加重平均|各要素の重要度を考慮した平均値を計算する

加重平均

加重平均は、複数の値に対して重要度や比率を示す「重み」を与え、その重みに応じて平均値を求める方法である。金融では売買数量を反映した平均取得単価、経営では部門別の売上構成を反映した平均利益率、統計では標本の代表性を補正した平均など、現実の構造を平均値に織り込む用途が多い。データの大きさや影響度が不均一な場合に、単なる数の平均よりも実態に沿った指標を作りやすい点が特徴である。

概念と基本式

加重平均は「値x」と「重みw」を組にして集計する。基本式は、各値に重みを掛けた合計を、重みの合計で割る形になる。

重みの決め方

重みは、平均に反映させたい影響度を定義する。金融なら売買数量、指数なら構成銘柄の規模、経営なら売上高や投入資源量などが典型である。重みの設計が不適切だと、平均値は見た目に整っていても意思決定を誤らせるため、次の点を確認する必要がある。

  1. 重みが測りたい実態と一致しているか
  2. 重みの単位や期間が揃っているか
  3. 欠損や外れ値が重みにより過度に増幅されないか

また、重みが大きい観測値が少数に偏ると、平均が特定の要因に強く引っ張られる。平均値の解釈には、重みの分布も併せて示すと誤解が減る。

金融・投資での代表例

金融分野では、加重平均は「取引量」や「規模」を反映する指標として使われる。代表例は平均取得単価であり、複数回に分けて買付した場合、各回の価格に数量を重みとして与えることで実態に沿う平均コストが得られる。

  • 平均取得単価 = (価格×数量の合計) / (数量の合計)
  • 出来高を重みにした平均約定水準の把握

指数でも重み付けが中心概念になる。例えば株価指数の中には、構成銘柄の時価総額を重みにして市場全体の動きを表す設計がある。日本ではTOPIXのように規模を反映する考え方が知られている。投資家は、指数の上昇が市場全体の広がりによるものか、特定の大型銘柄の比重によるものかを読み解く必要がある。

企業経営・会計での利用

企業経営では、売上高や投入量を重みにして「全社平均」を作る場面が多い。部門別利益率の平均を取る場合、部門の売上規模を重みにすれば、全社としての収益構造を反映しやすい。原価管理でも、在庫の評価で加重平均の発想が用いられる。

在庫評価では、仕入単価が変動する中で期末在庫の単価を定める必要があり、移動平均法総平均法は、数量を重みにした平均単価を計算する枠組みとして理解できる。これにより、仕入時点の単価差が損益へ与える影響を平準化し、期間損益の把握を安定させる狙いがある。

計算手順と注意点

加重平均は計算自体は単純だが、前提を外すと誤差が拡大する。基本の手順は次の通りである。

  1. 値xと重みwを同じ粒度で並べる(期間、単位、範囲を揃える)
  2. 各ペアでw×xを計算し合計する
  3. 重みwを合計し、(w×xの合計)/(wの合計)を求める

注意点として、重みの合計が0になるケース(取引が成立していない、数量が0など)では計算できない。欠損値を0で埋めると、重みの解釈を壊すことがあるため、除外や補完のルールを先に定義することが重要である。さらに、重みが大きい一部の観測値が異常値だと平均が歪むため、集計前にデータ品質を点検する。

Excelでの算出

表計算では、重みと値の積の合計を重み合計で割ればよい。ExcelではSUMPRODUCT関数で「重み×値の合計」を作り、SUM関数で重み合計を作ると管理しやすい。例えば、値の範囲をB2:B6、重みの範囲をC2:C6とすると、SUMPRODUCT(B2:B6,C2:C6)/SUM(C2:C6)の形になる。式が短くても、重みの意味を列見出しで明示しておくと運用での誤用が減る。