タンデムローラ
概要
タンデムローラは前後に配置した2本の鋼製ドラムで路面を加圧し、舗装や路盤を均一に締固める自走式の転圧機である。一般に乗用式で、直進安定性と端部仕上げ性に優れ、アスファルト舗装の初期〜最終転圧まで幅広く対応する。2本ドラムに荷重が分配されるため接地圧が均一になり、平坦性と密度の両立に有利である。振動機構の有無により「静荷重式」と「振動式」に大別され、現場条件に応じて使い分ける。
構造と原理
タンデムローラはフレーム中央にエンジンと油圧系を置き、前後ドラムを油圧モータで駆動する。操向はフレームの中央ヒンジによるアーティキュレート方式が主流で、小回り性が高い。締固め原理はドラム面圧による「圧密」と、振動式であれば起振機の遠心力による「動的締固め」である。ドラムの幅と径、接地長、機械重量、起振力と周波数が仕上がり密度と平坦性を左右する。
種類(静荷重式と振動式)
静荷重式はドラムの自重のみで線圧(静線圧)を与え、粗粒度の路盤や仕上げ転圧に適する。振動式は起振機で遠心力を発生し、粗粒材の骨材間空隙を効率的に減少させる。薄層のアスファルト仕上げや脆弱基盤では振動をオフにして静荷重で走行するなど、現場での切り替えが一般的である。多くの機種は前後ドラムそれぞれに振動ON/OFFと1〜2段の周波数切替を備える。
主要仕様と用語
- ドラム幅・径:舗装幅と障害物回避性を左右する。一般的に1.0〜1.5 m級が市街地で扱いやすい。
- 機械重量:数t〜10 t級。重量が大きいほど静線圧が増す。
- 静線圧:おおよそ「機械重量÷(ドラム幅×接地長×2)」で評価し、層厚と材料に見合う値を選定する。
- 起振力・周波数・振幅:動的締固めの強さと速度域の適合を決める。一般に周波数50〜70 Hz帯が舗装で使われる。
- 走行速度:初期転圧は低速、仕上げはやや高速とし、重ね幅は1/3程度を基準とする。
適用分野
タンデムローラはアスファルト舗装の初期転圧(ブレークダウン)、中間転圧(インターミディエイト)、最終転圧(フィニッシュ)に広く用いられる。路盤や路床の圧密にも用いるが、土質により振動の有効性が異なるため、含水比や粒度分布を踏まえた選択が必要である。構内舗装、小規模補修、歩道・自転車道など、端部が多い現場でも端仕上げ性のよさが活きる。
施工手順とポイント
- 温度管理:アスファルトは敷均し直後の適温域(例:層温140〜110 ℃程度)で初期転圧を開始する。冷え過ぎると塑性流動せず密度不足につながる。
- ローラ列構成:先行は振動ONのタンデムローラ、次いでタイヤローラで骨材のかみ合わせを促し、最後に静荷重または低振幅で仕上げとするのが定石である。
- 走行パターン:高い側から低い側へ、長手方向を基本にS字を避け、停止位置は分散させ段差痕を抑える。
- 重ね幅:1/3を目安に均一に重ね、端部は路肩外へ逃がす。
品質管理
密度(締固め度)はコア採取や非破壊計測で確認する。平坦性は3 mプロフィルやインテリジェントローラの加速度・剛性指標で管理する事例が増えている。仕上がり肌はドラム清掃と散水で素材の付着を防ぎ、振動の停止・再開は走行中に行い打痕を避ける。
安全と環境
タンデムローラは死角が生じやすく、誘導員の配置とバックアラームの確実な作動が必須である。マンホールや側溝蓋上では振動を停止し、舗装の割れや設備損傷を防止する。散水による粉じん抑制とドラム付着防止、エンジンの排出ガス規制適合、夜間は作業灯と反射材の整備が望ましい。
保守点検
- 起振機:ベアリングの異音・温度上昇を点検し、グリース・オイルを規定周期で交換する。
- 散水系:ノズル詰まりとポンプ能力を点検し、均一な湿潤を確保する。
- ドラム:面荒れ・偏摩耗・端面の欠けを点検し、仕上がり肌の乱れを予防する。
- 油圧系:ホース漏れ、フィルタ差圧、作動油温を監視し、熱ダレとパワーロスを抑制する。
選定指標
層厚・材料・施工量から必要な静線圧と起振力を算出し、ドラム幅で生産性を見積もる。狭隘部では小型機、広幅の幹線では大型機が有利だが、搬入経路と路盤支持力の制約も考慮する。インテリジェント機能(温度センサ、転圧回数マップ、締固め指標)は品質のばらつきを低減し、再転圧の無駄を省くのに有用である。
関連機械との位置付け
タンデムローラは平坦性と端部の仕上げに長ける一方、空隙つぶしや骨材の再配列にはゴムタイヤの「タイヤローラ」が有効である。基層や路盤の厚層・粗粒材には起振力の大きい「振動ローラ(単胴)」が適する。現場ではこれらを組み合わせ、温度と回数、速度を管理して所要密度と平坦性を達成する。
よくある不具合と対策
- 転圧痕・ストップマーク:停止・発進は温度の高い領域で行い、停止位置を分散する。
- 骨材飛散・押し出し:振動強度過多や速度不適を見直し、散水とドラム清掃を徹底する。
- 密度不足:適温域を逃した可能性があるため、敷均し〜初期転圧のリードタイムを短縮する。
- 段差・波打ち:重ね幅・走行ラインを矯正し、操向角を一定に保つ。
用語補足
静線圧は選定の目安であり、実施工では層温・走行速度・重ね幅・回数の管理が結果を支配する。振動周波数と振幅は材料・層厚に合わせて設定し、脆弱な下地や構造物付近では振動を停止して安全側に管理する。