デプスゲージ
デプスゲージは、穴底や溝底など基準面からの段差・深さを高精度に測定する長さ計である。ベース(当て面)を基準面に密着させ、スライダから突出するロッドやブレードの先端を底面に当てて読取る。バーニヤ(副尺)式、ダイヤル式、デジタル式、さらにミクロン域に適したデプスマイクロメータなど多様な方式があり、用途に応じて分解能・測定範囲・携帯性を最適化できる。加工現場の段取り、検査室の合否判定、設備の据付レベル確認など、多様な工程でデプスゲージは再現性の高い深さ測定を可能にする。
定義と原理
デプスゲージは「平坦な基準面にベースを密着させ、直交方向に可動する接触子の変位量を長さ目盛で読み取る」原理に基づく。計測軸は基準面に対して垂直であることが前提となり、ベースの平面度と測定軸の直角度が精度の基礎を成す。アッベの原理の観点では、目盛軸と測定軸の偏心が小さい構造ほど望ましい。
構造と主要部
- ベース:基準面に当てる定盤。幅や長さは機種により異なり、安定性に直結する。
- 測定ロッド/ブレード:穴底に接触する細長部。先端はフラットやナイフ状など形状が選べる。
- スライダ:ロッドを上下させる摺動部。クランプで固定可能。
- 表示部:バーニヤ目盛、ダイヤル、またはデジタル表示。
- 基準面当たり:段差角部への掛かりを安定させる面取りや角Rが設計される。
デプスゲージ無くしたと思ったら洗濯してて、先端折れてた😇
また買わなきゃ(´・ω・`)
バンザイの好きで使ってるけど高ぇんよ…
整備士、工具沼の方々
おすすめのデプスゲージありますか? pic.twitter.com/FWpMUDitRz— ヨッシー〄トラック整備士 (@yocchan2124) September 28, 2023
種類
- バーニヤ式:主尺と副尺の読取りで分解能0.05〜0.02 mm程度。堅牢で電源不要。
- ダイヤル式:指針で微小変位を拡大表示。繰返し読取りが速い。
- デジタル式:分解能0.01 mm級が一般的。ゼロセット、ホールド、相対測定が容易。
- デプスマイクロメータ:スピンドルとラチェット機構により1 μm級の高分解能を実現。
ずっと欲しかったデプスゲージを購入。ノギスよりうんと測りやすいし精度が良さそう〜これはフライス加工に便利そう pic.twitter.com/jJIuEZtKIk
— らってん技研 (@RattenGiken) August 12, 2014
仕様と規格
代表的な仕様は測定範囲(例:0–150 mm、0–300 mm)、分解能(0.01–0.05 mm)、指示誤差(±0.03–±0.10 mm程度)、ベース寸法、ロッド径などである。製品は一般にJISやISOの長さ計関連規格・環境条件に整合する設計・検査が行われ、温度20 ℃基準での適合を前提とする。
測定手順
- 基準面の切粉・油膜を除去し、ベース面を清浄にする。
- ベースを基準面へ密着させ、ロッド先端を穴底に軽接触させる。
- スライダを降ろして軽い接触圧に整え、クランプで固定する。
- 表示部を読取り(デジタルはゼロセットや相対表示を適宜使用)する。
- 複数点で繰返し測定し、最大・最小・平均を把握する。
- 必要に応じて基準ブロックでゼロ点を確認・補正する。
ボール盤のデプスゲージを作ってみました😅
ドリル先端が材についた時にゼロ設定してから穴開け
深さ5mmで試してみたら
凄い❗️ぴったりでした~👍😃 pic.twitter.com/qHlxjhjOIJ— m-kobo (@emu_kobo) August 26, 2025
校正とトレーサビリティ
デプスゲージの校正は、ブロックゲージや段差マスターを用いて既知の深さと表示値の差を評価する。ゼロ調整、指示誤差、繰返し性、ベースの平面度・直角度確認を定期的に実施し、国家計量標準へのトレーサビリティを確保する。環境温度の安定化(20 ℃付近)と熱平衡時間の確保も重要である。
誤差要因と低減策
- アッベ誤差:目盛軸と測定軸の偏心に起因。できるだけ軸線を一致させる構造・姿勢を選ぶ。
- コサイン誤差:ロッドが垂直から傾くと発生。ベース面密着と姿勢管理で抑制。
- ベースの傾き/段差角の欠け:当て方を一定にし、角部の当たりを確認。
- バリ・面取り:底面の微小形状で接触位置が変動。先端形状を適合させ複数点測定。
- 温度・膨張:長尺測定で影響増大。作業環境を安定化し測定時間を短縮。
- 接触圧・摩耗:過大荷重は先端摩耗や底面損傷を招く。適正圧と保守で管理。
測定のコツ
ベースは「滑らせず置く」を基本とし、微小なスライドで密着を確認する。穴底が粗い場合は位置を少し変えて複数回測定し、外れ値を排除して代表値を採用する。細径穴では細身ブレードやナイフ先端を用い、段差測定では角Rや面取りの影響を避けて有効底面を狙う。
選定のポイント
- ワーク形状:細径深穴・溝幅・段差形状に適合する先端とベース寸法。
- 必要精度:合否判定の公差幅に対し分解能・指示誤差・繰返し性を見積もる。
- 使用環境:油水や切粉の多い現場は防滴・防塵・耐衝撃性を重視。
- 運用性:ゼロセット、相対測定、データ出力(SPC)などの機能要件。
- 保守:先端交換可否、ベース研磨の可否、校正の容易さ。
穴底R・テーパーへの対応
底面にRやわずかなテーパーがあると、点接触のため表示がばらつく。フラット先端では平均化、ナイフ先端ではエッジ検出が有利など特性が異なるため、ワーク形状に合わせた先端選定と複数点測定で実効値を確保する。
測定基準面の状態管理
基準面の平面度・清浄度が悪いと、ベースの局所当たりや浮きで系統誤差が生じる。測定前に脱脂・除塵し、微小な反りや傷を避けて当てる。高精度が要求される場合は精度等級の定盤を中間基準として用いる。
関連計測器との使い分け
デプスゲージは汎用の深さ測定に適するが、μm級の精度が必要な場合はデプスマイクロメータ、広範囲の段差ではハイトゲージとブロックゲージの組合せが有効である。突き当てが困難な深穴や底部形状が複雑な箇所では、プローブ式の接触センサや非接触測定の適用も検討する。