ゲノム
ゲノムとは、生物が持つ全遺伝情報の総体であり、DNA配列として記録され、発生・恒常性・環境応答を制御する設計図である。遺伝子と非コード領域、反復配列や調節配列が組み合わさり、発現を制御する。技術の進歩により、ゲノム解析と編集は医療や農業の基盤となった。
基本構成
ゲノムは塩基A・T・G・Cの配列から成り、遺伝子はプロモーター、エクソン、イントロンなどの単位で区分される。原核生物は遺伝子密度が高く、真核生物は非コード領域と調節配列が多い。
核外ゲノム
ミトコンドリアや葉緑体が持つ核外ゲノムは円環DNAで、母系遺伝や系統解析、代謝病の診断に用いられる。小型で独立した遺伝単位である等。
サイズと複雑性
ゲノムサイズは必ずしも生物の複雑さに比例しない(C-value paradox)。反復配列、転移因子、偽遺伝子がサイズを左右する。
配列決定技術
- NGSとロングリードでゲノムのギャップや構造多型の解像度が向上
- Hi-C併用で染色体スケールのアセンブリが可能
アセンブリ
de Bruijn graphやOLCで断片を再構築する。リピート分解や誤り修正が鍵である。
アノテーション
RNA-seqや既知ドメインのマッピングで遺伝子境界と機能を注釈する。非コードRNA、エンハンサー、サイレンサーもゲノム機能に寄与する。
遺伝的多様性
個体差はSNP、インデル、コピー数変異、構造変異等として表れる。集団ゲノム解析は進化と疾患関連座位の特定に資する。GWASやPRSも用いられる。
医療応用
がんでは体細胞変異や融合遺伝子、コピー数異常をプロファイルし、薬剤選択や微小残存の監視に活用する。希少疾患は全エクソーム/全ゲノムで原因変異を探す。
編集技術
CRISPR-Casは標的ゲノムに二本鎖切断を導入し、NHEJやHDRで改変する。塩基編集やプライム編集は切断を伴わず高精度改変を可能とする。
エピジェネティクス
DNAメチル化やヒストン修飾、クロマチン立体はゲノム配列同一でも発現を変える。ATAC-seqやChIP-seqが調節地図を描く。
データ管理
FASTA/FASTQ, BAM/CRAM, VCFなどの標準形式を採用し、再現可能なワークフローとメタデータでゲノム研究の信頼性を担保する等々。
倫理と法
個人ゲノムはセンシティブ情報であり、匿名化と同意、二次利用管理、越境移転の法遵守が要る。
産業応用
微生物ゲノムスクリーニングで酵素を探索し、発酵最適化やバイオリファイナリに適用する。医薬・農業・環境浄化に展開する。などなど等々。
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