レーザー干渉計|精密測定や高精度位置決めのための計測器

レーザー干渉計

精密測定や高精度位置決めなど、多様な領域で用いられる計測器の一つがレーザー干渉計である。特に半導体製造装置や精密加工機では、ステージ位置のナノメートルオーダーでの制御が必要とされ、光学式の干渉原理を応用した計測技術が欠かせない。光の波長を基準とするため理論上の分解能が極めて高く、接触式のセンサーよりも高速かつ繰り返し精度に優れた計測を実現できる。これらの強みを背景に、近年では搬送装置から研究開発まで幅広い分野で採用が進み、多軸制御による複雑な運動解析や温度補償技術との組み合わせによって、さらなる性能向上が図られている。

レーザー干渉の原理

レーザー干渉計の基本原理は、同一周波数のレーザー光を2つ以上の経路に分割し、光路差によって生じる位相差を干渉縞として観察することである。干渉縞の位相変化は光路差の変化量に対応し、これを高分解能で検出することにより物体の微小変位を測定する。たとえば半導体のステッパーやスキャナーでは、ウェハステージのXYZ軸に複数の干渉ビームを照射し、リアルタイムでステージ位置を制御している。この計測がなければ、ナノメートルレベルの回路パターンを精確に転写するのは不可能と言える。

構成と種類

典型的なレーザー干渉計システムは、レーザー光源とビームスプリッター、ミラー群、および干渉縞を検出するフォトディテクタで構成される。用途によってシングルビーム干渉計、ダブルパス干渉計、あるいは多軸制御用に複数ビームを持つシステムなどが選択される。さらに光の位相や周波数を安定させるために、ヘリウムネオンレーザーや半導体レーザー、特殊コーティングを施した高精度ミラーなどが用いられる。干渉縞の変化が直接測定値となるため、装置内の光学素子の僅かなずれや温度変動にも敏感であり、安定した測定を行うには高度な設計が欠かせない。

位置決めへの応用

ステージ位置決めの分野では、レーザー干渉計が代表的なリファレンス計測手段となっている。工作機械や露光装置では高精度リニアモーターと組み合わせることが多く、ステージが移動するわずかな瞬間にもリアルタイムでフィードバック制御を行う。干渉信号の位相カウントをモーションコントローラが読み取り、ナノメートルオーダーのステージ誤差を補正する。このようなシステムにより、半導体製造では回路パターンの重ね合わせ精度(オーバーレイ精度)が飛躍的に向上し、高歩留まりな量産が可能となった。

環境要因と補正技術

レーザー干渉計は光路長の変化に対して極めて鋭敏に反応する反面、周囲の温度や湿度、大気圧などの微小な変動による屈折率変化でも測定値が変化しやすい。そこで、工場内では空調制御や脱気などが実施され、機器内部でもビーム経路を真空チャンバに収めたり、エアフローを制御したりといった工夫がなされる。また測定時には温度補正アルゴリズムを組み込んで、干渉計が測定する値を実際の長さへ換算する際に環境誤差を補正することも一般的である。

高周波数・高分解能化の動向

近年のモーション制御では、より高速かつ高分解能な位置検出が求められている。そのため干渉パターンの検出周波数をMHzレベルにまで引き上げる取り組みや、サブナノメートル精度を狙う新たな干渉計の研究が進んでいる。高速化に伴いノイズの影響も増大するため、レーザー光源やシグナル処理技術に改良が加えられ、誤差要因の低減に注力されている。また多ビーム同時干渉や高度なデジタル補正を導入することで、三次元方向の同期測定を行いながらステージ姿勢をリアルタイム補正する技術も登場している。