アンダーカバー|空力改善・遮音・防汚で下部保護

アンダーカバー

アンダーカバーは車両の床下(エンジン下部やフロア下)を覆う樹脂または金属のパネルである。石跳ねや水・泥から機器を保護し、床下気流を整え空力(Cd低減)と燃費・電費の向上、路面起因騒音の低減(NVH改善)に寄与する。エンジン下部を覆う「エンジンアンダーカバー(アンダートレイ)」、車体後方まで連続させた「アンダーボディカバー」、拡散部を持つ「リアディフューザー型」などがある。近年はEVでバッテリー防護と空力平滑化の両立が重視される。

基本機能

主機能は①飛び石・泥・積雪・塩害からの保護、②床下流れの整流による空力向上、③遮音・吸音材との組合せによる騒音低減、④電気配線・ブレーキ配管・燃料系の保護である。これらを満たしつつ、点検・油脂交換・けん引時の作業性を確保する開口やサービスホールが設けられる。

材料と製造

  • 樹脂系:PP、TPO、PA6+GFなど。射出成形が主で、軽量・防錆・コストに優れる。耐熱や寸法安定性のため厚肉部やリブ設計を行う。
  • 金属系:アルミ板や鋼板(スキッドプレート)。オフロードや過酷路で機械的強度を優先する場合に用いる。
  • ハイブリッド構成:樹脂に不織布吸音材や発泡層を積層し、軽量とNVH性能を両立する。

固定部品

取付にはクリップ、タッピングスクリュー、ヘッド付ねじ、あるいはボルトとナットが用いられる。脱着頻度が高い部位では、座面の座金一体やブッシュで繰返し耐久を確保する。

空力設計と冷却マネジメント

床下の凹凸を覆って流れを層流化し、前方から後方までの連続面を作ると抗力が減少する。エンジン・モーター・インバータの熱を捌くため、整流板やルーバーで吸排気経路を設計し、走行風で効率的に熱交換させる。水はけを考慮したドレン孔やスプラッシュ対策の堤防形状も重要である。

NVH(騒音・振動・ハーシュネス)

路面からのタイヤ空洞音・砂利衝突音を遮蔽し、パネル自励振動はビード加工、リブ、ダンパシートで制御する。吸音材は面密度・透過損失・吸音率のバランスで選定し、板厚や支持点間隔を最適化してパネル曲げ一次モードを走行周波数帯から外す。

保守性とサービス性

  1. オイル交換、フィルタ点検のためのサービスホール位置とサイズを車種共通化する。
  2. 脱落防止:主要固定点は二重化し、クリップは段階保持型を選定する。
  3. 路肩接触時の損傷を想定し、前縁はスロープ状、擦過部は交換しやすい分割式とする。

熱・水・泥対策

排気系付近は耐熱材や遮熱シールドで熱間クリアランスを確保し、氷雪域では着氷による重量増を避けるため排水・排雪の経路を設ける。浅瀬や冠水路走行を想定する用途では、吸気口高さと水密性の整合を取る。

車種別の特徴

ICE車はオイルパン・排気系周りの保護と点検性が要点で、HEVはエンジンと電動コンポーネントの両冷却経路を調停する。EVは電池パック下面の平滑化と衝突時の二次損傷防止が主題で、アルミ押出しや高強度樹脂の大型一体化が進む。商用車は整備性重視で分割式が多い。

モータースポーツとアフターマーケット

競技ではフラットボトムとディフューザーでダウンフォースと抗力低減を両立する。市販車向けのアフターパーツは、整流板追加や素材置換で軽量・空力・防音を狙うが、最低地上高や熱対策、法規適合の確認が不可欠である。

設計上の評価指標

  • 空力:Cd、Cl、床下圧力分布、渦の発生位置(CFD・風洞)。
  • 強度:路上デブリ衝突、縁石擦過、疲労耐久(加振台)。
  • NVH:パネル振動モード、透過損失、打撃音評価。
  • 耐久・環境:耐熱・耐薬品・耐塩水、リサイクル適合(樹脂材質表示)。

不具合事例と対策

代表例は固定クリップ破損によるバタつき音、雪塊付着による干渉、路面接触による割れである。対策として、取付点の補強、前縁の角取り、氷雪抜け形状、損傷部のモジュール交換、定期的な増し締めを行う。異音が出た場合は速度依存性を確認し、路面起因か空力起因かを切り分ける。

選定・交換の要点

純正部品は車台番号適合を確認し、吸音材や遮熱板の有無を統一する。社外品では素材(PP/アルミ/鋼板)、重量、最低地上高への影響、サービスホール寸法、固定方式の互換性を比較し、締結力は規定トルクで管理する。擦過痕や亀裂を見つけた場合は早期交換が望ましい。

関連用語

アンダートレイ/アンダーボディカバー/スキッドプレート/ディフューザー/フラットボトム/ドレン孔/サービスホール/ルーバー/遮熱シールド/吸音材。