パイプベンダー
パイプベンダーは、金属や樹脂の管を所定の曲率・角度に塑性加工する機械である。配管・空調・車両・家具の曲げやフレーム製作に用い、曲げダイとクランプ・プレッシャ・ワイパ等で外周の引張と内周の圧縮を制御する。品質は曲げ半径R、角度、楕円化、肉厚減少、しわ、表面傷で評価され、材料特性、t/DやR/D、潤滑、送り・回転・推力が結果を左右する。小R・薄肉ほど難易度が高く、芯金(マンドレル)やブーストで座屈を抑える。
原理と曲げ方式
パイプベンダーの基本は、回転引き曲げ(rotary draw)、押し曲げ(compression)、ロール曲げ(roll)、芯金付曲げ(mandrel)である。回転引きは曲げダイにクランプした管を回転させ再現性に優れる。押し曲げは治具が簡素で量産向けだが小Rに不利、ロール曲げは大半径に適し、芯金付は薄肉・小Rのしわ防止と楕円化抑制に有効である。
- 回転引き: 曲げダイ/クランプ/プレッシャで拘束し高精度
- 押し曲げ: 押圧シューで成形の簡易方式
- ロール曲げ: 3本ロールで大Rを連続成形
構成要素と役割
主要部は曲げダイ(CLR設定)、クランプダイ(把持)、プレッシャダイ(追従支持)、ワイパダイ(しわ抑え)、マンドレル(内面支持)である。ブースト(押し込み)を併用すると外周の過伸びを緩和し、肉厚減少と楕円化を抑えられる。潤滑は摩擦と表面傷の抑制に直結する。
- マンドレル: 位置と突出量の調整が決め手
- ワイパ: しわ起点を先取りして材料を掃く
材料と成形限界
銅・アルミは延性に富むが表面傷や座屈に注意する。炭素鋼・ステンレスは強度が高くスプリングバックが大きい。チタンや二相ステンレスは摩擦影響が強く、潤滑やブースト設定が品質を左右する。成形限界はt/D、R/D、n値・r値、加工硬化、内圧援用の有無で変化する。小R・薄肉ではマンドレルとワイパ、押さえ位置や送り量、推力の最適化が必須である。
スプリングバックと補正
解放後は角度が戻るため、パイプベンダーは過曲げで補正する。補正量は材料の降伏とヤング率E、t/R、摩擦、工具弾性で決まる。実務では試作回帰、材質別データ、角度閉ループ、曲げ後実測のフィードバックで高精度化する。
機種の種類と選定
パイプベンダーは手動スプリング式・レバー式、油圧式、電動NC/CNCがある。手動は現場配管や電設で小径・少量に適し、油圧は中径・厚肉に強い。CNCは多軸で送り/回転/曲げ/ブーストを同期し、複数R・3D曲げに対応する。選定指標は対象寸法と材質、要求Rと角度精度、表面品質、段取り、金型コスト、再現性、保全・安全である。
- 手動: 携行性とコスト重視
- CNC: 自動補正・データ管理に優れる
品質管理と検査
品質は角度・R(CLR)・真円度、楕円化率、肉厚減少、しわ/割れで評価する。測定は角度ゲージ、内外径ゲージ、三次元スキャナを併用し、必要に応じて内圧・漏れ試験を行う。標準書に工具磨耗限度や潤滑剤管理を定める。
安全と保全
挟まれ・巻き込み・高圧油漏れ・反発に注意し、非常停止、両手操作、ガードとインタロックを整備する。段取り時はロックアウト/タグアウトを徹底する。工具の面取りと洗浄で傷を防ぎ、潤滑の塗布状態を点検する。