コンタマシン
コンタマシンは帯状の鋸刃(バンドブレード)を上下2つのホイールで循環走行させ、作業台上でワークを手送りして曲線・斜め・直線など多様な輪郭を切り出す立形帯鋸盤である。一般に「コンター」「コンターマシン」とも呼ばれ、板材やブロック材から自由曲線の外形を素早く成形できる点が特長である。金属(炭素鋼、ステンレス、アルミ)から樹脂・木材まで幅広い材料に適用でき、治具・型の試作、板金の開口加工、研究室や試作部門での一品生産に用いられる。ブレード幅・歯ピッチ・周速の選定によって切断半径や面粗さ、切断速度が大きく変化するため、用途に応じた段取りが重要である。
構造と主要部品
コンタマシンは上下一対のホイール、無端帯鋸刃、ブレードガイド(上下)、テンション機構、作業テーブル、トラッキング調整、切粉除去ブラシ、周速制御(インバータ)、照明、安全カバーで構成される。ガイドはブレードの捩れと振れを抑え、テンションは刃の直進性と最小曲率を規定する。金属用では切削油(ミスト/ソリュブル)を併用して発熱と溶着を抑える構成が一般的である。
加工原理と切削機構
コンタマシンの刃は一定方向に連続走行し、ワークを手または治具で送ることで切削が進行する。切屑は歯間(グルーブ)に収まり、ピッチが粗いほど排出性が高い。薄板や細工には細かいTPI(teeth per inch)、厚物や軟材には粗いTPIが適する。最小切断半径は概ねブレード幅に依存し、細幅刃ほど小さくできる。目安として、6〜10mm幅で比較的広いR、3〜6mm幅で中程度、3mm未満で小Rが狙える。極小Rではあらかじめ逃げ穴を開けてコーナを繋ぐと仕上がりが安定する。
適用材料と用途
コンタマシンは鋼・ステンレス・アルミ・銅などの金属、アクリル・PVC・POMなどの樹脂、ベニヤ等の木材に適用できる。用途は、試作部品の外形取り、型板・治具の曲線切り、開口部加工、スリットやテーパー切断、研究教育用の工作実習まで多岐にわたる。硬脆材を切る際は周速を下げ、微細ピッチ刃と切削液で熱とチッピングを抑えると良い。
機種選定の要点
- スラッシ(スロート)深さ・テーブルサイズ:ワーク外形と回し込みの余裕を確保する。
- 最大切断高さ:ブロック材や積層材の厚み要求に合致させる。
- ブレード幅レンジ:細工用の細幅から直進重視の広幅まで使えるか。
- 周速範囲:金属用に広い可変域(例:20〜1500m/min級)が望ましい。
- ガイド剛性と微調整性:薄板や微細Rの追従性に直結する。
- 切削油・集塵:材質に応じてミスト/フラッド、樹脂・木工では集塵の整備。
- 保守アクセス:ブレード交換、ホイール清掃、トラッキング調整の容易さ。
- 安全装備:扉インタロック、非常停止、照明、押し棒などの付属品。
セットアップと段取り
- ブレード装着:回転方向と歯向きを確認し、ホイール中央に安定させる。
- テンション設定:メーカー推奨値を基準に、直進性と曲率のバランスを最適化。
- トラッキング:惰走確認で刃位置を安定させ、偏摩耗を防ぐ。
- ガイド位置:ワーク厚みに合わせ、ガイド先端を刃に近づけ剛性確保。
- ブレード慣らし:新刃は周速・送りを控えめにして初期欠けを防ぐ。
- ケガキと治具:テンプレートや当て木でライン追従性を高める。
精度と面品質を高めるコツ
- 線の外側で荒取り→仕上げ代を残し、後工程で面を整える。
- 小R前の逃げ切り:多数の relief cut を入れて歯の食い込みを安定化。
- 材質に応じたTPIと周速:硬材は細かく低速、軟材は粗く高速が扱いやすい。
- 切粉排出:ブラシやエアで歯詰まりを防ぎ、焼けとビビリを抑制。
- ガイド締結:上下ガイドを近づけ、刃捩れを最小化。
安全衛生
- 保護具:保護眼鏡・防音・防塵を着用し、手袋は巻き込まれに注意。
- 押し棒・当て木:刃線近傍での指入れを避ける。
- カバー・インタロック:扉開放時は必ず停止状態で作業する。
- 切粉清掃:停止確認後にブラシ・スクレーパで除去し、エア乱用を避ける。
- 教育:周速・送り・テンションの基礎を共有し、単独作業を避ける。
保守点検と消耗品
ホイールタイヤの摩耗、ブレードの歯欠け・目詰まり、ガイドの摩耗やベアリング音、テーブルの直角度を定期点検する。トラッキングが不安定ならホイール清掃や芯振れ点検を行う。ブレードは材質・ピッチ別に保管し、錆を防ぐ。切削油は濃度・清浄度を維持し、樹脂加工では溶着防止剤の活用が有効である。
よくあるトラブルと対策
- 直進しない:テンション不足、ガイドの隙間過大、刃先片減りを点検。
- 面が荒い/焼ける:TPI不適合、周速過大、切削油不足、刃先摩耗。
- 振動・ビビリ:ホイール汚れ、ブレード継ぎ目不良、ガイド緩み。
- ブレード逸走:トラッキングとホイールクラウン、テンションを再調整。
関連規格・留意事項
機械安全の基本原則はISO 12100やJISの一般安全規格群に準拠する考え方が有用である。事業所では労働安全衛生法令や社内安全基準に従い、点検記録と教育訓練を徹底する。コンタマシンは自由度の高い切断が可能な一方で、手送り作業の比重が大きいため、工程設計と治具化によってばらつきを抑えることが品質・安全の双方に寄与する。