光ケーブル
光ケーブルは、ガラスまたはプラスチックの光ファイバを複数本収容し、光信号で大容量・長距離伝送を実現する通信ケーブルである。全反射を利用して低損失で信号を伝えるため、メタルケーブルより広帯域で耐電磁ノイズ性に優れる。構造はコアとクラッドからなる光ファイバ、緩衝・心線、補強材、シースで構成され、屋内配線から海底幹線まで用途に応じた仕様がある。
伝送原理
光ケーブルの基本は屈折率の高いコアと低いクラッドの界面で生じる全反射である。ステップインデックスとグレーデッドインデックスの屈折率分布が用いられ、シングルモードはモード分散が極小、マルチモードは大径で接続が容易である。波長は850/1310/1550 nm帯が一般的で、光減衰と分散のバランスで選定する。
構造と材料
光ケーブルは、石英系シングルモード/マルチモードファイバのほか、短距離向けにPOFも用いられる。心線は緩衝(タイテッド/ルーズ)で保護され、アラミドヤーンなどの強化繊維で引張を負担する。外被(PVC/LSZH/PE)は設置環境に合わせて耐火性、耐油性、耐候性を選ぶ。
種類(SMF/MMF/POF)
- SMF(OS1/OS2):コア約9 μm、ITU-T G.652/G.657。長距離・高容量に適す。
- MMF(OM1〜OM5):コア50/62.5 μm、850/1300 nm。データセンターや屋内幹線で広く利用。
- POF:可撓性が高く短距離配線や車載に適用。
規格と適合
光ケーブルはITU-T(G.652/G.655/G.657等)やIEC/JISの規格に合致することが求められる。曲げに強いG.657は狭小曲げ半径の屋内引込に有利であり、耐火性能は建屋用途で重要である。
性能指標
- 減衰(dB/km):SMFで1550 nm時に約0.18〜0.25、MMFで850 nm時に約2〜3。
- 分散(ps/nm·km):色分散とモード分散を管理し、長距離では分散補償を考慮。
- 帯域(MHz·km):MMFはOM3/OM4/OM5で高帯域設計。
- NA(数値開口)とカットオフ波長:接続性と単一モード性を規定。
ケーブル構造のバリエーション
- ルーズチューブ:耐水・長距離向け。ゲルまたはドライWB材で浸水を抑止。
- タイトバッファ:屋内配線で取り回し容易。
- リボン:12心単位などで一括融着し施工時間を短縮。
- アーマード:鋼帯で齧害・外力から保護。引込用ドロップも存在。
コネクタと終端
光ケーブルの終端はSC/LC/FC/STなどを用い、フェルール径は2.5 mm(SC/FC)と1.25 mm(LC)が主流である。研磨形状はUPC/APCがあり、APCは反射低減に有利で映像・RFoGで多用される。挿入損失目安は接続で0.1〜0.3 dB程度、反射減衰量はUPCで-50 dB級、APCで-60 dB級を狙う。
接続方式
- 融着接続:アーク放電でコアを接合し低損失・高信頼。
- メカニカルスプライス:現場即応で損失はやや高い。
- プレコネクタ:工場成端済みで現場工数を削減。
敷設と施工管理
光ケーブル敷設では許容引張荷重と最小曲げ半径(静的/動的)を遵守する。マンホール・ハンドホール間は通線・ブローイング・マイクロダクトを併用する。屋内はダクト内配線やケーブルラックを用い、固定にはクランプやボルトを適切に選定する。識別は色分け・番号で誤接続を防ぐ。
測定・検査
- OTDR:イベント(接続・曲げ・断線)を距離と損失で可視化。
- OLTS(光損失試験):心線毎の総損失を測定。
- VFL/顕微鏡:フェルール端面の汚れ・欠けを検査。
- 清掃:無塵ワイプとIPAで端面クリーニングを徹底。
代表的用途
- FTTH/FTTB:屋外幹線から宅内引込までG.657が有効。
- データセンター:MMF(OM4/OM5)と並列伝送、SMFの100G/400G長距離接続。
- モバイルフロント/バックホール:低遅延・高信頼のSMFリンク。
- 産業・センシング:FBGやDAS/DTSによる監視・計測。
- 海底ケーブル:増幅中継器と高信頼シースで超長距離伝送。
選定の要点
- 必要帯域・距離:SMFかMMFを波長とともに決定。
- 設置環境:耐火(LSZH)、耐候(PE)、屋内外区分を確認。
- 施工性:曲げ特性(G.657)、リボン化、プレ成端の活用。
- 保守:測定装置の整備と端面管理の運用標準化。
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