区分開閉器|保守・事故時に回路を安全隔離

区分開閉器

区分開閉器は、配電系統を複数の区間に分割し、事故時に健全区間を迅速に再送電するための開閉器である。主として高圧配電(6.6kV級など)の引き回しや幹線に挿入され、故障電流そのものを遮断するのではなく、上位の再閉路器(リクローザ)や遮断器の動作と協調して特定区間を切り離す役割を担う。平常時は閉路し、事故時には所定のシーケンスに従って開路する設計で、系統の信頼度と供給継続性(SAIFI/SAIDIの改善)に寄与する。

定義と目的

区分開閉器の目的は、系統を区分化し、故障の波及を最小化することである。リクローザの動作カウントに追従して対象区間を無電圧時に開放する「セクショナライザ(sectionalizer)」として機能し、不要な広域停電を避けつつ故障区間の特定を容易にする。結果として復旧作業の短時間化、需要家影響の局所化、保全計画の効率化が実現する。

動作原理(リクローザとの協調)

一般に上位のリクローザが短絡故障を検出して瞬時または時間遅れで動作(開路)し、自動再投入を試みる。区分開閉器は電流の有無やリクローザ動作回数を計数し、設定回数に達した後、無電圧間隙で開放する。これにより故障電流のアーク消弧は上位機器に委ねられ、区分器自体は負担の小さい状態で確実に開放できる。復旧時は故障区間を切り離したまま健全区間へ送電し、故障点修復後に再閉路する。

種類と構造

区分開閉器には、柱上形の油圧・ばね機構による手動操作型、モータ駆動のリモート操作型、真空インタラプタを用いた負荷開閉能力付き(LBS相当)などがある。絶縁媒体は空気、SF6、樹脂モールドなどが用いられ、屋外耐候性や汚損耐力に応じて選定する。接点は長期の機械的耐久性と低抵抗維持が求められ、開閉回数、機械寿命、塩害・風雪環境での信頼性が評価項目となる。

用語の整理(遮断器・断路器・LBSとの違い)

遮断器(CB)は短絡電流を動的に消弧する主保護機器であり、断路器(DS)は無負荷で可視開極を確保する隔離機器である。LBSは一定の負荷電流を開閉できる機器で、短絡遮断能力は持たない。区分開閉器は保護リレーと連携する自動区分機能を重視し、故障電流の遮断動作は原則として上位のCBやリクローザに依存する点が特徴である。

定格と選定指針

  • 適用電圧・周波数:公称6.6kV/50-60Hzなど系統仕様に適合させる。
  • 定格電流:幹線負荷・季節ピーク・将来増強を見込んで余裕を持たせる。
  • 短時間耐電流・耐熱:上位保護機器の遮断動作時間内での熱・電磁耐力を確認する。
  • 雷インパルス耐電圧・工頻耐電圧:クリアランス、沿面距離、汚損係数を考慮。
  • 開閉サイクル寿命:SCADAからの遠隔操作頻度、系統切替運用を反映。
  • 環境条件:塩害、風雪、日射、標高、振動条件で筐体・シールを選ぶ。

設置位置と系統設計

分岐点や需要密集エリアの境界、故障履歴の多い区間の両端などに配置する。区間長、電圧降下、保護協調(OCGR、OCD、方向性要否)、饋電構成(ループ/放射)を踏まえ、区分数と区分長を最適化する。自動再閉路時の瞬時電圧低下(dip)影響を抑えるため、重要需要家の手前で区分する設計が有効である。

制御・通信(自動化)

遠隔操作・自動区分には制御端末と通信が必要である。RTU/IEDと区分開閉器を接続し、SCADA上で状態監視・開閉制御・動作カウント・イベント記録を行う。通信媒体は無線、光、PLCなどを用い、冗長ルートやサイバーセキュリティ(認証、暗号化、監査ログ)を実装する。停電時動作確保のためにバッテリバックアップと低温特性も評価する。

保守・信頼性

定期点検では接点抵抗、操作機構の潤滑・バネ特性、密閉部のリーク、端子部の温度上昇を測定する。稼働データから開閉回数・故障イベントを解析し、予防保全(CBM)を計画する。代表的な劣化モードは機械摩耗、汚損による沿面フラッシオーバ、締結部の緩み、制御回路の電源劣化であり、絶縁洗浄やトルク管理、電池交換周期の適正化が有効である。

安全と規格

据付・操作は感電・アーク閃絡のリスクを伴うため、接近距離と活線近接作業の手順を遵守する。適用規格としてJIS、電気設備技術基準、電力会社仕様、必要に応じてIECやIEEEの適合を確認する。ラベル表示、施錠・インターロック、見える化された開極表示、非常停止系の整備が安全水準を高める。

導入効果と計測指標

区分開閉器の導入により系統の可用性が向上し、停電指標(SAIDI、SAIFI、CAIDI)の改善が見込める。配電自動化との組合せで故障区間の自動切り離し・自動復旧(FLISR)が実現し、需要家影響を最小化する。費用対効果は停電コスト、保全費、通信・制御の追加投資を含めてライフサイクルで評価することが望ましい。

設計上の留意点(補足)

上位保護機器の整定と整合させ、誤動作による不要開放を避ける。ループ系統では潮流反転時の検出・制御ロジックを用意し、DG(分散型電源)併設時は逆潮流や故障電流寄与を見込む。将来の配電自動化拡張に備え、インターフェース(I/O点数、通信規格、時刻同期)に余裕を持たせる設計が望ましい。