第一質料|アリストテレス

第一質料

第一質料とは、あらゆる形相を含まない究極の目的である。アリストテレスとは、あらゆる物質は、可能性と現実態の目的論的連関の中にある。たとえば、木材は机という形相に対してはその質料であるが、しかしまだ切られていない木の幹から見ればすでに形相である。このように質料と形相とが順次に段階的な連関をつくっていく。そして、この連関をさかのぼっていくと、最下位の連関があるとし、これを第一質料と呼ぶ。いかなる質料も含まない究極の目的ないし、「現実態」として純粋形相というものを考えて運動する存在者をその中間に位置づけた。第一質料は、まったく無規定なものであり、現実に存在するものではなく、最下の質料といえども、それはその中にすでにそれぞれの形相を含む。

神としての第一実体

アリストテレスは、第一質料を神と呼んだが、神は質料を持たないから、自らは運動せずにすべての運動の究極の目的となるものである。他のすべてものを自分に向かって運動させる「不動の動者」である。一切の事物は究極的にはこのような神を目的として憧れて動く。神は決して何らの可能性も持たず、ただ永遠の現実態である。

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