親和図|情報をグループ化し、関連性を視覚的に把握する手法

親和図

親和図は、アイデアやデータをグループ化し、共通のテーマや特徴を見つけ出すための手法である。特に、ブレインストーミングやアンケートで出てきた大量の意見や言葉、情報を整理する際に用いられる。多様な意見や情報を視覚的にまとめることで、断片的で、漠然としたイメージを具体化することができる。この方法は、問題解決や戦略立案、新しいアイデアの創出に効果的であり、それらの言葉やデータを統合して要約しながら進めることで、全体の関連性やパターンを把握しやすくなる。

親和図の概要

親和図は、言語データが語っている言葉の親和性に注目して、言葉と言葉の距離が近いもの同士を統合することで、言語データを統合・要約することができる。アンケートやブレーンストーミング、顧客からの要求などを表す言葉を計画的に系統立て収集されることは少なく、ばらばらに得られることが多い。言語データの分類は下記のようなものがあるが、それらを整理してグルピーピングする必要がある。

言語データの分類

  • 事実に基づくデータ:ex)他社に比べて売り上げ伸びない
  • 推定データ:ex)デザインが悪い、価格が高い
  • 発想データ:ex)デザインを変える、価格を低くする、あるいはより高くする
  • 意見データ:ex)製品を抜本的に変えるべき、変えず現状維持を進めるべき

親和図の作成方法

親和図を作成する際、まず最初に多くのアイデアや意見を書き出す。アイデアはメンバーの意見から自由に出たものやアンケートの結果、調査の結果などがある。これらは付箋やカードなどに個別に記載することが一般的である。その後、それらのアイデアを机や壁などに広げ、似たようなものや関連するもの同士をグループ化する。このグループ化の作業を通して、共通するテーマや課題が浮かび上がり、全体像がより明確になる。最後に、それぞれのグループに適切なタイトルをつけ、全体の構造を整理する。

親和図作成のポイント

親和図を効果的に作成するためのポイントは、まずアイデアを自由に出し合うことである。最初からグループ化を意識するのではなく、多様な意見を集めることに重点を置く。また、グループ化の際には参加者全員が意見を出し合い、合意を得ながら進めることが重要である。さらに、タイトル付けはグループの特徴を的確に表すよう心がけるとよい。

親和図のメリット

親和図のメリットは、多様な意見やアイデアを整理し、視覚的に全体を把握できる点である。これにより、個々のアイデアの関連性が明確になり、新たな発見や洞察を得やすくなる。また、複数の人が参加することで、異なる視点からの意見を組み合わせることができ、より包括的なアイデアや解決策を見つけることができる。

親和図のデメリット

親和図のデメリットは次のようなものがある。まず、大量の情報を扱う際、すべてのアイデアを整理するのに時間がかかる場合がある。また、アイデアのグループ化は主観的な要素が強いため、参加者によっては異なる視点で分類されることがある。そのため、統一した見解を得るためには、十分な議論や確認作業が必要となる。

親和図の活用シーン

親和図は、様々な場面で活用されている。企業の戦略立案や製品開発、マーケティング活動、プロジェクトの企画など、チームでアイデアを出し合う場面において特に有効である。また、個人でも問題解決やアイデアの整理に利用でき、学習や研究活動など幅広い分野で応用可能である。

親和図と他の手法との違い

親和図と似た手法として、マインドマップや特性要因図(フィッシュボーン図)があるが、それぞれの目的や方法には違いがある。マインドマップは中心となるアイデアから関連するアイデアを放射状に展開する手法であり、全体の構造を視覚的に示す点で共通しているが、親和図のようにグループ化することはない。特性要因図は問題の原因を整理するための手法であり、原因と結果の関係を示す点で親和図とは異なる。

KJ法

親和図は、1960年代に日本の経営学者・川喜田二郎によって提唱されたKJ法が起源である。KJ法は、川喜田氏の名前に由来し、親和図はその手法の一部として広まった。以来、親和図は日本国内だけでなく、世界中で問題解決やアイデアの創出に利用されている。

親和図の実践的な効果

親和図は、単なる情報整理だけでなく、チーム内のコミュニケーションを促進し、共通の理解を深める効果がある。参加者全員がアイデアを共有し、グループ化のプロセスを通じて合意を形成することで、チーム全体のエンゲージメントや連帯感が高まる。また、視覚的な整理によって、新しい視点やアイデアを生み出すきっかけとなる。

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