シーム溶接
シーム溶接とは、抵抗溶接の一種であり、金属板を重ね合わせた部分にロール電極を当てながら連続的に通電することで接合を行う溶接方法である。特に自動車産業や家電製造などの大量生産ラインで活用されており、接合部を連続線状に形成できることが大きな特徴とされている。スポット溶接と原理的には近似しているものの、ロール状の電極を用いる点が最大の相違点であり、すき間の少ない密着度の高い接合や、高い気密性が求められる箇所への適用が多い。工程の自動化が比較的容易であるため、品質や生産効率の向上を目指す場面で重宝されている。
原理と仕組み
シーム溶接の基本的な原理は、スポット溶接と同様に抵抗発熱を利用するものである。金属板を重ね合わせ、上部と下部からロール形状の電極で一定の圧力を加える一方、通電させることで接触部位を局部的に加熱し溶融する仕組みとなっている。溶融後に冷却される段階で金属組織が一体化して強固に接合されるが、この動作が連続して行われるため、溶接線が切れ目のないシーム状になるわけである。通電時間や圧力、ロールの回転速度などを統合的に制御することで、溶接部の品質や外観を安定させることができる。
コネクタかしめ部のシーム溶接⚡️
レーザ光をΦ0.3mmまで集光したことで、10mm角に満たない小さな部品でも熱による焼けや歪みを抑えた溶接が可能です!
ラボルームでは、レーザウエルドモニターで溶接状態をモニタリングできるほか、引張強度や外観、断面など、その場で溶接品質をご確認いただけます🙆 pic.twitter.com/NrFmCJsJmk— 株式会社アマダ【公式】 (@Amada_Japan) January 17, 2025
構造と設備
シーム溶接を行う装置は、大きく分けて本体フレーム、上下のロール電極、それを駆動するモーター系統、そして通電用の変圧器や制御システムから構成されている。ロール電極は溶接材の厚みや使用環境に合わせて材質や寸法が決定されるが、一般的には銅合金製の電極が多用されている。回転速度の調整や電極冷却の方法によっては、長時間にわたり均一な溶接線を形成することが可能となっており、連続生産に向いた特性を発揮している。制御装置では通電パターンや押圧力、回転数などを細かく設定し、製品仕様に合わせた最適な条件をプログラムとして組み込むことができる。
今日はシームばっか多いday。#welding#造船#溶接 pic.twitter.com/yJQoUlelPe
— めぐる(はげずんず) (@megruru) October 5, 2020
主な用途
シーム溶接は、主に自動車ボディのパネル接合部や燃料タンク、マフラーの製造工程などで多用されている。金属板を広範囲にわたって連続的に接合できるため、車両の外板やドアなど、大きな面積を持つ部材の組み立てに適しているといえる。また、家電製品や電子機器の筐体製造にも適用され、洗濯機やクーラーの外装パネル、食品用の缶など、気密性と強度が要求される部位でも威力を発揮している。中でも液体を扱う容器では、液漏れを防止しなければならないため、連続溶接によるシール性能の高さが特に重要視される。
特性と利点
シーム溶接は、連続的に接合できるという利点だけでなく、溶接部が比較的薄肉でも強度を確保しやすい点が挙げられている。スポット溶接の場合は点と点の間隔が存在するが、シーム溶接では途切れなく接合が形成されるため、水やガスなどを通さない高い気密性が期待できる。さらに、ロール電極による接合は自動化装置との連携が容易で、一定速度でライン生産を進める際に高い生産性をもたらす。溶接後の外観が整いやすいことも大きなメリットとなり、外観品質が重視される製品の量産にも対応しやすい。
そう言えばコルラリのSだっけシーム溶接なの pic.twitter.com/wAQPLKqSB0
— リー (@Lee_JCESE) February 3, 2021
バリエーション
シーム溶接には、電極とワークの接触方式によって細かいバリエーションが存在する。代表的なものとしては、連続通電式と断続通電式が挙げられ、連続通電式では常に通電しながらロールを動かして連続的な溶接線を形成する。一方、断続通電式ではスポット状に通電を行いながら間隔を微調整することでピッチ溶接のような形態を実現することができる。材料や溶接長さ、強度要件に応じて使い分けることで、生産効率と品質の両立が可能となっている。溶接速度の向上や省エネルギーを目的に、高度なインバーター制御技術を導入する企業も多い。
課題と対策
一方で、シーム溶接は接合部に溶接熱が連続して入るため、熱影響による歪みが発生しやすいケースがある。特に薄板を扱う場合は微妙な曲げやねじれが生じることがあるため、部材の搬送や固定治具の構造を工夫する必要がある。また、ロール電極の摩耗や汚れが溶接品質に直結しやすく、定期的なメンテナンスを行わなければ電極形状が変化して不良発生率が高まるリスクがある。そのため、電極表面の清掃や定期交換、通電パラメータの自動補正システムなどを導入し、安定した接合品質を確保する取り組みが進められている。
安全管理と環境面
シーム溶接工程では、高電流が流れる設備を扱うため、安全面への配慮が欠かせない。特にロール電極が回転しながら溶接されるため、作業者が誤って手や衣服を巻き込まれる事故のリスクを考慮し、適切な防護柵やインターロック装置の導入が求められている。スパッタやガスを発生しにくい抵抗溶接という特性上、アーク溶接に比べて作業環境が比較的良好であるとされるが、高温部への接触や電撃事故を避けるための基本的な教育や点検は不可欠である。さらに、省エネルギー化や生産効率の向上を目指してインバーター電源や精密制御を取り入れる企業が増え、環境負荷の低減にも取り組む動きが拡大している。
適用範囲の拡大
近年では、複合材や異種金属の接合にシーム溶接の原理を応用しようとする試みも進められており、より軽量な構造部材を開発するうえで注目が高まっている。ロール電極を複数組み合わせる多段式の設備や、高精度なセンサーを活用したフィードバック制御技術の発展により、より複雑な形状や多様な材質への適用可能性が広がっている。従来は難しいとされてきた材料同士の接合も、加熱パターンの微細化や電極設計の工夫によって解決が見込まれ、あらゆる分野で抵抗溶接技術の重要性が再認識されている。