ジョイントカッタ|舗装ジョイントを高精度で切断

ジョイントカッタ

ジョイントカッタは、コンクリート床版やアスファルト舗装に目地や切り欠きを形成するための切断機である。ダイヤモンドブレードを高速回転させ、所定の深さ・幅で直線切断を行う。硬化収縮に伴うひび割れ誘発、打継ぎ位置の整形、補修境界の明確化、埋設管の露出など施工管理上の要求に応えるため、精密な直進性と一定の切込量を安定して実現することが求められる。自走式から手押し式まで多様な機種があり、乾式・湿式の両方式に対応する。

原理と構造

ジョイントカッタは、エンジンまたは電動モータの回転を主軸へ伝達し、ダイヤモンドセグメント刃を回転させる。機体はフレーム、昇降機構、切込深さ調整機構、集じん・散水系、走行系から構成される。切断時はブレード外周の砥粒が骨材を微細破砕し、マトリクスの自生発刃によって切れ味を維持する。荷重配分と前後輪のキャスタ角が直進性と切断面粗さに影響する。

ブレードと切削条件

ブレードは母材(鋼板)とセグメント(ダイヤ・メタルボンド)からなる。骨材硬度、結合材、含水状態に応じてセグメント硬さを選ぶ。一般に硬質骨材には軟結合、軟質骨材には硬結合が適する。直径はおおむねφ300〜φ500が普及し、切断深さはブレード半径とガード形状で制約される。送り速度は切削負荷、冷却状況、目詰まりの兆候を観察しながら最適化する。焼け・振れ・ビビリは深さ不均一や欠けの要因である。

動力源と駆動方式

ガソリン・ディーゼルエンジンは現場自由度に優れるが排気と騒音対策が必要である。電動機は屋内やトンネルで有利で、一定回転により面粗さが安定する。小型の手押し式は機動性が高く、既設床の部分切断や目地追いに適する。自走式は直進ガイドや定速制御により深さ偏差を抑え、長距離・高能率切断を実現する。

適用材料と切断品質

コンクリートでは初期ひび割れ誘発のため、所定のタイミングで浅い目地を刻むコントロールジョイント切断を行う。アスファルトでは補修パッチ前の矩形切断やクラック掘削の境界形成に用いられる。品質指標は切断幅の公差、深さ偏差、面粗さ(欠け・ラベリング)、直線性である。湿式は発塵抑制とブレード冷却に優れるが、スラリーの回収・処理計画を要する。乾式は準備が容易だが、粉じん管理が最重要である。

施工手順

  1. トレース墨出しと障害物・埋設物の確認を行う。
  2. 機体点検(ブレード固定、ガード、安全装置、散水・集じん)を実施する。
  3. 切込深さを設定し、試し切りで偏心・振れを確認する。
  4. 一定の送りと直進ガイドで本切断を行う(過負荷時は一時離脱)。
  5. 完了後は端部のバリ処理と清掃、スラリー回収を行う。

安全衛生と環境配慮

粉じん(特に結晶シリカ)対策として、湿式散水または高性能集じん機を併用し、適切な呼吸用保護具を用いる。キックバックや破片飛散防止のためガードは必ず装着し、ブレードのひび・摩耗限界を管理する。騒音・振動は周辺環境と作業者の曝露に配慮し、時間帯・遮音・防振手袋などを組み合わせる。スラリーは排水系へ直接流さず、現場内で固化・回収処理を行う。

保守点検

主軸ベアリングのガタ、ハブの面振れ、昇降ねじのバックラッシュは直進性と面粗さに直結するため定期点検が不可欠である。ブレードは使用履歴を管理し、セグメント磨耗の不均一が出た場合はドレッシング材で開放する。駆動部はベルト張力とプーリ摩耗を点検し、吸排気系・フィルタ・ブラシシールを清掃して粉じん侵入を抑える。

選定の指標

切断対象(コンクリート・アスファルト)、必要深さと延長、現場制約(屋内/屋外、電源可否、換気、騒音規制)を基に、ブレード径・出力・質量・集じん方式を総合評価する。長尺高能率なら自走式とレーザー/レールガイド、改修や細部には小型手押し式が適する。消耗費はブレード選定の適否で大きく変わるため、骨材・温湿度・砂含有率を事前確認すると経済的である。

トラブルと対策

  • 焼け・研削音増大:送り過大または冷却不足。供給水量とドレッシングで改善。
  • 直線性不良:車輪トー・キャスタ調整、ガイドの見直し、フレームたわみ点検。
  • 欠け・ラベリング:ブレード硬さミスマッチ。セグメント仕様の再選定。
  • 粉じん多発:乾式での吸引力不足。高静圧集じんと封じ込め対策を併用。