接地抵抗測定|事故防止と設備信頼性向上

接地抵抗測定

接地抵抗測定は、電気設備の接地極が大地に対して十分に低いインピーダンスで接続されているかを定量評価する試験である。異常電流の大地への逃がしや保護機器の確実動作、感電・火災リスクの低減を目的とし、配電盤・受変電設備・情報通信設備・雷保護システムなど広範で実施する。一般に専用の接地抵抗計(アーステスタ)を用い、補助電極を打設して電位降下法で求める三極法が標準である。周辺土壌の比抵抗、湿潤状態、季節要因、他設備との結合などが測定値に影響するため、手順と補正の妥当性が品質を左右する。

目的と適用規格

主目的は保護機能の検証である。漏電遮断器や避雷器、機器筐体の保護接地系が想定通り動作するためには、接地抵抗が規定値以下である必要がある。国内では電気設備技術基準の解釈やJISに準拠した試験が推奨され、系統種別(D種、C種等)や用途によって基準値が異なる。竣工時試験だけでなく、定期点検での追跡測定も欠かせない。

測定の基本原理

接地極に試験電流を注入し、その電流によって大地に生じる電位勾配を補助電極で検出して抵抗を算出する。理想的には球対地電極の等価モデルで解釈でき、電流電極から十分離隔した領域では電位分布が安定する。この安定領域での電位差と既知電流からR=V/Iとして接地抵抗測定値を得る。

主な測定方式

代表的には三極法、四端子法、クランプ法がある。三極法は現場標準で汎用性が高い。四端子法はリード線・接触抵抗の影響を分離し高精度が期待できる。クランプ法は活線下のループ抵抗を非接触で概測でき、都市部など補助電極の設置が難しい環境で有効である。

三極法(電位降下法)

被測定接地極E、電流用補助極C、電位用補助極Pの3点を直線上に配置し、E—C間へ試験電流を流し、E—P間の電位差を読み取る。P位置を数点移動して平坦部を確認し、安定した値を採用する。Cは可能な限り遠方へ、PはE—C間の40〜60%付近が目安である。

四端子法(高精度法)

電流注入と電圧検出を独立導線で行い、リードや接触の抵抗影響を抑える。低抵抗の母線接地や広面積電極の評価に適するが、配置自由度や設営手間は増える。

クランプ法(ループ測定)

接地導体にクランプセンサをかけ、励磁と検出を同一クランプで行ってループ全体の等価抵抗を測定する。単独接地では成立しにくく、並列接地網の一部抵抗として解釈する実務ツールである。

測定機器と設定

アーステスタは数十Hz程度の試験周波数で注入し、商用周波数や高調波の影響を回避する機能を備える機種が多い。レンジ設定は期待値の10倍程度まで見渡せる範囲とし、オーバーレンジやノイズ指示の有無を確認する。補助電極はステンレス棒等を湿潤土壌に確実に打設し、接触抵抗を低減させる。

手順(現場フロー)

  1. 図面・接地系統の確認(単独か並列か、系統種別、想定基準値)。
  2. 補助極の候補位置を選定し、地下埋設物やケーブルから十分離隔を確保。
  3. 三極法で仮配置し、P位置を複数点でスイープして平坦部を探索。
  4. 本測定を複数回実施し、平均値と再現性を評価。
  5. 必要に応じて周波数変更・電流値変更・四端子法で再確認。
  6. 結果と環境条件(含水、気温、天候、季節)を記録し、是正要否を判定。

判定基準と典型値

基準は用途に依存し、情報通信や医療、避雷設備ではより厳格な値が求められることが多い。実務上、乾燥砂質土では値が高く出やすく、粘土・湿地では低い傾向を示す。単純比較ではなく、系統要件・保護協調・実使用環境を併せて評価する。

誤差要因と低減策

  • 土壌比抵抗の不均一:P位置を走査して平坦部を採用し、複数方位で確認する。
  • 補助極接触不良:散水・導電ジェル・深打ちで接触抵抗を下げる。
  • 外来ノイズ・帰路電流:試験周波数の切替、フィルタ機能、時間帯配慮で抑制。
  • 他接地との結合:連系導体を一時開放できる場合は単独化して再測定。
  • 季節差:必要に応じて最不利条件(乾燥期)での再検証を計画。

改善方策(値が高い場合)

電極の増設や深埋設、水平電極の延長、薬剤電極の採用、土壌改良(ベントナイト等)、接続部の腐食・緩み是正、導体断面の見直しが代表策である。雷保護系ではダウンコンダクタの配置最適化や等電位化も効果的である。

記録・報告の要点

接地抵抗測定では、機器型式・校正情報、測定方式、電極配置距離図、試験周波数・電流、気象・土壌状態、測定値(中央値・平均・ばらつき)、是正提案を併記する。再現性とトレーサビリティを担保し、次回点検の基準とする。

関連要素との関係

低抵抗化は単なる数値達成にとどまらず、保護リレーの設定整合、遮断器の動作時間、情報機器のコモンモード耐性、雷サージの分流経路、等電位ボンディングの完結度と密接に関係する。設計・施工・保全を横断して接地抵抗測定の結果を活用することが設備信頼性を高める鍵である。