カッティングディスク|薄刃で鋼材・ステンレスを高速切断

カッティングディスク

カッティングディスクは、ハンドグラインダや切断機に装着して金属・非金属を高速回転で切断する薄型の切断砥石である。レジノイド系結合材にガラス繊維を積層した円板構造をとり、刃厚はおおむね0.8〜3.0mmで、切り代が小さく発熱・バリ・変形を抑制できる。用途は鋼材・ステンレス・アルミ・鋳鉄・石材・コンクリートなど広範で、現場加工から製造ラインまで広く用いられる。最高使用周速度や回転数が製品ごとに定められ、側面研削は禁止されるなど、安全上の遵守事項が明確である。

用途と作業原理

カッティングディスクは砥粒の微小破砕で被削材を連続的に除去し、溝を形成して分離に至らせる。薄刃ゆえ切断抵抗が低く、繊細な部材や薄板の切断に適する一方、側圧に弱いため直線的な押し切りを基本とする。スパークの方向管理、被削材の確実なクランプ、安定した送りが品質と安全性に直結する。

砥粒・結合材と種類

砥粒は鋼材向けのA/WA(アルミナ系)、鋳鉄・石材向けのC(SiC)、高能率用途のジルコニアアルミナ、脆性材向けのダイヤモンドなどを使い分ける。結合材は弾性と耐衝撃に富むレジノイドが主流で、ガラス繊維ネットで補強する。形状はフラット(タイプ41)とオフセット(タイプ42)があり、前者は直線切断、後者は干渉回避や視界の確保に利点がある。

表示記号の読み方

一般に「A46T-BF 125×1.0×22.23」のように表す。Aは砥粒(A/WA/Cなど)、46は粒度、Tは硬度、BFはレジノイド補強、続く数値は外径×厚さ×穴径(mm)である。記号を読むことで被削材適合、切れ味、寿命バランスを概ね把握できる。

寸法・周速度・最高回転数

外径は105/115/125/180/230mmが一般的で、穴径22.23mmを標準とする製品が多い。最高使用周速度は80m/sが目安で、最高回転数n(rpm)は n=60000×V/(π×Dmm) で求める。代表値は次のとおりである。

  • 105mm:約14550rpm
  • 115mm:約13290rpm
  • 125mm:約12220rpm
  • 180mm:約8480rpm
  • 230mm:約6640rpm

計算と運用の要点

例えば125mmでV=80m/sなら約12200rpmが上限である。機械側の無負荷回転数がこれを超える場合は使用不可である。周速度は摩耗で外径が小さくなるほど低下し、切断感も変化するため、送りと接触角度を適宜調整する。

適用素材と選定ポイント

鋼材にはA/WAの汎用薄刃が扱いやすい。ステンレスは発熱・焼け対策として薄刃・シャープ系や低弾性ボンドが有効で、鉄分移行を嫌う用途では材質適合の表示を選ぶ。鋳鉄・石材はC系、アルミなど非鉄は目詰まり低減処方の製品が適する。コンクリート・タイル・石英系脆性材の直線切断にはダイヤモンドディスクを選ぶと安定する。

切断品質に影響する因子

刃厚は薄いほど切断抵抗・切り代が小さいが、直進性と耐チッピングは低下しやすい。粒度は粗いほど能率重視、細かいほど仕上がり重視となる。過大な押し付けは発熱・焼け・溶着を招き、過小な押し付けは目つぶれによる摩耗増大を招く。

取り付け・作業手順

フランジ面を清浄にし、挟み込み異物や偏心を排除する。矢印表示に合わせて回転方向を一致させ、ガードを必ず装着する。空転で振れ・異音の有無を確認後、被削材を確実にクランプし、火花の向きを人や可燃物から避ける。側圧をかけず、安定した送りで直線切断することが重要である。

PPEと安全

保護メガネとフェイスシールド、手袋、耳栓、防塵マスクを着用する。最高回転数超過、側面研削、割れ欠けディスクの使用は厳禁である。レジノイドは経時劣化するため期限管理と乾冷暗所保管を徹底する。停止後もしばらく惰性回転するため、置き方と取り扱いに注意する。

トラブル事例と対策

焼け・青変は押し付け過大や刃厚不適合が原因で、薄刃化や送り見直しが有効である。欠け・ライン割れは側圧やクランプ不良、振れが一因で、保持と進路の修正で抑制できる。目詰まりは砥粒種・ボンド不適合で発生し、非鉄向け処方や切断角度の最適化で改善する。

保管・管理

カッティングディスクは湿気・高温・直射日光を避け、平置きで反りを防ぐ。ロットと使用履歴を記録し、外観点検(ひび、欠け、剥離、偏摩耗)を習慣化する。作業前の空転確認、作業後の残量確認と交換基準の徹底が、品質と安全の両立に資する。