ロックウェル硬さ試験
金属材料や樹脂などの硬さを簡便かつ迅速に評価する代表的手法にロックウェル硬さ試験がある。これは一定荷重を加えた圧子(インデンター)を材料表面に押し込み、荷重後と除荷後の圧入深さの差から硬さ値を算出する方式である。ビッカースやブリネル硬さ試験に比べ、試験時間が短く量産現場でも用いられる一方、圧痕が比較的大きくならず観察しにくい面もある。さらに荷重の大きさや圧子の種類に応じて複数のスケールが用意されており、鋼材や焼入れ鋼など硬さが高い材料から、アルミニウムや銅など比較的柔らかい材料まで幅広く適用できる点が特徴である。
測定原理
まず小荷重(予荷重)を加えて初期圧痕の深さを測定し、そこに大荷重を一定時間だけ追加した後、再び小荷重だけの状態に戻して最終的な圧痕深さを測定する仕組みである。大荷重で押し込まれた段階と、荷重を除いた段階の圧痕差を指標として硬さを計算するため、測定時の弾性回復量が硬さ値に影響を与える。硬さ値はアルファベットと数字で表され、例えばHRCやHRBなどがあり、前者は硬い鋼を測る場合によく使われる。
スケールと区分
代表的なスケールとしてCスケールはダイヤモンド円すい圧子と150kgfの荷重を用い、焼入れ鋼など非常に硬い材料向けである。一方Bスケールは1/16インチ直径の鋼球圧子を用い、荷重も100kgfに抑えられているため中硬度以下の材料によく適用される。その他Aスケール、Fスケール、Gスケールなどが存在し、それぞれの組み合わせる圧子や荷重が異なることで、多様な材料に対して最適な測定が可能になっている。
試験の手順
試験機に試料を設置し、まず小荷重を加えて初期圧痕深さをゼロ点として捉える。続いて大荷重を規定時間かけた後、荷重を除去し、小荷重だけの状態に再び戻す。その段階での圧痕深さから、規定の計算式を使ってロックウェル硬さ試験の値を得る。操作が単純で測定時間が短い利点があるため、製造現場の品質管理や大量生産品の検査にしばしば採用されている。
試験片の前処理
試験面はなるべく平滑かつ清浄である必要がある。もし表面がバリや酸化皮膜などで粗れていると、正確な圧痕深さが得られず測定結果にバラつきが生じることがある。とりわけ研磨面を適度に整えておくことが大切であり、変形や強い熱影響を避けるために過度な研磨速度や研磨剤の使用には注意が必要である。また、十分に脱脂洗浄を行い、油分や異物が付着していない状態で測定を開始すべきである。
注意点と誤差要因
- 試験機の剛性: 主体となるフレームが変形を起こすと実際の圧痕深さが正しく計測できない。
- 温度要因: 金属材料は温度によって硬さが変化するため、測定環境を一定に保つことが重要。
- 圧子の摩耗: 繰り返し使用によって圧子先端が摩耗すると、正確な硬さが得られなくなる。
- 曲面や薄板の測定: 円筒形状の材料や厚さの薄い材料は支持が不十分で正確性に影響が出やすい。