バッチャープラント
バッチャープラントは、セメント・水・粗骨材・細骨材・混和剤を所定配合に基づき高精度に計量し、ミキサで混練して生コンクリートを連続的に製造する設備である。固定式と可搬式があり、都市部の生コン工場からダム工事の現地製造まで広く用いられる。ロードセルによる質量計量、水量・薬液の体積または質量計量、そして含水補正を統合する制御が要点である。ミキサは一般にツインシャフト強制練りが主流で、短サイクルで高均質の練り上がりを実現する。製造品質は配合設計と計量精度、混練エネルギ、材料状態の安定性で決まり、受入・出荷時の検査とトレーサビリティの仕組みが不可欠である。
構成要素とプロセスフロー
設備は、骨材ビン・フィーダ・ベルトコンベヤ、セメントサイロとスクリューフィーダ、水・混和剤タンク、各種スケール、ミキサ、本体制御盤、集塵・排水処理設備などで構成される。材料受入から出荷までの流れを明確にし、詰まりや逆流を避ける動線とホッパ容量の整合を図る。
- 骨材:ビンからフィーダで切出し、ベルト上スケールまたはホッパスケールで計量
- セメント:サイロからスクリュー搬送し、セメントスケールで計量
- 水・混和剤:電磁流量計またはロードセル付タンクで計量
- 混練:ミキサで所定時間練り混ぜ、排出ゲートからアジテータトラックへ
計量方式と精度管理
計量は単独計量方式と合算計量方式がある。単独計量は精度に優れるがサイクル時間が延びやすい。合算計量は高スループットだが誤差の伝播に注意する。ロードセルは適正レンジで使用し、零点ドリフト対策と定期校正を実施する。砂の含水率は近赤外線センサ等で連続監視し、実含水による単位水量・単位セメント量の補正を自動計算することが望ましい。
制御・自動化とトレーサビリティ
制御はPLCとHMI/SCADAで実装し、配合レシピ管理、インターロック、安全停止、アルゴリズム化した含水補正、ミキサ回転数や練り時間の最適化を行う。製造ロットごとに材料ロット、計量実績、温度、スランプ目標と実績を記録し、CSV出力やクラウド連携で追跡性を確保する。遠隔監視ではアラーム履歴と生産指標(m³/h、歩留り)を可視化し、停止要因のボトルネック解析に資する。
品質管理と検査
フレッシュ性状はスランプ、空気量、コンクリート温度で評価し、必要に応じて微調整を行う。運搬時間を考慮した温度上昇とスランプロスを見込み、配合のばらつきを最小化する。骨材は粒度分布と含泥分、セメントは銘柄安定性、混和剤は相溶性を確認する。出荷前後の抜取試験と実強度データのフィードバックにより、配合係数と安全率を適正化する。
生産能力と設備配置
能力はミキサ公称容量、1バッチ練り時間、サイクリングに伴うフィード・排出時間で決まる。一般にm³/hで表示され、ピークと平準化の両方を満たす必要がある。骨材ヤードの回転効率、トラック待機スペース、動線の交差回避、粉体システムの差圧損失、寒冷/酷暑対策(温水化・骨材予熱)を配置設計で織り込む。
安全・環境対策
粉じんはバグフィルタと局所集塵で抑制し、負圧管理と差圧監視でフィルタ破れを検知する。洗車・ミキサ洗浄水は沈殿・循環で再利用し、pHを中和して放流基準を満たす。回転体や開口部はガードを設置し、非常停止とロックアウト/タグアウト手順を徹底する。基礎・架台のアンカーには適正強度のボルトを用い、振動・地震時の座屈や移動を防止する。
保守点検とライフサイクル
ミキサのライナープレート・ミキシングブレードは摩耗点検し、偏磨耗は混練品質低下を招くため予防交換する。スクリューフィーダの軸受・シール、ベルトの蛇行・張力、ロードセル配線の断線・水侵入を点検項目に含める。定期グリースアップ、校正ウエイトの管理、非常停止系の機能試験、冬季の凍結対策を年次計画に組み込む。
選定のポイント
- 製品要求:強度・ワーカビリティ・量(日最大m³)に見合うミキサ容量とサイクル
- 材料条件:骨材粒度・含水変動、混和剤の機種と投与制御
- 敷地・電源:レイアウト余裕、受電容量、基礎工法、騒音・粉じん規制
- 運用・保守:消耗品入手性、清掃性、停止復旧手順、遠隔監視の有無
- 移動性:可搬式の組立時間、輸送規格、現場インフラの整備性
関連用語の補足
レディーミクストコンクリート(工場製造の生コン)、骨材(粗骨材・細骨材)、スランプ(コンシステンシの指標)、混和剤(減水・AE・高性能)、ツインシャフトミキサ(対向二軸の強制練り)、ロードセル(質量検出素子)、サイロ(粉体貯槽)、アジテータトラック(回転ドラム車)、再生水(洗浄水の再利用)などはバッチャープラント運用で頻出する基本語である。