アースドリル杭機|効率的な地盤改良作業を支える工具

アースドリル杭機

アースドリル杭機は、回転掘削により地中に孔を形成し、鉄筋かごとコンクリートを投入して場所打ち杭を造成する機械である。低騒音・低振動で都市部の基礎工事に適し、泥水や仮設ケーシングで孔壁を安定させながら所定深度まで掘削する。地盤条件に応じてオーガ、コアバレル、トリコンビットなどの工具を使い分け、砂質土から軟岩まで幅広い土質に対応する。施工中はトルク・回転数・押込み荷重・深度・鉛直度を計測し、掘削品質と出来形を管理する。完成杭は先端支持、摩擦支持、複合支持のいずれにも設計可能で、建築・土木の杭基礎として多用される。

構成と作動原理

アースドリル杭機は、ベースマシン(クローラ式)、マスト、回転ヘッド、ケリーバー(Kelly bar)、掘削工具(auger/co­re barrel)、仮設ケーシング(casing)、泥水循環系(bentonite/polymer)、計測・制御装置で構成される。回転ヘッドのトルクをケリーバー経由で工具に伝達し、押込み荷重(crowd)を与えて掘削する。孔壁はケーシングの建込みまたは泥水の静水圧で保持し、底部は掘屑の揚泥と底ならしにより清浚する。

  • 回転ヘッド:定格トルクの目安はおよそ100~300 kN·m
  • ケリーバー:望む深度に合わせて伸縮し、曲げ剛性とトルク伝達を確保
  • ケーシング:周辺地盤の緩みや湧水に対する孔壁安定確保
  • 計測:深度、鉛直度、トルク、回転数、押込み荷重、泥水性状

代表仕様の目安

  • 杭径:φ600~φ2000 mm 程度(大型ではφ2500 mm 級)
  • 掘削深度:~60 m 級(地盤・設備に依存)
  • 回転数:およそ5~30 rpm(土質と工具で最適化)
  • コンクリート打設:トレミー管方式、連続性確保が要点

施工手順

  1. 位置出し・芯出し:杭芯とマスト鉛直度を整正
  2. 仮設ケーシング建込み:必要に応じて回転圧入し孔口を安定
  3. 掘削:回転・押込みを制御し所定深度へ。掘屑はツール上げで排出
  4. 底部清浚:スライム除去・底ならしで健全な支持面を確保
  5. 鉄筋かご建込み:かぶり厚・芯ずれ・継手品質を確認
  6. コンクリート打設:トレミーで連続打設、先詰まり防止と軟度管理
  7. ケーシング引抜き:上昇速度と打設量を同期し孔壁安定を維持

品質管理項目

  • 出来形:径・深度・鉛直度、支持層到達の確認
  • 泥水:比重・粘性・含砂率、pH、補給・再生管理
  • コンクリート:スランプ、単位水量、温度、供試体採取
  • スライム厚:底部残渣を許容以下に管理

適用地盤と工具選定

砂質土・粘性土ではオーガヘッドを基本とし、玉石・礫混じりではロックオーガやコアバレルを併用する。軟岩~硬質層にはトリコンビットや破砕用バレルを選定し、逸泥の恐れがある多孔質層では泥水性状とケーシング長を強化する。湧水が強い場では仮設ケーシングの全長管理が重要である。これらはアースドリル杭機のトルク・ crowd 能力と整合させる。

長所と留意点

  • 長所:低騒音・低振動、出来形の制御性、近接施工や大径・長尺に対応
  • 留意点:逸泥・ボイリング、周辺地盤のゆるみ、ケーシング噛み込み、トレミー閉塞
  • 対策:泥水管理・孔口シール、段階的掘進、適正回転・押込み制御、予備工具の準備

設計上の要点

杭種は先端支持・摩擦支持・複合支持を想定し、N値や地盤試験から先端支持層の性状を確認する。設計径と有効径、かぶり厚、鉄筋かご剛性、継手位置、かぶり確保用スペーサ配置を明確化する。コンクリートは連続打設と余盛り量を見込む。出来形・材料・地盤の不確定要素に対して部分係数や試験杭により妥当性を検証する。これらはアースドリル杭機の施工能力と整合が必要である。

関連機械・近縁工法

アースドリル杭機と並ぶ場所打ち杭の代表に、全周回転式のオールケーシング工法や、大深度・大径向けのRCD(Reverse Circulation Drill)がある。打撃・振動系ではディーゼルハンマー・バイブロハンマー等の既製杭工法が代替策となる。対象土質・周辺条件・工期・コストの観点で適用範囲を仕分ける。

安全衛生と周辺影響

転倒・落下・挟まれの防止、上空障害物・架空線離隔の遵守、掘削孔の開口養生、夜間照明・誘導体制が基本である。周辺影響として地盤沈下・湧水変動・振動・濁水を監視し、必要に応じて地下水位計や騒音振動計で計測する。アースドリル杭機の作業半径と立入禁止範囲を明示する。

トラブル事例と対策

スライム過多は支持力不足の誘因であるため、底部清浚と泥水管理を強化する。トレミー詰まりは連続打設・適正スランプ・筒先埋設深の確保で予防する。ケーシング噛み込みは引抜きと同時の打設量調整と回転補助で解消を図る。オーガ折損には回転数・トルクの上限制御と工具点検が有効で、アースドリル杭機の運転記録を残し原因分析につなげる。

環境配慮・資源循環

泥水はプラントで比重・粘性を管理し再生利用する。掘削土・脱水ケーキは含水比を管理し適正処分・再資源化を検討する。生コンはJIS規格に適合し、打設ロスを最小化する計画とする。これらの取り組みはアースドリル杭機による都市部施工の環境負荷低減に寄与する。