ガスバーナー|高温の炎で加熱・溶接・ろう付け

ガスバーナー

ガスバーナーは、可燃性ガスを燃焼させて高温の火炎を得る熱源機器である。工学・製造現場では、加熱、ろう付け、はんだ付け、熱処理、収縮チューブの縮径、塗膜やサビの除去、実験加熱など用途が広い。燃料は主にプロパン(LPG)、ブタン、都市ガス、アセチレンなどで、必要に応じて酸素を併用し高温・高指向性の火炎を得る。火口(ノズル)形状、混合方式、レギュレータ設定により火炎の形状・温度・熱流束が決まる。

原理と構造

ガスバーナーは、燃料供給系、空気・酸素の混合系、点火系、燃焼ノズルで構成される。気化した燃料はベンチュリ効果で一次空気を吸引し、混合室で均質化されてからノズルで噴出・燃焼する。予混合型は高効率で火炎がシャープ、拡散型は失火しにくく安定性に優れる。点火は圧電素子やパイロ点火、外部トーチによって行う。

燃料と火炎特性

プロパン/ブタンは入手性が高く屋外作業に適す。都市ガスは実験室で一般的。アセチレンは酸素と併用(O2-C2H2)することで約3,100℃級の火炎温度を得られ、ろう付け・金属切断に用いられる。火炎は内炎・外炎に区分され、還元性/中性/酸化性の調整により母材の酸化やフラックス反応を制御する。熱量はkWまたはBTU/hで示し、同一出力でも火口径や噴出速度により熱集中性が変わる。

種類

ガスバーナーは用途別に以下へ大別される。

  • 手持ちトーチ:携帯型で塗膜剥離、配管のろう付け、収縮チューブ加熱に適す。
  • ブンゼンバーナー:実験室用の予混合型。安定した中性炎を得やすい。
  • 酸素-燃料トーチ:O2-プロパン/O2-アセチレンで高温・高指向性の炎を形成。
  • リング/ワイドフレーム型:面加熱や予熱に用いられる。
  • 自動点火・調整弁一体型:反復作業に有利で安全装置を内蔵する。

用途と作業の勘所

ろう付けでは、母材を濡れと拡散が進む温度域まで均一に加熱し、フラックスの活性域を外さない。はんだ付けは低温域で部品損傷を避けるため、基板や部材の耐熱を考慮し熱容量に見合う火口を選定する。熱収縮や曲げ加工では、移動速度と距離を一定に保ち、局所過熱を避ける。

安全管理

ガスバーナーは燃焼機器であり、逆火・ガス漏れ・一酸化炭素発生に注意する。逆火防止器と逆流防止弁を適所に設け、ホースは耐圧・耐油の適合品を使用する。屋内は十分な換気を確保し、点検時は検知液で継手部の漏れを確認する。ボンベの直射日光・高温放置は禁止で、保管は転倒防止を徹底する。

選定ポイント

  • 必要火炎温度と熱量:母材・ろう材に適合したkW/BTU/h。
  • 火炎の指向性:細径ノズルは局所加熱、広口は面加熱に有利。
  • 連続使用時間:ボンベ容量・ガス消費量・冷却性。
  • 点火方式と操作性:片手操作、トリガー式、調整弁の精度。
  • 安全装備:逆火防止器、燃焼停止機構、転倒時遮断。

周辺機器・アクセサリ

レギュレータは供給圧力を安定化し、微細火炎の再現性を高める。ホースは長さ・内径で圧損が変わるため、規定値内で最短にする。点火棒、耐熱手袋、防炎シート、遮熱板、火口クリーナーは現場の必需品である。

基本操作フロー

  1. 事前点検:継手増し締め、漏れ確認、周囲の可燃物除去。
  2. パージ:短時間のガス流しで配管内の空気を置換。
  3. 点火:低流量で点火し、徐々に流量・空気比を調整。
  4. 加熱:適切な角度と距離(火炎の内炎先端を狙う)を維持。
  5. 消火・冷却:ガス遮断後、自然冷却を待ち保管位置へ復帰。

トラブルシューティング

炎が黄ばむ場合は未燃ガス・ススの増加が疑われ、一次空気不足かフラックス過多を点検する。バックファイア音や火口内燃焼は逆火の兆候であり、即時停止してノズル清掃・圧力設定・逆火防止器の有無を確認する。火勢不足はボンベ残量・温度低下(ブタンの蒸気圧低下)やレギュレータ目詰まりが原因となる。

性能指標と記号

公称出力(kW/BTU/h)、火口径(mm)、使用圧力(kPa/MPa)、ガス流量(L/min)、火炎温度(℃)が主要指標である。これらは作業時間・熱投入量・母材厚さの見積りに直結し、治具設計や予熱条件の設定に活用できる。記号や単位はJISの表記に準拠するのが望ましい。

屋内使用の留意点

屋内では、不完全燃焼によるCO濃度上昇を避けるため換気量を確保し、近接する計測機器・配線の熱損傷を予防する。耐火下地と遮熱板を併用し、消火器を手元に置く。

教育・実験での活用

ブンゼンバーナーは燃焼の基礎教育に適し、空気比と炎色、内炎・外炎の観察に用いられる。治具と遮熱で再現性を確保し、温度管理は接触式/非接触式温度計で行う。

材料別の加熱感度

銅・アルミは熱伝導率が高く熱が逃げやすいので高出力・狭指向の炎が有利。ステンレスは熱膨張差と酸化皮膜に注意し、フラックス活性域と中性炎を維持する。樹脂の曲げ加工は軟化点直上を狙い、黄変や泡の発生を避ける。

保守・点検

ガスバーナーの火口は酸化スケールやフラックス残渣で詰まりやすい。清掃ワイヤで定期的にクリーニングし、Oリング・パッキンの劣化は早期交換する。保管時はキャップで防塵し、ホースは曲げ半径を守って折れ癖を防ぐ。