ウェハプロセス|半導体チップの基盤を形成する微細加工工程

ウェハプロセス

ウェハプロセスは、半導体チップを製造するうえで最も基本となるプロセスフローのことである。シリコン結晶から生成されるウェーハを母材とし、その表面に微細構造を作り込む一連の工程を総称しており、リソグラフィやエッチング、ドーピング、薄膜形成など多岐にわたる処理が含まれる。クリーンルームと呼ばれる清浄度の高い環境下で高精度かつ高い再現性が求められ、プロセス制御や材料の純度、装置の性能が歩留まりを左右する。半導体デバイスの微細化が進む中、サブミクロンやナノメートル単位の加工を安定的に実施するためには、高度な装置やプロセス技術だけでなく、測定・検査工程も含めて総合的な品質管理が欠かせないとされる。

ウェハプロセスの概要

ウェーハの製造は単結晶シリコンの引き上げ工程から始まるが、そこで得られる円柱状のインゴットをスライスし、表面を研磨してウェーハとして仕上げる。その後は微細加工工程が連続して行われ、マスクパターンを用いたフォトリソグラフィ工程や、イオン注入によるドーピング、成膜やエッチングなどによって回路構造が形成されていく。これらすべての段階を総称してウェハプロセスと呼び、ウェーハ表面をいかに高精度で処理するかが半導体デバイスの性能と良品率を大きく左右するとされている。

ウェハプロセスの主要工程

ウェーハを使った半導体製造では、一般に表面洗浄、酸化膜や窒化膜などの薄膜形成、リソグラフィ工程、エッチング、ドーピング、さらにCMP(Chemical Mechanical Polishing)による平坦化などが繰り返される。各工程で形成される膜やパターンは極めて微細であり、コンタミ(汚染)を防ぐためにクリーンルーム内で作業が行われる。また、それぞれの工程後には外観や寸法、電気特性の測定・検査を入念に行う必要があり、不具合の早期発見が大量生産時の歩留まり向上に直結するとされる。

洗浄と表面処理

ウェーハ表面には微粒子や有機物、金属イオンなどの汚染が付着しやすく、微細化が進むほど歩留まりに深刻な影響を与える。このため、多段階の洗浄工程が用いられており、化学薬品や超純水を組み合わせて何度も洗浄を繰り返すことで表面を清浄化する。さらに、表面に酸化膜を形成する熱酸化処理や、アルゴンプラズマを用いたアッシングなど、様々な表面処理技術を活用してエッチングやリソグラフィ工程を安定化させる工夫が行われている。

リソグラフィ工程

マスクパターンをフォトレジストに転写するリソグラフィ工程は、ウェハ表面に微細構造を描き込む要となる。具体的には、ウェーハにフォトレジストを塗布し、露光装置を用いてマスクパターンを焼き付け、現像工程で不要部分を除去する流れが一般的である。これにより形成されたフォトレジストパターンをマスクとしてエッチングを行い、ウェーハ表面の材料を所定の形状に加工する。解像度向上のため、高NAレンズや液浸リソグラフィ、EUV(Extreme Ultraviolet)リソグラフィなどの技術が開発されており、微細化の最前線を支える重要プロセスといえる。

ドーピングと拡散

シリコンベースの半導体に電気的特性を付与するには、ボロンやリン、ヒ素などの不純物(ドーパント)を所定の領域に打ち込む工程が必要である。イオン注入装置を用いてウェーハ表面に高速のドーパントイオンを照射し、その後にアニールと呼ばれる熱処理を実施して結晶格子の中に不純物を拡散・活性化させる手法が一般的である。拡散深さや濃度プロファイルの制御が半導体の電気特性を大きく左右するため、プロセスの温度管理や時間管理が重要となり、微細プロセスほど高精度な注入制御が必須とされている。

薄膜形成

配線層やバリア膜、パッシベーション膜など、さまざまな膜をウェーハ上に形成する工程もウェハプロセスの大きな柱である。代表的な技術としてCVD(Chemical Vapor Deposition)やPVD(Physical Vapor Deposition)があり、均一性や膜質を向上させるためには真空度やガス流量、反応温度などの精密制御が求められる。特に、配線材料として銅やアルミニウムなどを導入する際には、膜厚制御やライン寸法のばらつきを最小化する工夫が不可欠とされている。

エッチング

リソグラフィによって形成されたフォトレジストパターンをマスクとして、不要な部分の材料を除去する工程がエッチングである。プラズマを用いたドライエッチングが主流であり、SiやSiO2、金属膜など材料特性に応じてガスを選択し、選択比と異方性のバランスを取りつつ微細構造を加工する。ドライエッチングでは、プラズマによるダメージや異物付着を抑制する技術も重要であり、高アスペクト比の微細パターンほど欠陥低減のためのプロセス設計が難易度を増すといえる。

検査と歩留まり向上

多層の配線やトランジスタが形成されたウェーハは、各工程の合間や最終段階で外観検査や電気特性検査にかけられる。欠陥検出や寸法計測のために高精度の自動検査装置が導入され、検査データをもとに歩留まり改善のフィードバックが行われる。微細化が進むほど欠陥の影響は顕在化しやすく、片面のウェーハに数千~数億個ものトランジスタが形成される現代では、歩留まり向上の取り組みが製造コストを大きく左右する。装置開発や材料研究、品質管理手法など多面的なアプローチが要求される領域として注目を集めている。