リレーコンタクタ|モータ回路の開閉と保護を担う

リレーコンタクタ

リレーコンタクタとは、電磁力で可動鉄心を駆動し、電力回路や制御回路の開閉を行う電磁開閉器の総称である。一般に小容量の制御用を「リレー」、モータやヒータなど電力負荷の主回路を開閉する中容量以上を「コンタクタ」と呼び分ける。両者は動作原理(電磁吸引)や基本構造(コイル、可動鉄心、接点系)を共有しつつ、許容電流、絶縁距離、消弧機構、使用カテゴリの設計最適化が異なる。盤設計や保全においては、用途に応じた利用カテゴリ(例: AC-1/AC-3/DC-13)の理解、短絡保護協調、補助接点の論理設計、コイルサージ対策などを総合的に検討する必要がある。

基本概念と位置づけ

リレーは制御回路の信号を電気的に絶縁しつつ多重化・増幅する役割を持ち、コンタクタは高い開閉耐量を備えモータ始動・停止の頻繁動作に適する。リレーコンタクタはこれらを組み合わせ、主接点で電力回路を、補助接点でインターロックや自己保持、指令のフィードバックを実現する。モータ制御では始動電流や力率、回路の逆相・欠相検出と組み合わせて安全に運転する。

  • リレー: 小型、信号用、接点容量は比較的小。
  • コンタクタ: 大電流対応、消弧構造が強化、機械的耐久が大。
  • 補助接点: NO/NCで状態伝達・自己保持・インターロックを構成。

構造と動作

コイルに通電すると磁束が発生し、可動鉄心が吸引され主接点が転換する。ACコイルにはシャーディングリングが設けられ、ゼロクロス付近の保保持性を高める。接点はバネとカム機構で一定の接触圧を確保し、開極時はアークをアークシュート(消弧室)へ引き伸ばし・冷却して消弧する。DC開閉では磁吹極でアークを横吹きする設計が採られる。

アーク消弧と接点材料

接点材料はAgSnO₂、AgNiなどが用いられ、耐溶着性と導電性のトレードオフで選定される。アークは接点表面の酸化・転移・消耗を招くため、負荷力率や時定数に応じて開極速度やアークランナー形状が最適化される。頻繁開閉のリレーコンタクタでは電気的寿命と機械的寿命の双方を確認することが実務上重要である。

コイル特性とサージ対策

DCコイルは遮断時に逆起電力を発生するため、ダイオードやRCスナバ、バリスタでクランプする。ダイオードは残留磁束で復帰遅れが増すため、応答性が要る回路ではRCやツェナ+ダイオードが有効である。ACコイルではサージアブソーバやノイズフィルタで瞬低・サージに備える。コイルの励磁保持電圧(pick-up/hold)は周囲温度と電源変動を見込んで余裕を取る。

規格と定格の読み方

コンタクタはIEC 60947-4-1(JIS C8201-4-1)に準拠し、制御用リレーはIEC 60947-5-1の適用を受ける。カタログではUi(定格絶縁電圧)、Ue(使用電圧)、Ie(定格使用電流)、使用カテゴリ、開閉頻度、コイル定格、周囲温度ディレーティングなどを確認する。使用カテゴリは負荷の性質(抵抗性・誘導性・モータ)により定義され、同じ電流値でも許容開閉回数や遮断能力が大きく異なる。

  • AC-1: 抵抗負荷、低誘導。ヒータ等の開閉に適する。
  • AC-3: かご形モータの始動・運転遮断。モータ制御の標準。
  • DC-13/AC-15: 電磁開閉器のコイル等、制御回路用。

選定手順(実務の勘所)

  1. 負荷種別とカテゴリを確定(例: 3相モータはAC-3)。
  2. 線間電圧と容量からIeを選び、温度・筐体内密度でディレート。
  3. 開閉頻度とデューティ比を確認(通電率、ON/OFFサイクル)。
  4. コイル定格(AC/DC・Vクラス)と制御電源の安定度を確認。
  5. 補助接点構成(例: 1a1b, 2a2b)を回路論理に合わせて指定。

モータのブレーキ付や高慣性負荷では遮断時の再点弧や逆起電力が増大するため、上位ヒューズ/遮断器(SCPD)との選択協調、サージ抑制、接点容量の余裕取りを行う。

保護・協調と盤設計

短絡はコンタクタ単体では遮断できないため、gG/aMヒューズやMCCB/MCBと組み合わせ、タイプ協調(Type 1/Type 2)を満たすように選定する。過負荷保護には熱動形過負荷リレーを直下に接続し、欠相・逆相保護リレーやサーマル検知と併用する。逆転制御は2台のリレーコンタクタを機械・電気の二重インターロックで組む。Y-Δ始動では主・Δ・Y各コンタクタの時限とクロスインターロックが要点である。

インターロックと自己保持回路

自己保持(シールイン)は主接点とは別系のNO補助接点で保持経路を作る。逆転回路では相手側NC補助接点で相互遮断(クロスインターロック)を行い、誤指令やチャタリングでの同時投入を防止する。非常停止はNC回路でフェイルセーフに組む。安全カテゴリが要求される場合は安全リレーや二重化回路を併用する。

信頼性・故障モードと保全

代表的故障は接点溶着、接点片摩耗、コイル焼損、可動部の固着である。前兆として温度上昇、投入・復帰時間のばらつき、チャタリング音増大、絶縁抵抗低下が見られる。保全は締結トルクの点検、端子の再増締め、ほこり・油分の清掃、補助接点の接触抵抗確認、通電率の見直しが基本となる。予防保全ではカウントベースでの計画交換が有効である。

代替技術と適用の境界

半導体リレー(SSR)は無接点で高速・静粛だが、オフ時漏れ電流やサージ耐量、発熱対策が課題となる。真空コンタクタは高耐圧・長寿命でアーク消弧性に優れるが、コストとサイズが増す。アプリケーションに応じ、SSRとリレーコンタクタを適材適所で使い分けることが望ましい。