オープンコレクタ
オープンコレクタは、トランジスタ出力のコレクタ端子を外部に解放しておき、必要に応じてpull-up resistorを外付けして電圧を引き上げる出力構成のことである。古くはTTL系のディジタル回路で広く使われてきた技術で、複数の信号をまとめたり、さまざまな電源電圧レベルに対応したりできる特徴を持つ。例えば一つの回路が5V、別の回路が3.3Vを使っている場合でも、共通のオープンコレクタ出力と適切な抵抗を組み合わせることで互換性のある信号伝達を実現できる。さらに、信号ラインをワイヤードANDとして活用しやすいため、状態監視やエラー検出などにも応用されている。
基本構造と原理
オープンコレクタの基本構造は、トランジスタのエミッタが接地され、コレクタが抵抗を介して電源に接続されるというシンプルなものである。通常の出力段は、トランジスタのコレクタと負荷が直接つながっているか、内部にプルアップ抵抗が存在する。しかしオープンコレクタの場合は、あえて内部の負荷を設けず、外付けのpull-up resistorを使って信号レベルを決定する。これにより、設計者は使用する電圧や抵抗値を柔軟に選ぶことができ、必要に応じてさまざまな電源レベルや負荷条件に対応できるようになる。
オープンコレクタにするためにトランジスタ並べるの楽しいけど貴族だからアレイ使います pic.twitter.com/hQ6FBczo4I
— Naitsuku (@nainara_tsukuru) August 14, 2017
メリットと用途
オープンコレクタ出力を採用するメリットとして、まず第一に絶縁性や電圧の互換性が挙げられる。異なる回路間でシグナルをやり取りする際、直接電源レベルを合わせることが困難な場合でも、外付け抵抗を通じて電圧レベルを適切に設定できる。また、複数の出力を1本のラインに接続し、すべてのトランジスタがOFFの場合にラインをHighとし、いずれかがONの場合にLowとする「ワイヤードAND」構成を実現できるため、エラー検出や警報ラインなどに活用されることが多い。工場の制御装置やセンサーの集約など、信号統合が必要となるケースで特に威力を発揮している。
今はセンサーもリレー接点出力から小型低消費電力化してトランジスタのオープンコレクタ出力が主流なのか。 pic.twitter.com/GqgfrEwFSQ
— タカ (@takataka0123456) August 9, 2024
CMOS系との比較
CMOS系ではオープンコレクタに相当する方式としてオープンドレインがある。トランジスタの種類は異なるものの、ゲートのドレイン端を解放して外付け抵抗で引き上げる点は同様である。ただし、CMOSプロセスで作られた回路では、トランジスタがPMOSとNMOSで構成されているため電源電圧の選択肢が広い。また、消費電力の観点でもCMOSは静的消費電力が少ないため、マイコンやセンサノードなど低電力化を重視するシステムでも採用しやすい。用途やプロセス技術の違いはあれど、外付け抵抗を利用して出力を制御するという考え方は両者に共通している。
実装時の注意点
オープンコレクタ方式の実装では、外付け抵抗の値選定や電源電圧、負荷電流の上限に注意が必要である。抵抗値が大きすぎると信号の立ち上がり速度が遅くなり、高速通信には向かなくなる。一方で抵抗値が小さすぎると、トランジスタがONした際に大電流が流れ、デバイスの熱損失や破損リスクが増す。また、配線長が長いとノイズや容量負荷が増え、信号品質が低下しやすい。設計時にはデータシートを参照しながら、適切なパラメータをバランスよく設定することが望ましい。
I2C化するメリットは電圧気にせずI2Cのオープンコレクタの仕様により機器が通信しあってもレベル変換回路を省略できることですねぇ????
ということは、I2Cの機器ならPICでもESP32でもArduinoでもRaspberry Piでもmicro:bitでもなんでも使えちゃうって話ですねぇ????— ???????????????????????????????????????????????? 数値で語らず実践勝負???????? (@tomoyan596sp) July 31, 2021
双方向通信への応用
I²Cなどの双方向通信バスでもオープンドレイン方式を用いた引き回しが行われており、複数の機器が共通のラインを共有することで通信を実現する。これはオープンコレクタの考え方と同一であり、Highを外付け抵抗に任せ、全機器がトランジスタをOFFにしている状態を標準のHighレベルとして扱う。何らかの機器がLowを出力する場合は、そのコレクタ(またはドレイン)が導通し、バスをLowに引き落とす。この方法は、多数の機器が並列接続される状況でも衝突を回避しやすいのが特徴である。