予期せぬ回転を避けるため非常停止と機械ロックを活用し、吊り荷の慣性で回転しないよう支持具を併用する。運転中の巻き込み・挟まれ防止のため、ガードと安全インタロックを設ける。保全ではグリースアップ、バックラッシュ点検、エンコーダ電池交換、配線の目視点検を周期化し、精度は定期的にマスタ治具で校正する。制御側では位置補正マップと原点オフセットを管理し、更新履歴を残すことで旋回テーブルの長期安定運用につなげる。