特性要因図(フィッシュボーン図)|問題や結果の原因を体系的に整理する図解手法

特性要因図

特性要因図は、問題や結果の原因を体系的に整理・分析するための手法である。魚の骨に似ているため、「フィッシュボーン図」や「魚骨図」とも呼ばれるこの図は、原因と結果の関係を視覚的に示すことから、問題解決のプロセスにおいて非常に効果的である。主に品質管理や業務改善の場面で用いられ、問題の真因を特定することで効率的な解決策を導き出す手助けとなる。

特性要因図の基本構造

特性要因図とは、原因候補を系統的に整理した図である。特性要因図の「特性」とは「結果」のことで、「要因」とは、「重要な原因」を意味する。基本構造は、魚の骨のような形をしているためフィッシュボーン図ともいわれる。右端には分析対象となる「特性」や「結果」を記載し、そこから斜めに線が引かれて「要因」(「重要な原因」)となる枝が伸びる。さらにその枝から細かい要因が追加され、最終的に主要な要因とその細部の要因を図式化する。この視覚的な構造によって、要因同士の関連性が一目で把握できるようになる。

メリット

特性要因図のメリットは、問題の原因を体系的に整理できる点にある。視覚的に要因を示すことで、チームメンバー全員が共通の理解を持つことができ、問題解決に向けた議論をスムーズに進められる。また、要因の洗い出しを通じて、見落としていた原因や新たな視点を発見することができるため、より包括的な解決策を導き出すことが可能である。

デメリット

特性要因図にはいくつかのデメリットも存在する。まず、図を作成する際に時間がかかることがある。また、要因を洗い出す過程で主観が入りやすく、誤った結論に至る可能性がある。そのため、特性要因図を作成する際には、多様な視点から情報を収集し、客観的なデータに基づいて要因を分析することが重要である。

作成手順

特性要因図を作成する際は、まず分析対象となる「特性」や「結果」を図の右端に書き込む。次に、その原因となる主要な要因を大分類として矢印の骨格部分に配置する。一般的な大分類には、「人」「機械」「方法」「材料」「環境」「測定」などがある。その後、各大分類の要因をさらに細かく分析し、矢印に沿って小分類の要因を追加していく。

特性要因図の作成における注意点

特性要因図を効果的に活用するためには、チーム全員が積極的に参加し、多様な意見を取り入れることが重要である。また、図を作成する際には、事実に基づいて要因を挙げることが求められる。主観的な意見や仮説に基づく要因は誤った結論を導く可能性があるため、データや観察結果に基づいて要因を特定することが肝要である。

特性要因図の活用シーン

特性要因図は、製造現場での品質不良やサービス業での顧客クレームの原因分析など、多様な場面で活用される。特に、複雑な問題に直面した際、その原因を洗い出すためのフレームワークとして有用である。また、新製品開発やプロセス改善など、アイデアをまとめる際にも活用され、チームでのブレインストーミングを促進する役割も果たす。

製造業での活用シーン

例えば、製造業において不良品の発生原因を調査する場合、特性要因図を用いて「材料の品質」「機械の故障」「作業者のスキル不足」「作業手順の誤り」など、さまざまな要因を分類することができる。こうした分析により、問題の主要な原因を特定し、改善策を講じることが可能となる。

サービス業での活用シーン

サービス業では顧客満足度の低下原因を分析する際に、特性要因図が役立つ。

特性要因図と他の分析手法の比較

特性要因図は、他の分析手法と組み合わせて使用されることが多い。例えば、特性要因図で原因を洗い出した後に、パレート図を使って原因の優先順位を決定することがある。また、相関分析や回帰分析などの統計手法と併用することで、原因と結果の関連性をより詳細に検証することができる。このように、特性要因図は他の手法と組み合わせることで、その効果を最大限に引き出すことが可能である。

タイトルとURLをコピーしました