総還元性向
総還元性向(そうかんげんせいこう)とは、企業が利益のうち、株主に還元する総額の割合を示す指標である。具体的には、配当金と自社株買いに充てられる資金を合計し、それを企業の当期純利益で割ったものを指す。この指標は、企業がどれだけ株主に対して還元する姿勢を持っているかを示すものであり、株主還元の積極性を測る上で重要な要素となる。
総還元性向の計算方法
総還元性向は、以下のように計算される。まず、企業が当期に支払った配当金総額と、自社株買いに使用した資金を合計する。そして、その合計額を当期純利益で割り、百分率で表す。例えば、ある企業が当期純利益100億円を計上し、そのうち20億円を配当金として支払い、さらに10億円を自社株買いに使用した場合、総還元性向は30%となる。
総還元性向の重要性
総還元性向は、投資家にとって重要な指標である。企業が高い総還元性向を維持している場合、それは株主還元に積極的であることを示し、投資家にとって魅力的な要素となる。一方で、企業が利益を内部留保や成長投資に多く振り向け、還元性向が低い場合、成長戦略に重きを置いていると解釈されることが多い。どちらが良いかは、投資家の戦略や市場環境による。
総還元性向と企業の成長戦略
総還元性向が高い企業は、安定したキャッシュフローを持ち、成熟した産業に属することが多い。一方、成長企業は、配当よりも再投資に重きを置く傾向があるため、総還元性向が低くなることが多い。したがって、投資家は企業の成長段階や戦略を理解し、総還元性向を評価する際には、その背景を考慮する必要がある。