バイブレーティングスクリーン
バイブレーティングスクリーンは、振動力を利用して粒子群を目開きの異なるスクリーン面で連続的にふるい分ける産業用機械である。鉱山・砕石・金属リサイクルから化学・食品・土木資材まで幅広い分野で、粒度分級、除塵、整粒、脱水などの単位操作を担う。振動により粒子層が再配列(ストラティフィケーション)し、微粒が下層へ移動して目開きを通過するため、高いスループットと安定した分級効率を両立できる。駆動源は偏心軸や偏心ウェイト付きモータ、あるいは専用エキサイタであり、振幅(ストローク)と周波数の組合せ、ならびにデッキ傾斜角の最適化が要点である。
原理と振動方式
バイブレーティングスクリーンの振動は主に円形、直線、楕円の3方式に大別される。円形は1本の偏心軸で円運動を与え、粗粒・厚層の予備選別に強い。直線は2基モータの逆回転で合成直線振動を生成し、搬送性と分級精度のバランスに優れる。楕円は円・直線の中庸で、難処理物の目詰まり抑制と歩留まり向上を狙う。一般に周波数はおおむね10–25Hz、ストロークは2–8mmの範囲が多く、デッキ傾斜は0–25°で用途に応じて設定される。高周波用途では周波数を上げて微小振幅とし、微細粒のウェットスクリーニングや脱水に適用する。
主要構成要素
- 励振系:偏心軸、エキサイタ、偏心ウェイト付きモータなど。適切なバランスと剛性が必要である。
- 支持系:コイルスプリングやゴム防振体が機枠を支持し、基礎への振動伝達を低減する。
- スクリーンデッキ:ワイヤ、パンチング、ポリウレタン、ゴムなどの媒体で構成し、目開き・開口率・耐摩耗性を最適化する。
- フレーム・側板:高サイクル疲労に耐える溶接・リベット・ボルト締結構造を採る。締結部のボルト管理は重要である。
- 付帯:フィードチュート、吐出シュート、散水管(ウェット用)、防塵カバーなど。
スクリーン媒体と目開き
媒体選定は処理鉱種、粒度分布、含水率、許容摩耗、必要開口率で決まる。金網は軽量で開口率が高いが摩耗に弱い。ポリウレタンやゴムは耐摩耗・耐衝撃に優れ、ブラインディング(微粒の付着による閉塞)を抑えやすい。自己洗浄タイプ(金網のウェーブ形状やスロット可変構造)や防球装置でペギング(棒状粒の刺さり)を低減できる。ウェットスクリーニングでは散水により粒子間凝集を解き、微粒の通過を促進する。
型式と用途
- 円形振動型:一次破砕後の粗い整粒やスカルピングに有効。
- 直線振動型:多段デッキでの精密分級や中間製品の品質管理に適する。
- 楕円振動型:難処理材や高含水原料で安定性を確保しやすい。
- グリズリスクリーン:棒状デッキで土砂・粘土塊を先行除去する重荷重用途。
- バナナ型:多段傾斜で層厚を徐々に薄くし、高能力と効率の両立を狙う。
- 高周波スクリーン/脱水スクリーン:微細分級や脱水・脱泥に特化する。
選定パラメータと能力設計
処理量は概ねデッキ幅と有効開口率、搬送速度(周波数×ストローク×傾斜)に比例する。一般指標として、ベッド厚が目開きの3–5倍を超えると分級効率が低下しやすく、過負荷は通過率の急減とブラインディングを誘発する。給鉱の粒度上限、含水率、粒形、バルク密度、比重差、粒子間の付着性は能力と効率に大きく影響するため、テストスクリーニングで最適条件を同定するのが実務的である。デッキ長は滞留時間を与え、幅は処理量の上限を規定する。
運転・プロセス統合
バイブレーティングスクリーンはジョークラッシャ、コーンクラッシャ、インパクトクラッシャなどの破砕機と閉回路を構成して目標粒度の再循環率を制御する。粉塵対策として負圧フードと集塵を併用し、ウェット運転ではスラリー濃度と散水位置を調整する。脱水用途では勾配を小さくして滞留を稼ぎ、微小振幅・高周波数でケーキ搬送と水切りを両立させる。
保守・点検の勘所
- 媒体テンション:適切な張力は開口保持と寿命に直結する。テンションバーとクランプを定期点検する。
- ベアリング・潤滑:高加速度下での転動疲労を監視し、異常発熱やグリース変色を早期に検知する。
- スプリング:座屈・亀裂・沈み込みの有無を点検し、左右ばね定数の偏りを是正する。
- 締結・フレーム:高サイクル疲労に起因するリブ・角部のクラックを探傷し、ボルトの増し締めと座金交換を計画的に行う。
- アライメント:励振中心と重心のずれや不釣合いを補正して余計な横振れを抑える。
トラブルと対策(補足)
ブラインディングには開口形状の変更、自己洗浄メッシュ、超音波補助、散水位置変更が有効である。ペギングはスロット方向の最適化やスナップロック式媒体で軽減できる。過大騒音は媒体・側板の共振や摩耗が原因であり、固有振動数の離隔と防振材の適用、カバー密閉で対応する。
計装・モニタリング
加速度センサで振動波形を取得し、FFT解析により周波数ピーク、位相、偏心の変化を監視する。軸受温度、モータ電流、ストローク指示計を併用すると状態基準保全(CBM)が可能になる。IoTゲートウェイでデータを収集し、異常兆候を機械学習で検出すれば計画停止前の部品交換に活用できる。
安全・環境
回転部・往復動部のガード設置、ロックアウト/タグアウト手順、媒体交換時の落下・挟まれ防止は必須である。粉塵は労働衛生と周辺環境に影響するため、防塵カバーと集塵機、ウェット運転の適切な排水処理を行う。基礎への振動伝達を抑えるため防振設計を徹底し、周辺設備の共振を避ける。
導入・改善のポイント
原料試験に基づく媒体ラインアップ(ワイヤ、PU、ゴム)の事前比較、デッキ構成(粗・中・細のゾーニング)、散水・脱水の運転条件、スペア媒体・予備ベアリングの在庫最適化を行うとライフサイクルコストを抑えられる。運転データから通過率と返り率のトレンドを可視化し、ストローク・周波数・傾斜角を微調整すれば、同一スクリーンでも処理量と品質を着実に引き上げられる。