三次元測定機
製造や研究における形状・寸法検査の中核装置が三次元測定機である。移動軸と高精度スケールで空間座標を取得し、点・線・面・円・球・円筒から幾何特性を求める。CADや図面GD&Tに基づく自動評価が可能である。
Table Of Contents
原理と構成
三次元測定機は剛性フレーム、直交3軸(X・Y・Z)、ガイドとスケール、プローブ、制御装置、測定ソフトで構成される。取得座標から最小二乗や最大内接・最小外接で幾何要素を算出し、データム設定後に位置度や平面度を評価する。
主な型式と用途
- ブリッジ型:汎用性と精度に優れ、金型や機械部品に広く用いられる。
- 門型(ガントリー)型:大型ワーク向けで、航空機構造や車体に適する。
- ポータブルアーム:可搬で現場対応に強く、据付検査に用いる。
プローブとセンシング
- 接触式:タッチトリガは基準点に、スキャニングは形状誤差の連続計測に向く。
- 非接触式:レーザ、白色干渉、共焦点は微細形状や軟質材に有効である。
- スタイラス管理:球径補正や長さ校正、ツリー最適化が再現性を左右する。
測定計画とアライメント
- 基準設定:機能データムを意識し、3-2-1やベストフィットで座標系を確立する。
- 点取り戦略:公差に応じて点数と分布を設計し、曲面は走査パスを定義する。
- 治具と把持:熱・振動を抑える剛直固定が必要。例えばボルトの締付けは歪みを生みやすく、予張力管理が重要である。
- プログラム化:DMIS準拠シーケンス、CAD連携、シミュレーションで誤りを抑える。
精度規格と不確かさ
性能評価はISO 10360に基づく。最大許容誤差(MPE)は長さ誤差Eやプロービング誤差Pで表される。環境は20±1℃、温度勾配・湿度・振動を管理する。不確かさは機差、温度、スタイラス弾性、ワーク膨張、取付歪み、点取り戦略の寄与を合成して見積もる。トレーサビリティは校正球やゲージブロックで国家標準へトレースする。
環境・据付と保全
恒温室や防振床、清浄度の維持は再現性を支える。エア供給の品質、案内面清拭、軸幾何チェック、スタイラス交換、校正を計画的に行い、ソフトはバージョン管理と検証記録を残す。
GD&T評価とレポート
位置度・平面度・直角度・同軸度・真円度の評価ではデータム参照枠の再現が前提である。外れ値処理やフィルタリングを行い、判定は数値基準で明確にする。CAD比較のカラーマップは補助的に用い、SPCや工程能力指数と連携させる。
自動化と製造連携
パレット搬送やロボット、プローブ自動交換、QR識別で無人計測が可能である。結果はMESへ送り、CNC補正や金型修正に反映する。インラインCMMは工程変動の早期検知に有効である。
選定ポイントと運用
- サイズ・公差要求からストロークとMPEを決める。
- 特性に応じ、接触/非接触とスキャン能力を選ぶ。
- CAD連携、点群処理、DMIS/QIF、レポート機能を確認する。
- 据付環境、保全体制、校正コストを見積もる。
関連技術
三次元測定機はレーザスキャナやX線CT測定、リバースエンジニアリングと連携して価値を高める。