半波整流|交流波形の片側を利用して簡易的に直流を得る方式

半波整流

電源から得られる交流(AC)電圧を直流(DC)に変換する技術を整流と呼ぶ。その中でも最も基本的な方式の一つが半波整流である。交流波形の一部のみを利用して直流に近い波形を得るが、変換効率や回路構成などは他の整流方式と異なり独自の特徴を持つ。

半波整流の原理

半波整流では、交流電源の波形の正または負の半周期のいずれか一方だけをダイオードによって通過させ、もう一方の半周期は遮断する。具体的には、単純なダイオード1本と負荷抵抗のみで構成できるため、最小限の部品で整流回路を実現できる利点がある。一方、残った波形はパルス的な直流となるためリップルが大きく、負荷によっては電圧変動の影響を受けやすい。一般的にはリプル低減のためコンデンサなどを付加し、ある程度平滑した後に直流として利用する。

ダイオードの役割

半波整流回路において中心的な働きをするのがダイオードである。ダイオード電流を一方向にしか通さない性質を持ち、交流電圧の正(または負)半周期だけを負荷へ伝える。ダイオードの選定時は整流能力、許容電流、逆電圧への耐性などを考慮しなければならない。特に高い電流が流れる場合は、大電流対応ダイオードやショットキーバリアダイオードを選ぶことで、損失を抑えつつ信頼性を向上できる。また整流時に発生するノイズや温度上昇にも注意が必要である。

用途と実例

半波整流は効率や波形品質の観点から、商用大電力用途よりは小規模な回路や簡易電源でよく使われる。例えば小型アダプタや古いラジオ、低電力のセンサー回路などでは、部品点数を抑えつつ交流から直流を取り出す手段として採用されることが多い。必要な直流電力が少なく、負荷側で多少のリプルを許容できる場合にはコストメリットも大きい。一方、高品質の直流が求められるオーディオ機器や精密測定機器の場合、三端子レギュレータや平滑回路を組み合わせるなど追加の対策を施すか、フルブリッジ整流をはじめとする別の方式が採用されるのが一般的である。

その他の回路例

  • 全波整流:ブリッジ回路やセンタータップ式トランスを用いて正負両方の半周期を直流に変換する方式。
  • 倍電圧整流:コンデンサダイオードを組み合わせ、入力電圧の2倍以上の直流電圧を得る方式。

用語整理

  • リップル:出力波形に含まれる残留的な交流成分を指す。
  • 平滑回路:コンデンサやインダクタを用いて、脈流をできるだけ滑らかな直流に近づけるための回路。