トンネルジャンボ|大規模トンネル掘削機

トンネルジャンボ

トンネルジャンボは、山岳トンネルや地下空間の掘削に用いる多関節ブームを備えた穿孔機である。切羽(掘削面)に穿孔し、装薬・発破・ずり出し・支保の一連の施工サイクルを高能率で回すことを目的とする。英語では”tunnel jumbo”または”drill jumbo”と呼ばれ、1〜3本のブーム、油圧ドリフタ、フィード(ガイドレール)、走行キャリア、集じん装置、制御キャビンなどで構成される。近年は3Dガイダンス、MWD(Measurement While Drilling)記録、遠隔操作などのデジタル機能を備え、品質と安全を両立する施工機械として位置づけられる。

構成と機能

トンネルジャンボの主要構成は、(1)ブーム:多関節で切羽面内の孔位置へ迅速に到達する。(2)フィード:鋼製レール上をドリフタが直進し、孔の直進性を確保する。(3)油圧ドリフタ:高周波打撃と回転でビットを駆動し、岩盤に孔を形成する。(4)キャリア:四輪駆動の自走台車で、狭隘坑内での旋回や勾配走行に対応する。(5)集じん・送排気:湿式・乾式の集じん、フラッシング水供給、排気管理を担う。(6)制御:キャビン内のHMIやリモコン、CAN通信による診断機能で機体状態を可視化する。

施工サイクルと位置決め

D&B(drill and blast)における一般的サイクルは、切羽測量→穿孔→装薬→発破→換気→ずり出し→スケーリング→支保(ロックボルト、吹付け)→次サイクル準備である。トンネルジャンボは「穿孔」に特化し、レーザーベースラインや全站儀で基準を取り、設計断面の外形(オーバーブレイク抑制)を意識して孔配列を決める。孔径はおおむね45〜76 mm、1サイクルの孔長は3〜5 m程度が多く、前方探査孔や周縁制御孔を加える場合もある。

自動化・データ活用

現行機は穿孔プログラムの自動追従、ガイダンスによる孔角度・孔長の許容内制御、MWD記録(打撃圧・回転トルク・貫入速度・フラッシング圧など)の蓄積により地山等級の推定と支保設計の見直しに資する。トンネルジャンボ上のセンサデータはクラウドに送信され、出来形(孔位置・孔傾斜)の照査や穿孔時間の分析、工具摩耗の予兆保全に用いられる。誤穿孔の早期検知、断面仕上がりの均質化、粉じん曝露の低減が期待できる。

仕様の目安

  • ブーム数:1〜3。断面が大きいほど多ブーム構成が選ばれる。
  • 適用断面:おおむね20〜100 m²級まで機種により対応。
  • ドリフタ出力:10〜30 kW級、打撃周波数は2,000 Hz級が一般的。
  • 電源:走行はディーゼル、穿孔は電動(ケーブル給電)のハイブリッドが普及。
  • 安全:ROPS/FOPSキャブ、非常停止、自己診断、消火装置、視認性補助。

工具と消耗品

穿孔工具はシャンクアダプタ、ロッド(中空鋼)、カップリング、ビットで構成される。ボタンビットは超硬チップ(WC-Co)を圧入し、岩質に応じて刃先形状やゲージ設定を選定する。トンネルジャンボの性能維持には、ロッドねじ部の損耗管理、ビットの再研磨サイクル、適正なフラッシング(水量・圧)の確保が不可欠である。

ビット・ロッドの管理

ビットはゲージ摩耗により孔径が縮小すると装薬効率が低下するため、規定ゲージで交換・研磨する。ロッドの曲がりは孔曲がりと過大反力を招くため定期的な回転試験と超音波探傷で点検する。

粉じん・環境対策

粉じんは穿孔時に最も発生するため、湿式集じんや高効率フィルタを併用する。ディーゼル走行時は排気後処理(DPF、SCR)と換気計画でCO・NOxを低減する。電動穿孔は坑内の熱・排気負荷を抑え、作業環境の改善に寄与する。

運用と選定ポイント

  • 断面・地山:必要ブーム数、フィード長、ドリフタクラスを断面と岩級で整合させる。
  • 出来形管理:3Dガイダンス対応、出来形ログの外部出力(IFC/CSV)可否。
  • 保全性:グリース自動給脂、フィルタ共通化、消耗品の調達性。
  • 安全・人間工学:視界、座席姿勢、操作レイアウト、リモート機能。
  • ライフサイクルコスト:電力・消耗品・ダウンタイムを含めて評価する。

関連作業機と応用

トンネルジャンボの一部ブームはロックボルト打設やケーブルボルト孔の穿孔にも転用でき、サービスブームに作業バスケットを装着してメンテナンス作業に用いる構成もある。狭小断面向けのコンパクト機、長孔穿孔を重視した強化フィード仕様など、施工条件に合わせた派生機が提供されている。

安全上の留意点

切羽直近での人と機械の分離、誤穿孔時の即時停止、集じん装置の捕集効率維持、フラッシング水の漏えい管理、ケーブル取り回しの保護が基本である。教育では穿孔反力とブーム姿勢、岩盤割れ目の読み取りと孔偏位対策を重視し、ヒヤリハットをデータ化して次サイクルに反映する。

実装例と効果

3D設計線形に基づく自動穿孔を活用すると、孔配置の再現性が高まり、オーバーブレイクが低減する。MWDの層別解析により、脆弱帯での支保追加判断が早まり、吹付けやボルト資材の最適化につながる。結果として、トンネルジャンボは進捗安定化、労働安全、環境負荷の低減に寄与する中核機械である。