振動数
振動数は、周期的現象が単位時間あたりに繰り返す回数であり、記号fで表し、単位はHz(1/s)である。機械の往復運動、回転体のアンバランス、音、電気回路、電磁波など広範に現れる。周期Tとの関係はf=1/Tで、角周波数ω=2πfと結び付く。周期、振幅、位相と並び、時間信号を記述する基本量である。測定ではゼロクロス法やカウンタ、fftなどが用いられ、設計では共振回避や遮断周波数の設定に直結する。
定義
振動数は、時間窓の長さΔt内に観測される繰返し回数Nを用いてf≈N/Δtと近似できる。厳密には極限操作でf=lim(Δt→∞)N/Δtで定義する。正弦波に限らず矩形波や鋸歯状波にも定義でき、確率的ゆらぎを含む場合は平均や瞬時値の概念を補助的に使う。
単位と表記
振動数の国際単位はHzで、1Hzは1回/sである。kHz、MHz、GHzなどの10の3乗系列を使う。角周波数はrad/sで、fとωを混同しないことが重要である。回転機械ではrpm(revolutions per minute)が慣用だが、工学解析ではHzへ換算して比較する。
周期・角周波数との関係
振動数と周期はf=1/Tで互いに逆数である。角周波数はω=2πfで、微分方程式系やフーリエ解析ではω表記が便利である。波動では位相速度vと波長λによりf=v/λが成り立ち、媒体の性質(弦の張力、流体の体積弾性率、電磁定数など)がf依存性を生む。
正弦波モデル
時間信号x(t)=A sin(ωt+φ)において、Aは振幅、φは位相、f=ω/2πが振動数である。線形系では入力のfがそのまま出力に現れ、非線形系では高調波やサイドバンドが生成される。定常正弦応答は伝達関数H(jω)の評価点ωで特徴付けられる。
測定手法
- ゼロクロス計数:一定時間の零交差回数から振動数を算出。雑音に弱いが簡便。
- 周波数カウンタ:基準クロックとゲートで直接計数。高精度。
- fft:時間データを周波数軸へ変換しピークから推定。多成分信号に有効。
- タコジェネレータ/エンコーダ:回転軸の振動数やrpmを電気信号化。
離散化とサンプリング
振動数をadcで取得する際、サンプリング周波数fsは対象の最高振動数fmaxの少なくとも2倍(ナイキスト条件)とする。fs/2を超える成分は折返し雑音として誤認されるため、aaフィルタが必要である。窓関数はfft漏れを低減する。
機械工学での応用
構造物の固有振動数はm−k系でf=1/(2π)√(k/m)と表され、軽くて剛な設計はfを高める。回転体の一次危険速度は回転振動数が固有振動数に一致する点であり、通過時の振幅制御やバランス取りが重要である。支持剛性や減衰の調整は耐振の基本である。
共振と設計指標
ボード線図で共振峰の周辺振動数帯を把握し、使用振動数域から離す。制振材やダンパは損失係数を増やしピークを抑える。配管・筐体では励振源(モータの電源振動数、羽根通過振動数など)との整合を避ける配置が有効である。
信号解析とスペクトル
自己相関とパワースペクトルは振動数成分の強度を与える。stftやcwtは時間変化する振動数の追跡に適し、オーダトラッキングは回転比に同期した振動数解析を可能にする。ピーク同定では分解能Δf≈fs/Nを意識する。
関連する量
音響では振動数が音高、振幅が音量、スペクトルが音色を支配する。電磁波では振動数が光子エネルギーE=h fに直結する。制御では帯域幅が応答速度を規定し、カットオフ振動数の設定がノイズ抑制とトレードオフをなす。
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