ガイドシュー(配管)|配管横拘束し軸方向移動を許容

ガイドシュー

ガイドシューは配管支持において、管の軸方向移動(熱膨張・収縮)を許容しつつ、横方向の変位や回転を制限して進行方向へと案内する装置である。一般に配管に取り付ける「シュー(靴)」本体と、受け側のガイドレールやチャンネル、当て板で構成され、低摩擦材を介して摺動する。熱応力低減、振動抑制、地震時の座屈・横倒れ防止、据付後の芯ずれ補正に有効である。エレベータ用のガイドシューと混同されることがあるが、配管用は荷重方向・クリアランス・耐環境性の考え方が異なる。

機能と役割

ガイドシューの主機能は「案内」と「拘束」の両立である。軸方向には低摩擦で滑らせ、横方向にはクリアランス内で側圧を受ける。これにより配管の熱伸びを許しつつ、風荷重や地震時の横荷重、起動停止に伴う慣性力に抵抗する。ガイド間隔を適切に設定することで、管の座屈長さを短縮し、たわみ・応力を抑える効果が得られる。

構造と主要部品

  • シュー本体:配管外周に取り付ける受台。溶接固定タイプやクランプタイプがあり、クランプではサドルUボルトで締結する。
  • 摺動面:PTFE、UHMW-PE、黒鉛系などの低摩擦材を貼り付ける。摩耗・焼付き防止のため、相手側には硬化処理や摩擦ライナーを設ける。
  • 受け側構造:チャンネル・レール・当て板。架台ではチャンネル鋼フレームが汎用である。
  • 固定部品:基礎・ベースプレート・アンカーやボルト群。取付精度と面精度が摺動性能を左右する。

設計要点

想定荷重(自重、内容物、保温、風、地震、温度差)、最大変位、周囲温度、腐食環境を整理し、摺動材・クリアランス・取付方法を決める。PTFE系の静摩擦係数は概ね μ=0.04~0.10 程度で、設計では余裕を見込む。横すきまは施工誤差・熱膨張・曲げたわみを見込み数 mm~十数 mm 程度とする。側圧はライナーの許容面圧以下、ボルト締結は疲労と緩みを考慮して決定する。

熱膨張とすきま設計

熱伸びは ΔL=α・L・ΔT で評価する。炭素鋼配管で α≈12×10^-6/K、配管長 L=20 m、温度差 ΔT=100 K のとき ΔL≈24 mm である。この場合、ガイドシューの案内長・すきまは、最大伸び方向に十分なストロークを取り、据付時の初期位置(中立点)を設定する。保温・被覆の厚さ増加は実クリアランスを圧迫するため、被覆施工後の再確認が要る。

選定手順(実務の流れ)

  1. 配管条件の整理:呼び径、設計温度・圧力、保温有無、設計荷重ケース。
  2. 案内方針:固定点・可動点・停止器の配置を定義し、スライドベースローラーとの役割分担を明確化する。
  3. ガイド間隔:配管仕様書・社内標準の基準値を適用し、必要に応じて連成応力やたわみで裏付ける。
  4. 摺動材の選定:温度域、荷重、化学適合性、必要摩擦係数からライナーを決める。
  5. 締結・据付:クランプ力、座金・当て板の面圧、溶接部の硬度・残留応力を確認し、現場公差を図面に反映する。

材料と表面処理

本体は一般に炭素鋼(SS400 相当)で、腐食環境ではSUS系やライニングを用いる。摺動材は PTFE、UHMW-PE、黒鉛、ブロンズ焼結など。屋外・湿潤環境では溶融亜鉛めっきや重防食塗装を採用する。相手側プレートは焼入れや肉盛りで耐摩耗性を確保する。

施工・検査・保守

据付面の平面度・平行度を確保し、ボルトの締付管理を行う。摺動面は油脂・異物を除去し、初期なじみ後の再トルク点検を推奨する。定期点検ではクリアランスの偏り、摺動痕の左右差、ライナーの摩耗・剥離、錆の進行を確認し、必要に応じて部品交換を行う。寒冷地では凍結固着に注意し、ドレン・遮水を設ける。

関連機器との違い

  • スライドベース:縦荷重支持が主で、案内は付加機能である。
  • ローラー:軸方向移動の摩擦をさらに低減できるが、横拘束には向かない。
  • ストップ・リミッタ:非常時や限界変位の制限が主目的で、常時案内機能は持たない。

簡易計算例

呼び径 400A、支持反力 N=10 kN、PTFE(μ=0.06)のとき、軸方向の摺動抵抗は F=μN=0.6 kN である。熱伸びが ΔL=24 mm、ガイド間隔 5 m とすると、一本あたりの案内長に 24 mm 以上の余裕を取り、左右すきまは施工誤差とたわみを見込んで片側 5~10 mm 程度とする。側圧による面圧 p は支持面積で割って算定し、ライナーの許容面圧以下となるよう当て板寸法を決める。

規格・呼称とドキュメンテーション

ガイドシューの呼称・記号は社内標準で統一し、型式、適用径、荷重範囲、ストローク、クリアランス、表面処理、摺動材仕様を図面・要領書に明記する。国際的には配管支持装置の業界標準として MSS SP-58/69/89 等が参照されることが多い。設計のトレーサビリティ確保のため、荷重ケース、クリアランス根拠、保全手順を設計計算書に添付する。