ブロワ|産業設備へ大風量で安定送風

ブロワ

ブロワは空気や各種ガスを低〜中圧で連続送風する流体機械である。一般にファンより高い静圧を発生し、コンプレッサより圧力比が低い領域を担う。目安として静圧は数kPa〜数十kPa、場合により約100kPa近傍まで扱われる。形式は羽根車でエネルギを付与する遠心・斜流・軸流のターボ型と、容積を繰返し移送するルーツ型・サイドチャネル型などに大別される。用途は曝気、集塵、燃焼用送風、乾燥、搬送、空調補助など幅広い。選定では必要風量、静圧、ガス性状、騒音、効率、制御性、保全性を総合評価する必要がある。

機能と分類

ブロワは「流量Qで管路損失を克服し所定の静圧Δpを供給する」ことが機能である。ターボ型は羽根車の周速度で動圧を生じ拡大流路で静圧化する。容積型はケーシング内の閉じた容積を回転で搬送し、脈動が比較的大きいが低回転でも圧力を得やすい。分類は作動原理(遠心・斜流・軸流・ルーツ・サイドチャネル)、駆動(直結・ベルト・ギヤ)、冷却(自己冷却・外部冷却)、設置(屋内・屋外)などで表す。

遠心式の構造と特性

遠心式は円板に取り付く羽根車が回転し、入口から吸込んだ流体を半径方向へ加速しディフューザで静圧化する。広い静圧範囲と安定した性能曲線を持ち、粉塵許容性も比較的高い。羽根は後傾・放射・前傾があり、後傾は高効率で過負荷特性が良い。多段化でより高い静圧が得られるが、サージ域の回避とクリアランス管理が重要である。

軸流式の特徴

軸流式はプロペラ状の羽根で軸方向に流体を送る。大流量・低静圧の用途に適し、ダンパ制御に敏感で失速を招きやすい。ダクト助走距離や整流器の設計が性能と騒音を左右する。可変ピッチ採用で部分負荷効率と騒音低減が図れる。

ルーツ式(回転容積式)の特徴

ルーツ式は2枚の8字形ロータが非接触で同期回転し、閉じ容積を押し出す。吐出圧は配管抵抗により決まり、理論的に高いΔpも可能であるが圧縮はほぼ外部で起こるため吐出温度上昇に注意する。ダストに強く、曝気・集塵・真空到達前段などで普及する。クリアランス維持のため温度管理と潤滑が要点である。

サイドチャネル式の特徴

サイドチャネル(リング)型は羽根車とチャネルで渦流を循環させ、多回通で中圧を得る。構造が簡素でオイルフリー、軽量・低メンテが利点で、吸着搬送や小規模曝気、真空兼用に用いられる。過流入・過背圧では発熱しやすいためバイパスや安全弁を併用する。

性能曲線と運転点

ターボ型ではQ–Δp曲線が右下がりで、系統抵抗線(Δp=KQ²)と交点が運転点となる。回転数Nで相似則が成り立ち、Q∝N、Δp∝N²、消費動力P∝N³が近似する。効率ηは内部損失(衝突・摩擦・漏れ)で低下する。サージ境界の内側に運転点が入らぬよう、インレットガイドやVFDによる範囲制御を行う。

比速度と選定

比速度は幾何学的相似性から形式の適否を示す無次元指標で、所要QとΔpから導かれる。一般に低比速度で遠心、高比速度で軸流が適し、斜流は中間領域をカバーする。要求仕様から形式を当て、次に効率・騒音・保守条件で絞り込むのが実務である。

用途例

  • 水処理曝気:微細気泡散気と連続運転、ルーツ式やターボ式が主流。
  • 燃焼用送風:ボイラ・工業炉の空気比制御、遠心式が多い。
  • 集塵・除塵:フィルタ差圧を克服し安定吸引。
  • 乾燥・冷却:ライン乾燥、エアナイフ供給。
  • 空気搬送:軽量粉体の希釈搬送。

制御方式

ブロワの流量制御はVFDによる回転数制御が高効率である。ダンパやスロットルは簡便だが損失が増える。バイパスは機械保護に有効だが実効効率を下げる。ルーツ式では吐出温度と許容圧力差、ターボ式ではサージ余裕度を監視する。

配管・据付の要点

  1. 吸込側は大口径・短直管とし整流を確保、フィルタ差圧を監視。
  2. 吐出側は逆止弁・安全弁・サイレンサを配置し熱伸びを吸収。
  3. 防振台とフレキ継手で振動伝播を低減、共振を避ける。
  4. 保全アクセスと点検口、計測ポート(圧力・温度・振動)を確保。

騒音・振動と対策

騒音は空力騒音と機械騒音に分かれ、前者は失速・渦・脈動が原因である。対策は整流、低速化、羽根形状最適化、ダクト内張り、サイレンサで行う。振動はアンバランス、ミスアライメント、流体励起が主因で、バランス修正と支持剛性・クリアランス管理が基本である。

規格・試験

性能試験はAMCA 210やISO 5801などの方法が広く用いられ、測定条件と配管接続を規定する。表示は風量、静圧、全圧、効率、回転数、騒音、所要動力などを明記し、ガス温度や比重の換算条件を添えることが望ましい。

保全とトラブルシュート

定期保全はフィルタ清掃、ベルト張力・軸受潤滑・締結確認が中心である。発熱や過電流は過背圧・閉塞・回転数過大が疑われ、異音は接触・異物混入・損傷の兆候である。吸込圧低下や風量不足はフィルタ目詰まり、リーク、羽根汚れを点検する。運転記録(Δp、Q、T、I、振動)を常時ログし、傾向監視で予防保全に繋げることが肝要である。

コメント(β版)