感光性樹脂
感光性樹脂は、紫外線や可視光線など特定の光に反応して化学構造が変化し、硬化や溶解度の変化を起こす材料である。フォトリソグラフィやプリント基板の製造、印刷版の作成など、多様な分野で利用されており、微細パターンの形成や表面改質に欠かせない存在となっている。近年はスマートフォンやウェアラブル機器などの小型化・高機能化に伴い、より高い解像度や高耐久性を求められるケースが増えており、感光性樹脂の選定や配合技術がますます注目を集めている。
概要
感光性樹脂の概要を理解するうえでは、光照射によって生じる化学反応の種類と、その結果として得られるパターンや物性変化を把握することが重要である。一般的には、レジスト(フォトレジスト)として使用される場合に、光照射部分が化学変化を起こして可溶化または不溶化する性質を利用する。可溶化するタイプはポジ型レジスト、不溶化するタイプはネガ型レジストと呼ばれる。さらに樹脂の組成や添加剤によって硬化特性や感度、溶剤への耐性などを自由に調整できるため、目的の用途やプロセス条件に合わせて多様なバリエーションが開発されてきた。
主な種類と特徴
感光性樹脂には、アクリル系やエポキシ系、スチレン系、ジアゾ系など多彩な種類が存在する。アクリル系は硬化後の透明度が高く、微細なパターン形成に向いている一方、エポキシ系は高い密着性や熱的特性を持つため、耐久性や物理的強度を重視する場面で選択される。ジアゾ系は古くから印刷版の製版に用いられてきた歴史があり、高い解像度と安定した露光特性を持つ。また、近年では半導体の3Dパッケージング技術に対応するために、高アスペクト比パターン形成に適した樹脂や、低誘電率・低熱膨張率を備えた高機能樹脂も注目されている。
フォトリソグラフィでの応用
半導体製造工程のフォトリソグラフィにおいては、ウエハ表面に塗布した感光性樹脂を露光機でパターン照射し、現像することで微細な回路パターンを形成する。回路のライン幅や形状はレジストの感度や均一性、薄膜形成技術によって大きく左右される。従来のi線(波長365nm)やKrF(248nm)、ArF(193nm)といった深紫外域の露光に加え、EUV(極端紫外線)を用いた先端リソグラフィ技術ではレジスト自体にも新しい要件が求められ、高い解像力と現像コントラスト、そして低ラインエッジラフネスが追求されている。
プリント基板と製版への応用
プリント基板の配線形成においては、銅箔層の上に感光性樹脂を塗布して露光し、不要箇所をエッチングで除去する方法が一般的である。特に多層基板やビルドアップ基板など高密度実装を狙う場合、微細パターンを正確に再現するためにレジストの膜厚均一性と露光精度が重要となる。印刷分野でもオフセット印刷やグラビア印刷の製版工程において、アルミニウム版やシリンダー表面に感光膜を形成し、露光後の現像で版を作り上げる。これにより細かな文字や図版を長期にわたって正確に印刷できる利点が生まれている。
課題と対策
感光性樹脂は高精度なパターンを形成できる一方、経時劣化や温度・湿度変化による特性変化、またプロセス中に発生する化学物質との相互作用といった課題が存在する。熱硬化型レジストや二段階硬化プロセスを採用して耐久性を向上させる一方、感光時の副生成物やガスによる汚染を防ぐ装置設計が不可欠である。さらに露光後の現像工程では、アルカリ溶液や有機溶剤を用いるため、作業者の安全性や環境保全に配慮したプロセス管理が要求される。クリーンルーム内での塵埃対策も重要視されており、塗布や露光の段階で微細な異物が付着するとパターン欠陥の原因となるため徹底した管理が行われている。