ロット|製造や流通の基準単位として生産管理を効率化する

ロット

ロットとは、製造業や流通業などにおいて、製品や部材を一括で扱うための最小単位のことである。同一条件下で生産された製品群をまとめて管理し、歩留まりや不良率、品質のトレーサビリティなどを効率的に把握する狙いがある。特に半導体製造では、シリコンウェハや薬液、マスクなどの資材を同時にセットし、複数枚のウェハを一括でエッチングや拡散、成膜といったプロセスにかけることが一般的である。こうした単位のまとまりをロットと呼び、それが生産スケジュール管理や工程間の搬送において基準となっている。ウェハ1枚を最小ロットとするケースは少なく、複数枚をまとめて処理する方が工数削減やコスト効率がよいとされている。

概要

ロットは、製造や物流における生産性と品質管理を両立するために設定される。一般的には、同じ製造条件や投入時期で統一したまとまりを指し、一定数のウェハや完成品が同じ条件下で加工・検査を受けることで不良を特定しやすくなる。例えば半導体前工程の拡散炉やCVD装置では、一度に複数枚のウェハを入れ替える方が装置の稼働率を高められるため、プロセス工程ごとのバッチ処理単位をロットとして設定することが多い。工程間の搬送にもロット単位のキャリアを用いることで、物流面でも効率化を図ることが可能である。

ロット管理のメリット

第一に、ロット管理によって工程ごとの生産状況を把握しやすくなる。各ロットの進捗や歩留まりをモニターすることで、不良が発生した際はどの工程で問題が発生したかを追跡しやすくなり、早期対策につなげることができる。第二に、まとめて処理することで装置稼働率や人員配置を最適化し、コスト削減が見込める。第三に、顧客対応の面でもロット番号をキーにすれば、出荷後の製品トレーサビリティを確保でき、品質上の問題が起こった際に迅速な原因調査と対処が可能となる。

課題とトレードオフ

一方で、ロットを大きくすればまとめて処理できるため効率は高まるものの、不良が発生した場合の範囲も拡大するリスクがある。また、装置の性能やプロセス条件が変動する場面では、1ロット中のウェハや製品におけるばらつきが増える可能性もある。逆に、ロットを細かく分けすぎると生産性の低下や在庫管理の煩雑化を招く。したがって最適なロットサイズを決定するには、生産工程ごとの歩留まりや装置キャパシティ、顧客要求などを総合的に検討し、品質とコストのバランスを取ることが重要である。

ロットトラッキングの技術

近年、半導体工場やEMS(Electronics Manufacturing Services)などでは、MES(Manufacturing Execution System)を用いてロットをバーコードやRFIDタグ、オンラインデータベースと連携させることでリアルタイムにトラッキングする手法が普及している。これにより、工程ごとの通過時間や装置利用履歴などを正確に記録し、リアルタイムで稼働状況をモニターできる。自動搬送システム(AGV: Automated Guided Vehicle)などと組み合わせることによって、ロットが工場内をどのように移動し、どの装置でどのタイミングに処理されたかを容易に把握できるため、効率的かつ透明性の高い生産管理が可能となっている。

ロットサイズとリードタイム

生産現場において大きなロットサイズでまとめて処理すると、バッチ処理による段取り替えの回数を削減できるためスループット向上が期待できる。しかし、一度に多数のウェハや製品を扱うため、ロット内の最後の個体が全工程を完了する時点まで出荷が遅れることになる。これを「待ち行列の最後尾の待ち時間」と考えると、小ロットでは段取り回数は増加するものの、早くできあがった個体から順次出荷できるメリットがある。製品の種類や需要予測、リードタイム要求などに応じて最適なロットサイズを設計することが、生産効率と納期遵守を両立するうえで重要である。