パッド|電子基板の電極部品

パッド

パッドは、プリント配線板(PCB)上で部品端子と銅配線を電気的・機械的に接続する導体ランドである。実装方式(SMT/THD)や部品寸法、製造プロセス(はんだ印刷、リフロー、フロー)に適合した形状・寸法・表面処理を設計することが信頼性向上の要諦である。適切なソルダレジスト開口やスルーホール仕様、熱設計(サーマルリリーフ)を含め、実装不良の抑制と量産性を両立させる。

定義と役割

パッドは銅箔の露出部で、はんだが濡れ広がる受け面として機能する。電気的には低インピーダンスの端点、機械的には部品固定点であり、クリープや衝撃、温度サイクルに耐える接合界面を形成する。形状は円形・長円・矩形・ティアドロップなどがあり、配線接続部の応力集中を緩和する設計が推奨される。

分類(SMT/THD/特殊)

  • SMT用パッド:チップ抵抗・コンデンサは矩形が基本で、リフロー時のはんだ量バランスと部品ずれ(ツームストーン)抑止が重要である。
  • THD用パッド:スルーホールと一体で設け、穴径(finished hole)とランド径のアニュラリングを十分に確保する。
  • サーマルパッド:QFN等の熱拡散用ランドで、ビアインパッド(熱ビア)により内層や裏面へ熱を逃がす。
  • テストパッド:インサーキットテストやフライングプローブ用の接点で、φ0.8〜1.2 mm程度が一般的である。

寸法設計の基礎

部品メーカー推奨ランドパターン(例:IPC-7351準拠)を起点に、製造公差・位置精度・ブリッジリスクを考慮する。チップ部品ではランド長さ(toe/heel)と幅でぬれバランスを制御し、QFPではリードピッチに対してソルダフィレット高さを確保する。スルーホールは素材厚とめっき厚から最終穴径を逆算し、差し込み性とはんだ上がりを両立させる。

ソルダレジストと開口

ソルダレジストははんだの不要な濡れを防ぐ絶縁膜であり、開口(SR開口)はパッド外形に対してオーバーサイズ(例:+75〜100 μm)とするのが一般的である。レジストブリッジが細すぎると剥離やブリッジ不良を招くため、最小線幅の設計ルールを遵守する。マスク定義(SMD)と銅定義(NSMD)の選択は寸法公差とフィレット形成性の観点で最適化する。

表面処理(表面仕上げ)

  • 有鉛/無鉛はんだレベラー(HASL):実装性は良好だが平坦度がやや劣る。
  • ENIG(Ni/Au):平坦・耐食に優れ、微細パッドに適するがブラックパッド対策が必要。
  • OSP:コスト良好でリフロー前保護に有効。ただし多リフローでは劣化に留意する。
  • 厚金/電解金:コネクタ接点やスイッチパッドなど摺動用途に利用される。

熱設計とサーマルリリーフ

大面積GNDや電源プレーンに接続されたパッドは、放熱に優れる一方でリフロー時の温度上昇が遅れ、はんだ濡れ不良や部品浮きの要因となる。サーマルリリーフ(スポーク接続)で熱容量を調整し、温度勾配を緩和する。QFNの中心パッドは複数の熱ビアで内層に熱を逃がし、ビアはメタルマスク開口とペースト量を合わせてボイドを低減する。

はんだペーストとメタルマスク

印刷量はパッド面積、フィレット要求、部品ピッチで決める。微細ピッチではアパーチャ比・アスペクト比を満足する厚みと開口形状(ステップやウィンドウ)を設計する。ブリッジ抑止にはチップの外側開口を小さく、内側をやや大きくする非対称設計が有効である。

実装不良と対策

  • ツームストーン:左右の濡れ速度差が原因。ランド非対称やペースト量差、リフロープロファイル見直しで低減する。
  • ボイド:QFN熱パッドで発生しやすい。ウィンドウ開口化、フラックス見直し、プレベークで改善する。
  • はんだ割れ:熱疲労や基板曲げが要因。フィレット形状とランド形状、基板スタックアップ最適化が有効。
  • ブリッジ:クリアランス不足や過多印刷が要因。マスク開口最適化とレジスト定義の見直しを行う。

信頼性・環境条件

温度サイクル、湿熱、塩水噴霧、振動などの環境でパッド−はんだ−端子界面は劣化する。IMC(金属間化合物)の成長管理、Cu拡散、Ni層健全性を評価し、必要に応じて表面処理やはんだ合金を選定する。プリント基板の曲げ・ねじれを抑えるため、実装面の補強や中継パッドの配置も検討する。

設計ルールと規格

パッド設計は設計ルール(最小線幅/間隔、最小レジスト幅、ドリル径、めっき厚など)を製造業者と整合させる。ランドパターンはIPC-7351、実装信頼性はIPC-A-610等を参照し、部品データシートと突き合わせる。量産前にはDFM/DFT観点でピン間検査性やテストパッド配置を確認する。

周辺要素との関係

パッドは配線インピーダンス、EMC、熱拡散、清浄度(フラックス残渣)と相互作用する。高速信号ではリターンパスの連続性を確保し、スティッチビアで電流経路を短縮する。はんだ耐熱やマイグレーション対策としてマスクダムを適用し、クリーニング可能性も併せて評価する。製造実力値に基づく統計的ばらつき管理(CP/CPK)を導入すれば、不良率低減に寄与する。

実務チェックリスト

  1. 部品推奨ランドと実装装置条件の整合
  2. SR開口の公差・NSMD/SMDの使い分け
  3. メタルマスク厚・開口比の妥当性
  4. サーマルリリーフと熱ビア設計
  5. テストパッドの数・サイズ・配置
  6. 表面処理選定と保管・多リフロー適性
  7. DFM/DFTレビューと試作評価(X線検査含む)