評価益
評価益(ひょうかえき)とは、保有している資産や金融商品の市場価値が購入時の価格よりも上昇した結果、現在の市場価格に基づいて算出される未実現の利益を指す。評価益は、株式や債券、不動産などの資産に対して適用される概念であり、実際に売却していない状態でも、理論上の利益を示すものである。評価益はあくまで未実現の利益であり、資産を売却して初めて現実の利益として確定される。
評価益の計算方法
評価益は、保有している資産の現在の市場価格と、その資産を購入した際の価格(取得価額)の差額によって計算される。具体的な計算式は以下の通りである:
評価益 = 現在の市場価格 − 購入時の価格
例えば、株式を1株1000円で購入し、その株式が現在の市場価格で1株1500円に上昇した場合、評価益は1株当たり500円となる。このように、市場価格が上昇すれば評価益が発生し、資産の評価が増加することになる。
評価益の特徴
評価益は、保有資産が売却される前に発生する未実現の利益であり、実際の取引で得られる利益とは異なる。市場の価格変動によって評価益は変動するため、市場が上昇している間は評価益が増加するが、反対に市場が下落すれば評価損(評価額が購入時の価格よりも下回る損失)が発生することもある。また、評価益は会計上の利益として計上されることはなく、売却することで初めて現実の利益として認識される。
評価益と実現利益の違い
評価益は資産の市場価値の増加に伴う未実現の利益であるのに対し、実現利益は資産を売却した際に確定される利益である。評価益は市場の動向に左右されるため、売却しない限りその価値は変動し続ける。一方で、資産を売却して得られた利益は実現利益として確定し、税金が課せられることになる。このため、評価益が大きくなっても、売却しない限り実際のキャッシュフローには影響しない。
評価益と税金
評価益はあくまで未実現の利益であるため、評価益が発生している段階では課税対象とはならない。しかし、資産を売却して評価益が実現利益に変わると、その利益に対して所得税やキャピタルゲイン税が課されることになる。そのため、資産を売却するタイミングや、税制の影響を考慮して取引を行うことが重要である。
評価益のリスク
評価益は、資産の価格が上昇することで発生するが、価格が下落するリスクも伴う。評価益がある場合でも、市場の急激な下落により評価損に転じる可能性があるため、投資家は慎重に市場動向を見極める必要がある。特に長期保有を前提とした資産であっても、市場の変動により短期的に評価益や評価損が発生するため、リスク管理が求められる。