発行日決済取引
発行日決済取引とは、債券や株式が発行される発行日に売買契約の決済が行われる取引のことを指す。通常の金融取引では、売買契約が成立した後、決済（資金と証券の受け渡し）が一定の期間を経て行われるが、発行日決済取引では、証券が発行されたその日に資金の決済と証券の受け渡しが同時に行われる。この取引方式は、特に新規発行の債券や株式の取引で見られる。
発行日決済取引の仕組み
発行日決済取引では、債券や株式が発行される日が決済日となり、その日に購入者は資金を支払い、発行者から証券を受け取る。通常の取引では、契約成立後に一定の期間（T+2など）を経て決済が行われるが、発行日決済取引ではその期間がなく、即座に取引が完了する。これにより、資金調達の効率化が図られる。
発行日決済取引のメリット
発行日決済取引のメリットは、取引が迅速に完了する点にある。特に大規模な資金調達や迅速な取引を求められる場合、発行日決済取引を利用することで、資金調達や投資のタイミングを逃さず、効率的に資金を調達または運用できる。また、決済が同日に行われるため、価格変動リスクや信用リスクが最小限に抑えられる。
発行日決済取引のデメリット
発行日決済取引のデメリットとして、決済準備が迅速に行われる必要があるため、資金や証券の準備に対して柔軟性が低くなる点が挙げられる。取引に関わる全ての関係者がスムーズに資金と証券の受け渡しを行う必要があり、手続きが遅れると取引が成立しないリスクも存在する。また、市場環境が変動する中で、即時決済のため、価格の変動を見極める猶予がない。
発行日決済取引の活用場面
発行日決済取引は、特に新規に発行される債券や株式の初回取引で用いられることが多い。また、大規模な公共債や国債などの発行においても利用され、発行日と同時に投資家が資金を拠出し、国や企業が迅速に資金を得ることができる。市場の流動性が高い取引環境では、この方式が有効に機能する。