周期表
周期表とは、原子番号Zの順に元素を配列し、電子配置と化学的性質の周期性を一枚で可視化する枠組みである。行を周期、列を族と呼び、外殻電子の数と軌道構造が族の共通性を規定する。現行の長周期表は1〜7周期、1〜18族の体系をとり、s,p,d,fの4つのブロックで電子殻の充填順序を表す。予測力に優れ、未知化合物の性質推定、材料設計、触媒探索、腐食制御、電池や半導体の選定など工学的判断に直結する指針を与える。
構成と記号
各セルには元素名、元素記号、原子番号Z、標準原子量などが示される。記号はIUPACの命名則に基づき共有され、JISやISOでも表記の整合が図られる。原子核の陽子数がZであり、同位体は中性子数の違いとして扱う。数値は更新されるため、最新版データと周期表の凡例を確認するとよい。
アルカリ土類金属
遷移金属
後遷移金属
半金属
非金属
ハロゲン
希ガス
ランタノイド
アクチノイド
※ 57–71(ランタノイド)、89–103(アクチノイド)は下段に別列で表示。
周期と族
横列は周期で1〜7、縦列は族で1〜18に番号付けされる。族は価電子配置が似通い性質が近い。周期を下へ進むと殻が増え半径が大きくなり、右へ進むと有効核電荷が増し結合が強まる。
ブロックと電子配置
電子配置の最外殻軌道によりs、p、d、fブロックに区分される。構築原理、パウリの排他原理、フントの規則に従い軌道が占有され、価電子が反応性と結合様式を決める。d・f電子は磁性や触媒能に寄与し、材料設計ではブロック把握が重要である。
周期律と典型的トレンド
- 原子半径:右へ小さく、下へ大きく。d・f充填に伴うランタノイド収縮などの例外。
- 第1イオン化エネルギー:右上ほど大きい。閉殻では局所的に高い。
- 電気陰性度:フッ素が最大。金属から非金属へ向かうに従い増大。
- 電子親和力:pブロックで顕著。陰イオン形成に関与。
- 金属性:左下ほど強い。対角線に遷移帯。周期表の把握に有用。
主要な族の特徴
- アルカリ金属(1族):柔らかく反応性が高い。水と激しく反応し+1の酸化数をとる。
- アルカリ土類金属(2族):酸化皮膜で比較的安定。合金や材料で重要。
- pブロック中核:共有結合が多様。半導体や高分子骨格に直結。
- ハロゲン(17族):強い酸化剤で反応性大。消毒や電解プロセスに不可欠。
- 貴ガス(18族):閉殻で不活性だがXe化学など例外もある。レーザや照明に利用。
- 遷移金属(3〜12族):d軌道により多彩な配位と触媒活性。周期表の中心。
- ランタノイド・アクチノイド:磁石、光学、核エネルギーに関与。資源戦略上も重要。
水素とヘリウムの位置
水素は1族上に置かれることが多いが、電子配置や化学挙動は独特である。ヘリウムは1s2のため理論上はsブロックだが、化学的惰性が大きく18族上に配置する形式が通例である。この選択も周期表の解釈に含まれる。
ランタノイドとアクチノイド
fブロックは表を横に拡げる代わりに下段へ抜き出して描くのが慣習である。ランタノイド収縮はイオン半径や配位数に影響し、触媒や蛍光体の設計指針となる。アクチノイドは多くが放射性で、核燃料サイクルや医療利用で周期表の位置づけが鍵となる。
拡張と新元素
既知の元素はZ=118(Og)まで命名済みである。超重元素は重イオン反応で合成され、崩壊系列から同定される。8周期の拡張は理論段階で、相対論効果を含む量子化学に依存する。
工学・材料での活用
合金設計では原子半径、価電子濃度、混合エンタルピーを対照し、耐食・高強度・耐熱の最適化を図る。半導体ではSiにB、P、Asを添加しキャリア濃度を制御する。電池ではLiや遷移金属の酸化還元を利用し、触媒ではPt、Pd、Niが活躍する。設計では周期表を引く習慣が効率を高める。
参考データの見方
個々のセルはZ、記号、名称、原子量、状態、電気陰性度、代表酸化数などで構成される。表のレイアウトに差があるため、凡例を確認してから読むと誤解が減る。研究や設計では、周期表と物性表(融点、密度、導電率など)を併置して参照すると判断が速い。