ゴム加硫プレス|温度圧力制御で成形品質向上

ゴム加硫プレス

ゴム加硫プレスは、未加硫ゴムを金型内で加熱・加圧し、架橋反応を進行させて所定の形状と物性を得るための成形設備である。主構成はフレーム、上下加熱盤(プラテン)、温調系、油圧ユニット、金型固定機構、安全装置から成り、加熱は電熱・蒸気・油循環が用いられる。圧縮成形やトランスファー成形に広く適用され、Oリング、パッキン、ダンパー、絶縁部品、靴底など量産部品の基幹工程を担う。金型温度の均一化、加圧プロファイル、保持時間の制御が品質と歩留まりを左右するため、温度・圧力・時間の三要素を工程能力に合わせて厳密に管理する必要がある。

仕組みと主要構成

フレームは荷重剛性に優れるHフレームや4柱タイプが一般的である。プラテンにはカートリッジヒーターや油循環チャネルが設けられ、ゾーン温調とPID制御で±1〜2℃級の安定を狙う。油圧ユニットはサーボポンプ化により微小速度制御と省エネを両立し、比例弁で加圧・減圧を滑らかに切り替える。金型側はパーティングラインの位置決め、エジェクタ、ベント溝、温度センサ挿入孔を備える。安全は両手操作、ライトカーテン、落下防止ストッパ、過熱・過圧リリーフなど多層で構成する。これらの統合によりゴム加硫プレスは再現性の高い加硫曲線を実現する。

成形プロセスの流れ

  1. 材料準備:配合ゴムをシート化またはペレット化し、スコーチ性を確認する。
  2. 予熱と装填:必要に応じてプレフォームを予熱し、金型キャビティに均一に配置する。
  3. クローズ・加圧:初期低圧で樹脂流動とエア抜きを促し、その後目標圧力まで立ち上げる。
  4. 保持・加硫:設定温度で所定時間保持し、架橋度を進行させる。
  5. 冷却・離型:必要に応じて金型を冷却し、エジェクタで取り出し、バリを処理する。
  6. 検査:寸法、外観、物性を確認し、トレーサビリティを記録する。

加硫条件の設計と最適化

加硫温度は一般に150〜200℃帯、圧力は製品・材料・面積当たり荷重から5〜20MPa程度を目安に設計する。時間はレオメータのキュラメトリー(例:T90/T95)を基準に、厚み依存の熱拡散を加味して決める。昇温段階では低圧保持でエア抜き、ゲル化後に追い込み圧で寸法安定を図ると良い。過硫は硬化割れ・脆化、未加硫は粘着・寸法不安定の原因となるため、実測温度(金型表面とキャビティ近傍)を併用してプロファイルを詰める。アレニウス近似で温度補正を行い、段取り替え時は実機データでフィードバックしゴム加硫プレスのサイクル全体を短縮する。

金型設計の要点

  • フロー計画:キャビティ最遠部まで均一充填できるプレフォーム形状と配置を選ぶ。
  • ベント:微細ガス抜き溝でボイドと焼けを抑制する。
  • パーティングライン:バリ処理性とシール性を両立する位置に設定する。
  • 熱均一化:断熱プレートや熱バランス溝で温度ムラを抑え、ソール・大型パッキンの反りを低減する。
  • 保全性:入子交換、ガイドの耐摩耗化、表面処理(窒化、TiN等)で寿命を延ばす。

品質特性と評価

代表物性はショア硬さA/D、引張強さ・破断伸び、引裂強さ、圧縮永久ひずみ、反発弾性、耐熱・耐油・耐候性、体積抵抗率などである。試験はJISやISOの関連規格に従い、ロット毎の曲線管理で加硫度のばらつきを可視化する。寸法は金型温度・保持時間・離型温度に影響されるため、工程能力指数と合わせて管理する。外観はフラッシュ、焼け、ショート、表面荒れ、金型汚れ起因の転写不良を重点確認する。

省エネ・生産性向上

プラテンの断熱板とカバーで放熱を抑え、待機時の温度スリープと迅速復帰を組み合わせる。油圧はサーボ化と蓄圧併用でピーク電力を平準化し、パージオイルの最適化で損失を低減する。稼働データはIoTで収集し、OEE、サイクル時間、エネルギー原単位、金型ごとの段取りロスを見える化する。AIによる温度・圧力の適応制御は、材料ロット差や季節変動に対して効果が高い。

安全と保全

高温・高圧・重量物を扱うため、両手押し・ライトカーテン・扉インタロック・非常停止を必須とする。ヤケド防止の耐熱手袋、金型吊り具の点検、プラテン平行度の定期測定、温度センサの校正を計画保全に組み込む。油圧漏れはスリップと発火の要因であり、ホース・シールの予防交換と受け皿整備を徹底する。

代表材料と加硫系

NR、SBR、EPDM、NBR、CR、FKM、シリコーンなど材料により適正温度や保持時間が異なる。硫黄系は汎用エラストマーでバランスに優れ、過酸化物系は耐熱・圧縮永久ひずみに強い。シリコーンでは過酸化物または白金触媒を用いる。可塑剤・フィラー量、加硫促進剤の系統に応じて、金型温度プロファイルを個別最適化する。

典型的な不良と対策

  • 未加硫:温度不足や保持不足。キャビティ近傍温度の直読センサを追加し、T90以上を確保する。
  • 焦げ・気泡:過熱・滞留ガス。ベント増設、初期低圧保持、プレフォーム見直しで改善する。
  • フラッシュ:パーティング面圧不足や磨耗。型締力配分、面修正、ゲージ管理で抑制する。
  • 寸法ばらつき:温度ムラと追い込み不均一。ゾーン温調と圧力プロファイルの再設計を行う。
  • 離型不良:表面粗度・離型剤管理。テクスチャ最適化と塗布量標準化を実施する。

以上の通り、ゴム加硫プレスは装置・金型・材料・条件設計の総合最適で性能が決まる。実測データに基づくプロファイル管理と予防保全を徹底することで、歩留まりと物性安定を長期にわたり維持できる。