ストップランプ|制動時に点灯して後続車へ注意喚起

ストップランプ

ストップランプは、運転者がブレーキ操作を行った瞬間に後方へ減速意図を明示する保安灯火である。アクセルオフやエンジンブレーキなど視覚的に伝わりにくい減速と区別し、ペダル踏力に関係なく点灯することで追突リスクを低減する。一般に左右テールランプ内の赤色発光部と、後窓上部などに配置されるハイマウントストップランプ(CHMSL)で構成され、発光源は白熱球から高信頼のLEDへ移行が進む。車両法規は色、光度、視認角、応答時間、故障時の挙動を規定し、量産設計では耐振動・耐熱・防水やEMC適合を同時に満たす。

役割と安全機能

ストップランプの最重要機能は「減速の即時通知」である。発光の立ち上がり時間が短いLEDは、後続車の反応開始をわずかでも早め、停止距離の短縮に寄与する。ハイマウントストップランプは前走車に隠されにくい高位置での視認性を確保し、多車線・高密度交通での知覚の一貫性を支える。

法規と適合要件

各国・地域の保安基準は赤色の単色発光、一定光度以上、指定視認角内での均一性、点灯遅れや残光の制限などを定める。ハイマウントは後方からの被視認性向上を目的に設置義務または推奨がある。改造時も灯具の色・明るさ・取付高さ・後方投影面への障害などの適合が求められる。

構成要素

  • 発光部:テールランプ内のストップランプセクション(拡散レンズ+リフレクタ、またはLED基板+導光体)
  • スイッチ:ブレーキペダル連動のメカニカルまたは油圧スイッチ
  • 配線・コネクタ:ハーネス、車体アース、ヒューズ
  • 制御:車体ECUまたはボディコントロールモジュール(BCM)
  • ハイマウントユニット:リアガーニッシュ・リアスポイラ一体型など

動作原理

ブレーキペダルを踏むとスイッチが閉じ、電源系からストップランプ回路へ電流が供給される。LED式では定電流ドライバにより電流を安定化し、温度上昇や車両電圧変動時も光度を一定に保つ。CAN経由でBCMが点灯指令を管理する車種では、診断機能との整合も取られる。

ハイマウントストップランプ(CHMSL)

後写鏡や先行車で隠れにくい高位置に配置し、視認角の自由度を高める。LED一体型が主流で、導光レンズにより均一な発光ラインを形成する。スポイラー組込みやバックドア上縁配置など車体設計に応じて取付座と熱経路を設計する。

光学設計と熱設計

光学では配光の均一性と眩しさ抑制を両立する。リフレクタ曲面、プリズム、拡散パターンを最適化し、法規視認角内で規定光度を確保する。熱設計ではLEDジャンクション温度の抑制が要で、アルミ基板やヒートシンク、樹脂の熱伝導率、通風経路を考慮する。

耐環境・EMC

雨水・泥・凍結に晒されるため、筐体は防水・防塵(シール・ベント)と耐紫外線を備える。振動・衝撃による半田クラックやレンズ割れを防ぐため、支持ボスや肉厚、取付ボルト座面を設計する。EMCは放射・伝導ノイズの抑制と静電耐性を確保し、車載規格に適合させる。

故障モードと診断

  • 電球切れ/LED素子不良:部分消灯、光度不足
  • スイッチ不良:常時点灯・不点灯
  • 配線断線・接触不良:断続点灯、警告灯点灯
  • 防水不良:結露・腐食・短絡

点検の要点

点検はブレーキスイッチ作動確認、ヒューズ連続性、コネクタ接触圧、アース抵抗、光度・均一性を順に確認する。LED式はユニット交換が基本で、故障診断ではBCMのDTC読出しが有効である。

制御と高度化

一部車種では急減速時にストップランプの点滅やハザード連動で後続に注意喚起する拡張機能を備える。自動運転支援や回生ブレーキとの整合では、ペダル踏力だけでなく制動減速度や回生制御状態に応じて点灯制御を行う設計が求められる。

製造と品質管理

量産では光度・配光検査、外観・気密検査、通電・耐久試験を行う。LEDユニットは温度サイクルや振動複合試験を通し、初期不良と早期劣化を排除する。トレーサビリティ管理によりロット間のばらつきを監視する。

メンテナンスと交換

電球式はバルブ交換で復帰できるが、LED式はユニット一体のためAssy交換となる。作業時は内装・ガーニッシュの爪折れや防水シール再装着に留意し、トルク管理を行う。交換後は左右の光度差やハイマウントの発光均一を確認する。

設計上の留意点

  • 法規適合:色・光度・視認角・応答時間の満足
  • 視認性:昼夜・悪天候・汚れ時でもコントラストを確保
  • 信頼性:熱・振動・水分・化学薬品への耐性
  • サービス性:交換容易性、誤組付け防止、診断性
  • コスト・品質:部品点数最適化、標準化、歩留り向上

関連要素と相互作用

ストップランプはブレーキシステム、電装ハーネス、車体ECU、車体後部構造と密接に関係する。衝突時の後部変形やガタによる光軸ズレ、スポイラー形状による汚れ付着など、車体設計との協調最適化が実車性能を左右する。