コンソールボックス|収納力と操作性をバランス良く設計

コンソールボックス

コンソールボックスは、前席の間やセンタートンネル上に設置される収納・操作系モジュールである。肘置き(アームレスト)やフタ一体のストレージ、カップホルダー、12VソケットやUSBポート、無線充電器、照明などを統合し、運転操作の妨げにならない位置に配置されることが要件である。内装部品としては意匠(表皮・加飾)と機能(収納・電装・開閉機構・NVH)を両立させる設計が求められ、使用頻度の高い日用品の収容や配線の取り回しも考慮される。

構成要素と材料

コンソールボックスは、ベースハウジング、インナービン、フタ(ヒンジ・ラッチ・ダンパ)、アームレストパッド、カップホルダー部、加飾部材、電装サブハーネスなどで構成される。ベースやインナーにはABS、PP、PC/ABSなどの樹脂を用いることが多く、耐衝撃性・耐熱性・寸法安定性を満たす配合が選定される。表皮はTPOやPVC、ファブリック、合成皮革を用い、発泡層で触感と防振を確保する。スライドトレイやディバイダは着脱式として製品バリエーションに対応する。

主な機能と要求性能

  • 収納性:容量(L)と開口寸法、取り出しやすさ、内部の整頓性(仕切り・ライナー)を確保する。
  • 人体工学:アームレスト高、前後スライド、肘載せ硬度、操作時の手の到達性を最適化する。
  • 耐久・作動:フタ開閉サイクル(例:30,000回)、ラッチ保持力、作動温度域(−30~80℃)における安定性。
  • NVH:走行時のビビリ音・ガタつき低減、ライナー材やフェルトで小物の衝突音を抑制する。
  • 耐候・難燃:内装材料の難燃性(FMVSS 302 等)と耐光・耐汗・耐化学薬品性を満たす。

開閉機構とラッチ

フタは回転ヒンジ方式が一般的で、トーションスプリングやガスダンパを併用してソフトクローズ感を与える。ラッチはプッシュプッシュ式またはプッシュボタン式を採用し、誤解放を避けるためストライカ位置精度とクリアランス管理を行う。耐久後のクリック感保持にはラチェット角度とばね定数の経時変化をCAEと評価試験で確認する。

電装統合と熱設計

USB、12V、無線充電(Qi)、アクセサリ照明(LED)、後席用エアアウトレット(HVAC)などを統合する場合、熱源密度と放熱経路を考慮する。無線充電コイル下の通気や熱拡散板を設け、樹脂の熱変形を抑える。ハーネスは干渉・折損・擦れを防ぐクランプ設計とし、静電気(ESD)とノイズ対策としてシールド・グラウンドを計画する。

意匠・表面品質

上面は乗員の視界に入るため、ウエルドラインやヒケの抑制が重要である。肉厚・リブ・ゲート位置の最適化で外観不良を回避し、シボ転写性と耐擦傷性を両立させる。加飾はインモールド、フィルム、塗装、クロム調、ステッチなどを使い分け、周辺内装との段差・隙間(フィット&フィニッシュ)を厳密に管理する。

設計パラメータと成形性

  • 樹脂設計:ドラフト角1~3°、コア抜き方向の考慮、リブ厚t×0.5~0.7、ボス周りの肉厚均一化。
  • 締結設計:セルフタッピングねじの下穴径、座面ボスの座屈対策、金属インサートの熱圧入条件。
  • 公差:ヒンジ・ラッチ系の累積公差解析、熱膨張差を見込んだアローワンス設定。
  • 安全:角部R処理、指はさみ防止の指入れ隙間規定、衝突時の二次突起物評価。

評価試験と品質保証

環境(高温高湿・低温)、サーマルショック、耐擦傷、耐薬品(飲料・日焼け止め)、耐汚染、作動寿命、振動・S&R(Squeak & Rattle)を評価する。実車で路面入力を与え、開閉時の音圧やクリック感の官能評価も併用する。電装付き仕様では充電効率、電圧降下、LED輝度、電磁適合性(EMC)を確認し、不具合は設計FMEAに反映する。

車体・シートとの取り合い

コンソールボックスはシートスライド・リクライニング時の干渉を避け、シートベルトバックルや駆動系トンネルの形状に合わせて取付けブラケットを設計する。後席乗員の膝前空間やカップホルダー位置も配慮し、ISO規格のカップ寸法群に対する保持力を検証する。

代表的な不具合と対策

  • ビビリ音:ラッチの過大クリアランス→パッド追加やストライカ位置補正、ライナー材追加。
  • ヒンジ破損:樹脂クラック→肉厚・リブ強化、材料グレード変更、応力集中部のR付与。
  • フタ戻り不良:ダンパ劣化→ばね・ダンパ再選定、温度依存性の見直し。
  • 外観不良:ヒケ・フローマーク→ゲート位置変更、均肉化、成形条件の最適化。
  • 配線損傷:折れ・擦れ→保護スリーブ、経路再設計、クリップ位置の追加。

開発プロセスの要点

企画段階で顧客の収納ニーズと電装仕様を確定し、パッケージ検討と人体計測に基づく基準寸法を定める。試作では金型簡易化と実車評価を反復し、NVHと操作感の官能指標をKPIとして収束させる。量産移行時は成形ウィンドウと検査規格を明確化し、工程内検査で寸法・外観・作動を管理する。