非不胎化介入
非不胎化介入(ひふたいかかいにゅう、Non-Sterilized Intervention)とは、政府や中央銀行が外国為替市場に介入し、自国通貨を売買して為替レートに影響を与える際、介入に伴うマネーサプライの変動を放置することを指す。非不胎化介入では、為替市場への介入によって生じた通貨供給の変化を調整しないため、マネーサプライに直接的な影響を与える可能性がある。
非不胎化介入の仕組み
非不胎化介入では、例えば、中央銀行が為替市場で自国通貨を売って外貨を購入することで、自国通貨の供給量が増加し、結果的に市場におけるマネーサプライが増加する。逆に、外貨を売って自国通貨を買う場合、マネーサプライは減少する。これにより、為替市場だけでなく、国内の金融市場にも影響を与える可能性が高くなる。
非不胎化介入と不胎化介入の違い
非不胎化介入と不胎化介入の主な違いは、マネーサプライの調整が行われるかどうかである:
- 不胎化介入:政府や中央銀行が為替介入を行った後、その影響で変動したマネーサプライを調整するために、債券市場でオペレーションを行う。これにより、介入による通貨供給の増減が国内の経済に影響を与えないようにする。
- 非不胎化介入:介入後にマネーサプライの調整が行われないため、為替介入によって国内の通貨供給量が変動し、そのまま国内経済に影響を与える。
非不胎化介入の効果
非不胎化介入の効果は、為替市場だけでなく、国内の金融市場やインフレ率にも影響を及ぼす:
- 為替レートの変動:中央銀行が自国通貨を売り、外貨を購入する場合、通貨供給が増加することで自国通貨の価値が下がり、為替レートが変動する。
- インフレの影響:マネーサプライが増加すると、国内のインフレ率が上昇する可能性がある。逆に、マネーサプライが減少すると、デフレ圧力が高まることがある。
- 金利への影響:マネーサプライの変動によって金利が変化し、国内の投資や消費行動に影響を与える可能性がある。
非不胎化介入のメリット
非不胎化介入のメリットは、マネーサプライを調整せずに為替市場や国内経済に直接影響を与えられる点にある:
- 迅速な為替操作:マネーサプライの調整を行わないため、迅速に為替レートに影響を与えることができる。
- 経済成長促進の可能性:自国通貨の供給を増やし、通貨安を誘導することで、輸出を促進し、経済成長を後押しする効果が期待される。
非不胎化介入のデメリット
一方で、非不胎化介入には以下のデメリットも存在する:
- インフレのリスク:マネーサプライが増加し過ぎると、インフレ率が急上昇し、物価が不安定になるリスクがある。
- 金利への悪影響:通貨供給の変動によって金利が上昇したり、金融市場の混乱を招く可能性がある。
非不胎化介入の活用シーン
非不胎化介入は、通貨の急激な変動に対応したい場合や、輸出産業を後押しするために自国通貨の価値を意図的に下げたい場合などに活用されることがある。ただし、その影響が国内経済に広範囲に及ぶため、慎重に行われるべきである。