ノズル
流れの圧力エネルギーを速度へ変換し噴流を生成する要素がノズルである。入口・収束部・喉部・拡大部で構成され、形状と表面粗さが損失を支配する。設計ではレイノルズ数Re、マッハ数Ma、粘性、蒸気圧、温度、媒体清浄度を考慮し、理想等エントロピー解析を基礎に係数で補正する。
設計目的
ノズルの目的は所望の流量Q、噴出速度u、到達距離、拡がり角を満たしつつ、圧力損失と騒音を抑えることである。連続の式ρAu=一定とエネルギー式を用い、液体ではキャビテーション係数σ、気体では臨界圧力比βcの管理が鍵となる。据付姿勢も事前に規定する
形状と流れ
形状は収束(C)、収束拡大(C–D)、直管、スリット、多孔板に大別できる。C–Dノズルは喉部でMa=1、拡大部で超音速へ加速し、設計膨張比を満たすと衝撃波損失が最小化する。液体では面取りとテーパー角が拡散を左右する。
圧縮性とチョーク
気体ノズルでは下流圧pbが臨界比以下で喉部がチョークし、質量流量ṁはp0、A∗、T0で決まり、下流圧を下げても増えない。過膨張では内部衝撃波、過少膨張では膨張扇が現れる。
係数と寸法
主要寸法はA∗、膨張比ε、テーパー角、入口R、長さLである。性能は排出係数Cd、速度係数Cv、噴霧角θ、Sauter平均径D32で整理する指標である。Cdは境界層と流入収縮で1未満となるが、入口R拡大と面粗さ低減で改善する。
キャビテーション
液体ノズルでは喉部圧が飽和蒸気圧に近づくとキャビテーションが生じ、崩壊衝撃が浸食を生む。σ=(pb−pv)/(0.5ρu²)の確保、急縮小回避、入口丸み、フィルタによる固形物除去、耐摩耗材の採用が予防策である。
噴霧と混合
スワールノズルやエアアシストノズルは液糸を不安定化し微粒化する。D32は表面張力σ、密度ρ、差圧Δp、空気比で整理され、燃焼では角度とペネトレーションの最適化が有効である。
製造と材料
微小ノズルは放電加工、レーザ、MEMSで製作され、孔径ばらつきと円筒度がCdと均一性を左右する指標となる。摩耗対策として硬質合金、SUS、セラミックス、PVDコーティングが用いられる。Raは1.6 μm以下、微粒化では0.4 μm以下が目安である。
規格と表記
JIS B 8356、ISO 5167、ISO 9300などが参照される。仕様は圧力・温度・媒体・許容粒子径・流量レンジ・材質・接続規格・耐食耐熱要件を明示する。
用途例
ノズルはロケット推進、ガスタービン、スチームエジェクタ、ペイント噴霧、洗浄、消火、加湿、3Dプリンタなどで用いる。産業設備では詰まり検知とクイックチェンジ構造が稼働率を高める。
選定チェック
- 目的(加速、噴霧、洗浄)と必要Q・u・角度を定義する。
- Δpとポンプ/コンプレッサ能力から孔径・個数を決める。
- 媒体清浄度に応じフィルタと耐摩耗材を選ぶ。
- 騒音・安全・耐食規制と安全弁の要否を確認する。
- メンテ周期と洗浄方法を定義する。
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