コンベヤ(ローラー)|現場に合わせて直線搬送を最適化

コンベヤ(ローラー)

コンベヤ(ローラー)は、円筒状のローラーを一定ピッチで並べ、その上を荷物が転動して移送される搬送装置である。英語ではroller conveyorと呼ぶ。重力やモータ駆動により段ボール・通い箱・パレットなどの底面が平滑なワークを安定して搬送でき、部品供給、仕分け、出荷検品、ストレージ間の搬送など製造・物流の幅広い工程で用いられる。構造が単純で保守が容易、レイアウト変更がしやすいという利点を持ち、ラインの増設やセル生産にも適合する。

構造と主要部品

コンベヤ(ローラー)は、フレーム(側板・脚)、ローラー(シャフト・軸受含む)、駆動機構(必要に応じて)、補機で構成される。ローラーは鋼・ステンレス・樹脂製が一般的で、シャフト端に単列深溝玉軸受などを圧入して低摩擦化する。フレームは成形鋼やアルミ押出材が多く、側板にパンチングされた穴へローラーシャフトを差し込んで組み立てる。

駆動方式の種類

  • グラビティ(非駆動):勾配を付け、重力で自然流下させる。低コスト・省エネだが速度制御は難しい。
  • フリーローラー:押し手や下流機の引き込みで移動させる。作業台やピッキングに適する。
  • ベルト駆動:ローラー下にベルトを回して摩擦で各ローラーを回転。静音性が高く軽~中荷重に向く。
  • チェーン駆動:スプロケット付ローラーをチェーンで連結。トルク伝達性が高く重荷重や油環境で有効。
  • ラインシャフト:一本の回転シャフトからOリングで各ローラーへ伝達。組替えが容易でゾーン制御に好適。

設計の要点(サイズ・荷重・ピッチ)

  • ローラー径:軽荷重・小物はφ38前後、中荷重はφ50~60、パレットなど重荷重はφ76以上を選定。
  • 有効幅:ワーク外寸+左右余裕(合計10~50mm程度)を確保。
  • ピッチ:ワーク底面の2~3本以上のローラーが常時支持する値に設定。
  • 許容荷重:ローラー1本当たりの静荷重・動荷重、たわみ、軸受定格を総合判断。
  • 勾配・速度:重力型は1/100~1/15程度で調整。駆動型はタクトに合わせて運転速度を設定。

搬送品質と安全

底面擦り傷を抑えるにはウレタン被覆や樹脂ローラーが有効である。吸音材やベルト駆動は騒音低減に寄与する。挟まれ防止のためサイドガードやフィンガーガード、非常停止(E-Stop)を設け、保護カバーでチェーン・ベルトの露出を最小化する。安全要件はJISやISOの一般的な機械安全規格・リスクアセスメントに基づき実装する。

センサーと制御(ZPAを含む)

フォトセンサや近接センサでワーク有無を検知し、PLCや分散コントローラでスタート・ストップ、合流・分岐(ダイバタ)を制御する。アキュムレーション(滞留)用途ではゼロプレッシャーアキュムレーション(ZPA)方式を用い、ゾーンごとにローラーへの駆動を断続し、ワーク同士の接触圧をゼロに保つ。これにより傷防止・省エネ・騒音低減を同時に達成できる。

材質・表面処理と環境適合

  • 鋼・亜鉛めっき:標準用途。コストと強度のバランスが良い。
  • ステンレス:食品・薬品・防錆が要求される環境で使用。
  • 樹脂:軽量・低騒音。帯電対策グレードで静電気リスクを緩和可能。
  • 被覆:ウレタン・PVCで低摩擦や高摩擦を選択し、搬送物の材質に合わせ最適化。

周辺機器とレイアウト

  • カーブローラー:円錐ローラーで平滑な旋回を実現。
  • リフトアップ・ポップアップ:直交ラインへの乗り移りや段差解消。
  • 分岐(ダイバタ)・合流ユニット:仕分け・バッファ運用に必須。
  • ガイド・ストッパ:蛇行抑制や位置決め、段積み・整列に用いる。

保全とトラブルシュート

  • 異音:軸受の潤滑不足・損傷。早期交換とグリース管理。
  • 回転不良:シャフト曲がり、被覆の膨潤、異物噛み込みを点検。
  • 蛇行・偏摩耗:ガイド不良や床レベル、フレームねじれを是正。
  • チェーン伸び・緩み:張力調整とスプロケット摩耗の点検を定期化。

選定の実務ポイント

現場では、①投入・排出設備の高さ差、②ワーク寸法・質量・底面形状、③タクト・ピーク処理能力、④環境条件(温湿度・薬品・粉塵)、⑤清掃・洗浄頻度、⑥将来のライン増設余地を同時に満たすことが重要である。これらを満たすよう、ゾーン化・モジュール化・標準部材の採用を基本として設計する。

適用分野と効果

コンベヤ(ローラー)は、組立前後の仕掛品搬送、部品ピッキング、検査・梱包、倉庫内の入出荷ラインなどで高いスループットと作業負荷の平準化に寄与する。グラビティ型を活用すれば停電時でも搬送を維持でき、ZPAと組み合わせれば詰まりや衝突を抑えた高品位搬送が実現できる。標準化と予防保全を徹底することで、総所有コスト(TCO)を低減し、ラインの変更にも柔軟に追随できる。